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前線  作者: 御鎌倉
2/7

雲たちこめる空

章作るなどする…

各軍種ごとにやってく〜

ところどころ見慣れた描写があるかもしれませんね…!

↓あらすじ

飛び込め、戦友たちよ、敵へアクィラを奪われたくないのなら。私は己に課された義務の分は、共和国および将軍カエサルのために尽くすつもりだ。」

ローマ軍 第10軍団兵士 アクィリフェル


祖父の代まで、軍人の家に産まれた私にとって、

軍はヒーローそのものだった。


大陸を、大地を闊歩する地上軍

大海原を支配する海軍

空を果てしなく飛び回る航空宇宙軍

伝家の宝刀たる戦略ロケット軍


そして、あたかも「参上!」と言わん

ばかりに空から展開する空挺軍。


その姿はヒーローそのもので、物心ついた頃には

空挺軍と人生をともに歩むことを決意していた。


そして空挺軍の門をくぐって早3年。


そして今では、第1小隊のその筆頭、第1分隊に

配属され、奇しくも分隊員は初年兵時、教育大隊からの親友とも言える者たちだ。


更に幸運なことに、上官にも恵まれた。


分隊長のマシュコフ軍曹は怒ると怖いが磊落。

とっつきやすい人で、副分隊長のトカレフ兵長は

真面目な人で、忙しい分隊長の代わりによく相談に

のってくれる。


そんな私は、首都に駐屯する第31近衛空挺旅団所属の

アレクサンドル・ミハイロヴィチ・クルバコフ。

夢叶い、一生を空挺軍と共にすることを決めた人間だ。 


恵まれた上官の元、訓練を積み重ねていたある日、

間もなく秋季演習の季節がやってきた。


兵舎伝いの噂では、今回、かなりの数が動員されるとのことで、同じ分隊のフェジューシャと

一緒に全軍から参加部隊の割合を計算すると、海空軍を除いた約80%がこの演習に動員されるらしく、演習場近くの西部軍管区の部隊は、すでに設営と訓練、そして一部演習もしているとのことらしい。


兵舎屋上から見える首都中央駅では、カーキや、深緑色に塗装された西に向かう軍用貨車が何本も入線し、慌ただしくしていた。


普段見慣れない光景に、演習は大規模なものになると思い、フェジューシャの顔を見ると、神妙な顔つきでこちらを見ていた。


演習が大きなものであることは間違いなかった。

しかし、私の予想は的中しているか…フェジューシャは同じことを思っているかは分からなかった。


改めて駅を見る。夕日に照らされて入線する緑色の列車…中で兵たちはどうな思いをしているか、想像がついた。


去年、私も経験したが、まあ疲れたことを覚えている。そしてこれからもと思うと気が滅入ってしまう。




大陸の東西にまたがり、時差も3つほどある国での、気候の変化も激しい地域間移動の甘酸辛苦は大金を

積まれたとしても、なるべく避けたい程で。


「なあ、胸騒ぎがしないか?この前の訓練といい、

この数といい。」


いつも明るい分隊員のフェジューシャが不安げな声音

と共に俯いた。


「わからないでもない。ところで、行くとしたらどこだと思う?」


「変なこと聞くなって。共和国じゃないか?なんだか自国みたいで嫌だけどさ。」


お互い真剣な顔をして見合わせる。大体こういうときは的中する事が多かった。そしてそのうちに笑いあった。


馬鹿馬鹿しい。侵略戦争の一切を国際法をもって否定するこのご時世に戦争など。それに少なくとも私はこの国を守るために軍人になったのだ。


そう思えば思うほど、気持ちは沈む。どんどんと奥深くに。


「おーい!」


ふと後ろから声がして、ふり返ると分隊員達がいた。

オーリャにラーリャ、セリョージャも一緒だ。


分隊員の皆がそろったとき、自然と笑顔になった。さっきの感情など忘れたかのように。


兵舎の屋上、政権中枢とそれを中点として広がる

都市を背景にして、たわいもないことを話し合った。

これほど幸せで平和なことはない。永遠に願う日々とはこのことだろうか。



列車に乗って幾日か。ついに極東に着いた。

かと思えば10月の極東は、и-8汎用ヘリコプターが我々を乗せ、兵舎横の飛行場を飛び立ってから1時間で演習場の野戦飛行場についた。


予定ではここでいつ始まるかもわからない演習の命令を待つ。目まぐるしく移動し展開したこれまでと異なり、

現地はゆったりとした時間が流れていた。


日時はちょうど日曜の12時。昼寝から覚めて演習の要項をみている。


シナリオは、隣の共和国が内紛による政権崩壊の後、

思想的に先鋭化した結果、我が国に侵攻するところ

から始まり、続いて、我が軍による反撃が始まる。

そこからは伝統の縦深戦術の本領発揮だ。

陸海空軍が前線に攻勢を仕掛け、失地を回復する。


その時に空挺軍は敵の退路の遮断のため、前線から近い…と言っても70kmある距離に位置する民間

飛行場に降下し、地上軍と合流を図りつつ、空軍と

協力して、一挙に殲滅する算段である。


攻撃を受けてからの反撃であり、

そういうシナリオのため、空挺軍の出番は遅くなる

だろう。


待機中、兵馬俑のように真顔で臨んでいたが、

雰囲気はどこかほんわかしている中を、移動命令が出た。


その日の夜。すべてが変わった。

我々は中隊長から、共和国への侵攻命令を伝えられた。

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