132.訓練(あきちゃん視点②)
私たちが会場内の貴賓席に到着すると
「選手、職員関係者は貴賓席に向かって礼!」
という号令とともに私たちに向かって会場中が一斉に礼をする。昨日並んで歩いた愛しい娘を、私は今は高い位置から見下ろしている。私は」この現実に愕然とした。しかし、この気持ちを表情に出してはいけない。出すことは許されない・・・。
第一試合が始まる。流石全国から集められた選手だ。動きに無駄がなく良い試合だった。
私は皇族という立場上、常に護衛を数名つけて常に行動しているが、いざという時のためにドイツで小学校(基礎学校6歳から10歳・4年間)に入るタイミングで私の合気道を習い始めた。教えてくれたくれたのは、私の護衛として帝国から同行した高柳和義。彼は合気道の師範で、神力も持っていた。彼の指導は厳しく私は小学校を卒業するころには自分自身を守れるくらいまでに成長できた。しかし、11歳になり神力の検査をしたときに私はその力を持っていないことを知った。もし私に神力があったら、この場でか彼らと試合をしていたのだろうか?彼女と同じ場所で彼女の隣に立てていたのだろうか?
この様なことを考えていたら第1試合は終わってしまった。
登場人物
小南ナヲ→前世で100歳まで生き、その記憶をもったままこの世界に生まれてきた。この物語の主人公。神力を持つ。
角光明→日之本帝国第二皇子。幼い頃に遊んでいたあきちゃん(明)。
小南正次朗→ナヲの5歳歳上の兄。あだ名は正ちゃん。神力を持つ。
小南敏光→ナヲの父、工部省に勤めている。姉が経営しているセイコウ出版社副社長。神力を持つ。
小南カヨ子→ナヲの母。
花ちゃん→角光明の姉。
坂上信雪→貴族(士族)。正義感が強くて優しくて力持ち。柔道部期待の星。
水木富→貴族(華族)。気さくな性格で心優しい子。茶道部
長井隆→平民。九州の長崎出身。実家は長崎で貿易商、英語、仏蘭西語、独逸語が堪能。私が企画部部長を務めているセイコウ出版社で翻訳のアルバイトをしている。。
吉田かえで→平民。曲がったことが大嫌いな明るい活発な子。帝都の下町朝草生まれ朝草育ち。
野島柚木→あだ名はゆずちゃん。両親が営んでいる周南堂で働いている。午前中は購買で、午後は周南堂の店舗で働いている。ナヲとの幼馴染。
野島涼介→あだ名は涼くん。柚木の兄。
三条礼司→日之本帝国の上院、太政大臣。20年前は文部大臣だった。光明と花ちゃんの叔父。
市川先生→1年C組の担任。担当教科は数学。英国に留学経験があり英語が堪能。
相田さん→ナヲのクラスメイト。貴族
九条 善高→貴族。父は立法省の大臣 善成。社交ダンス部。
春日フジ→金属加工の春日工業副社長。竹男の妻。ナヲの父敏光の姉。ナヲの伯母。
春日竹男→金属加工の春日工業の社長。フジの夫。ナヲの伯父
中村邦子さん→クラスメイト。文化祭の演劇のメイクを担当。
木田さん→クラスメイト。文化祭では衣装班。
佐藤美香さん→クラスメイト。文化祭では調理班。貴族。ダンス部。
瀬川くん→クラスメイト。文化祭では調理班。平民。
一ノ瀬類→あきちゃんのクラスメイト。
大川大地→騎士団の団員。自宅は武器や防具の工房で以前は職人として働いていた。平民。




