158.中間考査⑦
昇降口に向かう途中、かえでさんは、
「ナヲの苦手は歌うことと、ダンス。ナヲの歌声を聞くと2、3日は頭から離れないわよ。」
と言うと、隆くんまで、
「俺は一度ご機嫌なナヲが、不思議な鼻歌を歌いながら花壇の水やりをしてるのを聞いたことがあるんだけど、後でナヲに何を歌っていたか聞いたら、ちょっと前に流行っていた映画『メガネをかけて』の主題歌だって言うんだ。でもナヲの歌っていた鼻歌はどう聞いてもそれには聞こえなくて。どこか俺たちの知らない国の民族音楽にしか聞こえないんだよ。」
なんて言うから、 それを聞いてみんな大爆笑。あきちゃんったら
「一曲歌ってよ。」
なんて言ってマイクを持つ真似をして私の口元に持ってくるんですよ。もちろん丁重にお断りしましたけどね。
「小南さんって人間だったんですね。安心しました。」
しみじみと一ノ瀬さんがおっしゃったんですが・・・。一ノ瀬さんはこれまで私を何だと思っておられたのでしょうか。
私たちは試験前日までこのメンバーで放課後お茶室で勉強をしました。
信くんも、かえでさんも試験前日にはわからないと言っていた部分の基本問題が理解ができるようになりました。応用問題の理解までは時間が足りませんでしたが・・・。あとは計算ミスに気を付ければは確実に6割は行けるでしょう。
あきちゃんの漢文問題もなんとか高等教育学校の1学期の範囲まですすめることは出来ました。ケアレスミスなどがなければ、7〜8割は取れると思います。
私ですか?私はとりあえず、満点目指して頑張りますよ!
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。




