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僕の中の怪物  作者: 悦可
2/6

僕の中の怪物②

「殺したいんでしょ?」「殺したくて仕方ないはず」「本当は殺したいんだよね」「そうでしょ?そうなんでしょ?」「憎いならせめて嫌がらせでもすればいいじゃん」「殺せばいんだよ、殺そうよ。」


僕「うるさい。僕に一方的に話しかけるくるな。」


忌々しい。「アレ」が僕に話しかけてくる。


僕だって善人になりたい。

いや、なりたかったんだ。


幸せになりたかった。友達も欲しかった。遊びたかった。

うん、そうしたかった。ただの普通な子でありたかった。


僕は別にこの白い天井と話してるわけじゃない。

右を向いてスプライトのカーテンを見る。外は日が沈む頃合。



「『愛』とはなんだと思う?」


僕「僕には手の届かなかったものだよ。」


「なんで手が届かなかったんだっけ?なぜ届かないの?」


僕「またそうやってズケズケと僕の頭の中に入ってこないでくれ。消えろ汚らわしい吐瀉物が。」


「なんでそんな冷たいの?なんでそんなぶっきらぼうなんだよ。」


僕「__なんでだろうね。お前がそうさせたのかもな。

考えさせないでくれ。お願いだから。」


僕はそうやって全部感情や「アレ」のせいにする。


「__あの頃は楽しかった?」



僕「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!

お願いだから黙ってくれ…。」



紙が燃える匂いを思い出す。あの頃の自分を燃やしたあの時。紙に書いたおまじない。お守り代わりに持ってた自分へのお手紙。

今となってはゴミ同然だから僕は大事にしてたお守りを燃やした。


はぁ…。薬を飲みたい。

沢山飲んで忘れてしまいたい。

浜辺に落ちている貝殻のような抜け殻の心でそう思う。

そして飲みたくても飲めない現実を天井を見て噛み締める。


僕は決まって枕にタオルをいつもひいている。目から出た水滴が枕のシミになるのを防ぐために。


「どうせ寂しんだろ」


全く、うるさいヤツだ。


「寂しくて可哀想な自分に誰か目を向けて欲しい?」


僕「思ってない。うるさい、失せろ。」


「アレ」は僕にヒルのようにくっついてはうるさく喋る化け物だ。

でも1番嫌で苦しいのは、「アレ」が言ってくる事は間違ってないという事。

「アレ」とは僕の精神そのものだ。


自分の精神、頭の中と話してるなんて変だよな、そんなの分かってる。分かってるよ。


でも苦しくてひっぺ剥がそうとしても剥がれない。こびりついてる。


本当はこんなのと一緒に居たくないさ。普通の人みたいになりたかったさ。

ただ僕の中の「アレ」はそう簡単には許してくれない。



寝てその場を凌ごうにも寝れない。

気を紛らわすために周りを掃除したり整理しように ももう済んでる。

ずっと一緒に居るしかないのかもしれないな。

溜息まみれの日々だ。



あぁ、そうだ。本当は憎たらしいヤツなんて沢山いる。「アレ」の言う通り殺したいさ。


僕はこの小さい箱のような部屋でうずくまってるだけの生活だ。

学校に行ってるやつ、友達と楽しく遊んでるやつは潰したい。

そんなやつが大嫌いだ。


僕だって毎日楽しく過ごしたかった。学校だって行きたかった。ただ愛されたかった…。

ただ妬ましかったんだ。そしてその気持ちが日に日に大きくなって苦しいんだ。


僕だって欲しかった…。

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