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137.訓練(あきちゃん視点⑦)

 二人のことは医師に任せるしかない。私が今しなければならないのは、公務だ。そう言い聞かせながら兵部省との意見交換会に参加した。

 今回の議題はやはり幽魔による騎士団での人的な被害が増えている件だ。

 現在この日の本帝国では幽魔討伐の仕事をしているのは騎士団である。

ここで、我が帝国の騎士団について簡単に説明しよう。

・騎士団の採用年齢は18歳以上27歳未満。

・定年は60歳。

・神力の有無にかかわらず、(詳しい規定はここでは省略するが)身体的・精神的に健康である者。

・騎士団に入団するには、実技、一般教養等の学術試験を受け合格した者。

・1年間騎士団学校で座学・訓練等を行い卒業が認められたものだけが騎士団として社会に出る。

・幽魔に対して有効な神力を使って戦えるように、騎士団は工部省と研究機関で開発した『斬幽剣』を帯刀が許されている。したがって神力を持っていないものでも幽魔と戦うことが可能になっている。

・『斬幽刀』は鞘に神力が蓄えられており(鞘に神力を蓄えるには12時間専用の機械にて神力を充電しなければならない。)。刀を鞘に納めている時に(神力を)充電し、刀を使用するときに神力を付与して戦えるという代物。鞘から抜いた刀は15分程度戦い続けることが可能なので騎士団は常に2本の刀を帯刀している。(ちなみにこの斬幽刀は約20年前に工部省職員であるナヲちゃんのお父さんが中心となって開発を行ったものだ。しかし、このことは軍事機密だからナヲちゃんもご家族みんなも知らないだろうけどね。)

・騎士団は本部の帝国騎士団。支部は北から、北海道騎士団・東北騎士団・中部騎士団・関東騎士団・近畿騎士団・中国騎士団・四国騎士団・九州沖縄騎士団があり、各県、市町村と連携し幽魔から人々を守っている。


 幽魔被害が増えた事で、騎士団の出動も増え、それに伴い怪我人も増えて人手不足に陥っている。支部での被害は殆ど変わらないが、人が多い帝都付近での被害が増えているため、今、帝都に支部からの応援をお願いしている状況だ。

 今日の意見交換会で出た案としては騎士団採用年齢の引き上げを帝国議会に提案すること、騎士団員の福利厚生や、保険や保障の充実など細かな内容までも話し合った。


 意見交換会は1時間半で終わり、解散となった。


登場人物

小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。

角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。

小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。

小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。

小南カヨ子→ナヲの母。

花ちゃん→角光明の姉。

坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。

水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部

長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。

吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。

野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。

野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。

三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。

市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。

相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族

九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。

春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。

春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父

中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。

木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。

佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。

瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。

一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。

大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。

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