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10.子供たちがいない間に大人同士の話

 子供たちが部屋を出た後、

「今日は、本当にありがとう。」

深々と頭を下げる三条様に

「私たちは何も致してはおりません。頭をおあげください。こちらこそ息子が失礼致しました。」

「わしは感動したぞ。正次朗は男前だな!!子供の言う事を真に受けるなんてと笑われるかもしれんが・・・。」


「息子はお調子者で、冗談ばかり言いますが、嘘つきではありません・・・。息子があのような事を申しましたのもきっと本心です。・・・身分の差についても平民の息子が上の身分の方と結婚するのであれば、あの方法を実現できればクリアできるかもしれません。・・・数年前、高貴な方が乗った馬車が幽魔に襲われて、その際に御令嬢が重傷を負ったと。そして怪我をされた御令嬢は華族で左大臣の藤原真道様の御令息との婚約が白紙になったと。そして三条さまのご親戚となれば、あのお二方は・・・。」


「小南くん。おそらく君の想像通りだ。わしは早くに妻に先立たれ子供もおらん。だからあの子らが自分の子供のように可愛くて仕方なかった。花江は傷跡を友人達から怖がられて以来、学校に行けなくなり、部屋にこもってしまってな。明も事故のショックで話ができなくなってしもうた。上の子たちは留学していて家にはおらん。両親も仕事で家を空けることが多い。使用人達も色々頑張ってくれたんじゃがな・・・。

あの子らに同世代の友達ができれば何か変わるのではと思い、子を持つ知り合いの家族を招待しては食事会をしていたんだが・・・。なかなかうまくいかんでな。そんな時に小南くんが食堂で家族の話をしているのを偶然聞いてな。もしかしたら・・・と予感がしたんじゃ。・・・平民の見ず知らずの部下である君の家族をあの2人に直接会わせて良いかと悩み、勝手に君の家族の身辺調査もさせた。君たちに申し訳ないことをした。・・・本当にすまなかった。」

「高貴な方のご家族に会わせるのですから身辺調査が必要だということもわかりますし、仕方がないことだと理解できます。ですが事前にご説明いただいていればと思うのも事実です・・。」

 

しばらくの沈黙破るように庭から子供たちの声が聞こえてきました。


「今度はみんなでお散歩ですね。うふふ。あの子たちとっても楽しそう。ねっ。あなた。」

花江の車椅子を正次朗が押し、両サイドでメイドたちが手助けをしている。ナヲと明は手を繋いで後ろからついてきている。

「わたくし、難しいことはよくわかりませんが、子供たちの未来は子供たちがつくるものだと思います。私達はそれを見守り、子供たちが助けを求めてきた時に助けてあげればいいんじゃないかと思うんです。」


「・・・そうだな。」

そう言って敏光はコーヒーを見つめた。

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