僕の中の怪物②
「殺したいんでしょ?」「殺したくて仕方ないはず」「本当は殺したいんだよね」「そうでしょ?そうなんでしょ?」「憎いならせめて嫌がらせでもすればいいじゃん」「殺せばいんだよ、殺そうよ。」
僕「うるさい。僕に一方的に話しかけるくるな。」
忌々しい。「アレ」が僕に話しかけてくる。
僕だって善人になりたい。
いや、なりたかったんだ。
幸せになりたかった。友達も欲しかった。遊びたかった。
うん、そうしたかった。ただの普通な子でありたかった。
僕は別にこの白い天井と話してるわけじゃない。
右を向いてスプライトのカーテンを見る。外は日が沈む頃合。
「『愛』とはなんだと思う?」
僕「僕には手の届かなかったものだよ。」
「なんで手が届かなかったんだっけ?なぜ届かないの?」
僕「またそうやってズケズケと僕の頭の中に入ってこないでくれ。消えろ汚らわしい吐瀉物が。」
「なんでそんな冷たいの?なんでそんなぶっきらぼうなんだよ。」
僕「__なんでだろうね。お前がそうさせたのかもな。
考えさせないでくれ。お願いだから。」
僕はそうやって全部感情や「アレ」のせいにする。
「__あの頃は楽しかった?」
僕「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!
お願いだから黙ってくれ…。」
紙が燃える匂いを思い出す。あの頃の自分を燃やしたあの時。紙に書いたおまじない。お守り代わりに持ってた自分へのお手紙。
今となってはゴミ同然だから僕は大事にしてたお守りを燃やした。
はぁ…。薬を飲みたい。
沢山飲んで忘れてしまいたい。
浜辺に落ちている貝殻のような抜け殻の心でそう思う。
そして飲みたくても飲めない現実を天井を見て噛み締める。
僕は決まって枕にタオルをいつもひいている。目から出た水滴が枕のシミになるのを防ぐために。
「どうせ寂しんだろ」
全く、うるさいヤツだ。
「寂しくて可哀想な自分に誰か目を向けて欲しい?」
僕「思ってない。うるさい、失せろ。」
「アレ」は僕にヒルのようにくっついてはうるさく喋る化け物だ。
でも1番嫌で苦しいのは、「アレ」が言ってくる事は間違ってないという事。
「アレ」とは僕の精神そのものだ。
自分の精神、頭の中と話してるなんて変だよな、そんなの分かってる。分かってるよ。
でも苦しくてひっぺ剥がそうとしても剥がれない。こびりついてる。
本当はこんなのと一緒に居たくないさ。普通の人みたいになりたかったさ。
ただ僕の中の「アレ」はそう簡単には許してくれない。
寝てその場を凌ごうにも寝れない。
気を紛らわすために周りを掃除したり整理しように ももう済んでる。
ずっと一緒に居るしかないのかもしれないな。
溜息まみれの日々だ。
あぁ、そうだ。本当は憎たらしいヤツなんて沢山いる。「アレ」の言う通り殺したいさ。
僕はこの小さい箱のような部屋でうずくまってるだけの生活だ。
学校に行ってるやつ、友達と楽しく遊んでるやつは潰したい。
そんなやつが大嫌いだ。
僕だって毎日楽しく過ごしたかった。学校だって行きたかった。ただ愛されたかった…。
ただ妬ましかったんだ。そしてその気持ちが日に日に大きくなって苦しいんだ。
僕だって欲しかった…。