表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/49

プロローグ(※本編とはあまり関係ありません)

さらっと読み飛ばしてくださって大丈夫です……!

第1話からが本編となります。




 いつもは静謐(せいひつ)をたたえている文芸部の部室に、ドン、と鈍い音が響く。


「──ずっと前から好きだったんだ。別にいいだろ?」


 壁に手を着いたカズキは、私の(あご)をくいっと持ち上げると、甘い声で囁いた。


「だめだよ、カズキ。……ここ、学校だよ?」


 羞恥(しゅうち)から逸らされようとする、真っ赤に染まった私の顔。消え入りそうな声。

 だけど、その言葉の内容とは裏腹に私は抵抗できずにいる。


「……どうせ部室には誰も入ってこれないさ」


 強引に肩を抱き寄せられ、私は思わず目を(つむ)った。


「あ、カズ──っ、んっ」


 ふいに口が(ふさ)がれる。まず柔らかい唇の感触がして、それからもっと多くを求めるように口内へと舌が侵入してくる。舌と舌とが自然に絡み合って、吐息を交換する。

 お互いの息が切れるまで、深いファーストキスは続いた。


「っ……はぁ、はあ……んっ、カズキ」


「アヤカ……」


 互いの名前を呼び合い、ごく至近距離でとろけた目と目が合う。

 肩に添えられていた手が私の背中に回され、ぎゅっと強めに抱き締められる。


「……今日、家。誰もいないから。続きはそっちでなら、いいよ」


「わかった。……じゃあ、一旦帰ろうか」


「うん……」


 内側から閉められていた部室の鍵をカズキが開け、私の手を取って歩き出す。


 ああ、これから大人の階段を上っちゃうんだ……。

 なんてことを、私は考えていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ