143.訓練(あきちゃん視点⑬)
「こちらの面会者名簿にお名前と面会時間の欄、ここに時間をご記入ください。帰りも受付にお声かけお願いします。退出時間をご記入いただくようになっておりますので。」
「わかりました。」
と吉田さんは言うと、名前と時間を記入する。
「はい、角様。」
「ありがとう。」
1番上からナヲちゃんのお父さんとお母さんの名前、その次にエツ子さん、そしてその下に14時00分大川大地と書いてある。なぜあいつが・・・。
「角様、どうされました?」
「い・・いや。何も・・・。」
「私も名前書いてよろしいですか?」
「ああ、すまない・・。」
水木さんに名簿を渡すと、
「この大川様ってお知り合いなのですか?」
と尋ねられた。
「いや、ただ・・。昨日の試合でナヲちゃんと対戦した相手だ。」
「なるほど~。」
と彼女らは何か含みのある様子でそう言った。
名簿に名前を書いた私たちは211号室に向かった。
211 小南ナヲ様
吉田さんが彼女の病室のドアをノックした。
「はい。」
中からエツ子さんの声が聞こえ、ドアが開いた。私はナヲちゃんのもとに駆け寄りたくなる衝動にかられたがぐっと我慢した。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。
エツ子さん→小南家の家政婦、
前田→三条家の執事の1人。




