141.訓練(あきちゃん視点⑪)
「これと、これと、これで。」
「赤いバラを3本ですね。承知いたしました。」
私は学校に行く準備をし玄関に行くと、
「包装をこのようにいたしましたが、いかがでしょうか?」
私の選んだ赤いバラに薄い桃色の和紙と透明なセロハン巻いて赤いリボンで結んである。
「ありがとう。すごく素敵になっているよ。」
「このラッピングは花江様が手伝ってくださったんです。」
「姉様にありがとうと伝えてください。では、いってきます。」
時間が無かったので、学校から戻ったら姉様に改めてお礼を言おう。
ナヲちゃんのいない学校はとても寂しく感じてしまう。ナヲちゃんが心配で午前中の授業はあまり身が入らなかった。
午前中の授業が終わり、私と一ノ瀬君と中田君と弁当を食べていたら、
「すみません。角様を呼んでいただけますか?茶道部の件でお伝えをしたいことがあるのですが。」
吉田さんがクラスの女子に話している声が聞こえた。私は彼女たちの所へ向かうと、水木さんは
「お忙しい所すみませんが、茶道部の11月の活動についてご相談したいので一緒に来ていただけますか?」
というので、一緒に弁当を食べていた友人二人に事情を説明し自分の弁当をいったん片付けてから彼女たちの元に行った。彼女たちとお茶室に入ると、
「ナヲが入院したこと知ってます?」
「ああ。昨日の試合は私も来賓として会場にいたから。」
「一緒にお見舞いに行きません?角様、ナヲのこと心配でしょ?お見舞いに行きたいでしょ?」
「ちょっと、ちょっと、かえでさん、そのような言い方、角様に失礼よ。」
「あ~そうだった。ごめんなさい。。申し訳ありません角様。」
「いや、学園内では身分差は関係ないから。それに私としては友人なのだから先ほどのように気楽に話しかけてもらえた方が嬉しい。」
「だって、富ちゃん。」
「もう、かえでちゃんったら。」
「実は、今日ナヲの入院のことをきいて、私たちと、信くんと隆とお見舞いに行こうかって話をしていたんど、九条君やクラス子たちも行きたいって言いだして。寝たきり状態の時にみんなで押し掛けるのはナヲにも病院にも迷惑がかかるでしょ。だから私と富ちゃんがクラスの代表して行くことになったのよ。」
「私が行っても迷惑をかけないだろうか?」
「幼馴染の角様がいらっしゃったらナヲちゃんも喜ぶと思いますし。それに、ねぇ。かえでさん。」
「ねー。富さん。・・・それで、角様はどうします?私たちは放課後直接病院に向かおうと思うのですが。」
「今日は公務もないし、ではうちの馬車で病院へ行こう。警備員に馬車まで案内させるから放課後昇降口で待っていてくれるかい?」
「わかりました。昇降口で待っていますね。」
「吉田さん。水木さんありがとう。」
「どういたしまして。」
2人は声をそろえて答えた。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。




