153.中間考査②
あきちゃんにお礼が言えないまま、昼休みになりました。試験期間になると昼休みは生徒の(ほぼ)全員が教室か図書室で勉強をしています。私もみんなで食事をした後勉強をしていたのですが、市川先生に放送で職員室に呼ばれたので向かいました。
「一昨日と昨日の公欠届け、今朝のホームルームで渡し忘れていたんだよ。昼休み中に事務室に提出せないかんから、ここに日にちと名前書いてくれんか?」
私は用紙を受け取ると名前を記入し先生に渡しました。
私は職員のある北校舎から教室がある東校舎への渡り廊下を歩いていると、
「ナヲちゃん。」
と呼ばれ振り返るとあきちゃんがいました。
「さっき放送で呼ばれたでしょ。元気になったか確認したかったからここで待ってた。」
と言いながら、あきちゃんは私の手を引いて北校舎の階段を上がります。私はあきちゃんにお礼を言うチャンスだと思い、
「あのね。あきちゃん。一昨日はお見舞いに来てくれてありがとう。それと、馬車のお迎えまで。本当にありがとうございました。」
と伝えると、あきちゃんは何も答えずに、2階の理科室の扉を開け私と中に入り扉を閉めた途端私を抱きしめました。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。




