14.誕生日会③
誕生日会の時間まで,私達(兄と涼くんとゆずちゃんと私)はお兄様の部屋でトランプをして待ちました。
「ごめんください。」
男性の声が聞こえみんなで玄関に向かいますと、三条様と、三条様のズボンをしっかり握っているあきちゃんと執事さんにお姫様抱っこをされた花ちゃんがいました。花ちゃんとあきちゃんは緊張気味です。
「いらっしゃい!」
「こんにちは!」
私達が元気に挨拶をすると奥から両親がやってきて
「狭いところで申し訳ありません。」と三条様たちを間仕切りの襖をはずして広くした和室に案内しました。
「花江さんはこちらにお掛けください。」
すると執事さんがの1人掛けの籐椅子に花ちゃんをおろしました。
「今日は来ていただきありがとうございます。」
「こちらこそお招きいただきありがとう。・・・あっわしは招待状貰っとらんかった。」と三条様がおっしゃると、花ちゃんとあきちゃん以外は大爆笑。
ただ、花ちゃんとあきちゃんは緊張しているようで、全く笑っていません。
「花ちゃん。あきちゃん今日は来てくれてありがとう。私の友達を紹介するね。」
「私たちの幼馴染の野島涼介くんと柚木ちゃん。」
「よろしく。」
「よろしくお願いします。」
「こちらが花江さんと明さん。」
2人があいさつをすると、花ちゃんとあきちゃんはお辞儀をします。
「俺たちのこと涼とゆずって呼んで。」
緊張した花ちゃんとあきちゃんはうなずきます。
「花ちゃん、あきちゃん、2人はいいやつだから仲良くしてやってね。それとこれ俺の大好物の周南堂の羊羹。花ちゃんも食べたいって言ってたよね。」
といって兄はテーブルにある羊羹を一切れ摘んで花ちゃんの口に。戸惑いながら一切れかじる花ちゃんの顔は真っ赤です。
「・・・おい・・しい。すごく美味しい。」
「だろー。俺の父ちゃんと母ちゃんが作る菓子はすっごくうまいんだ!」
すると花ちゃんは
「えぇ。とっても。」
私は
「あきちゃんもどう?」
と尋ねるとあきちゃんはおくちをあーんと開けたので一切れ口に持っていくとパクリ。
ニコニコの顔でもぐもぐしています。
「・・・かわいい。」
私とゆずゃんの声がハモリ、思わず笑ってしまいました。
「食事の前にお腹がいっぱいになってしまいますよ。皆さん揃ったし始めましょうか。」
母の合図で誕生日恒例の父の乾杯の挨拶
「みなさん、グラスは行き届きましたか?」
「では、ナヲ、誕生日おめでとう。カンパーイ!!」
「カンパーイ!!!」
「みなさんたくさん食べてくださいね!」