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2日目02 対談

みな、気分が悪い状態で、何も話さなかった。


そんな中、容赦なくアナウンスが聞こえてくる。


「さぁ、対談の時間だ」


「あんたねぇ…

何を話せって言うのよ!」


「なんでもいいさ、雑談でもいいし、好きな音楽でもいいし。

 そういうところから、相互理解と言うものは生まれていくんだ」


理解。

理解がどうしたというのか。


「…世界は滅びるべきかもしれないです」

テレパシー少女の幸恵が呟いた。


「は?」


私は思わず、突っ込んでしまう。


「いえ、何でもありません」


「世界が滅びるかどうかの問題を、何でもないとして切り捨てるのは問題があるね」

宋史が返す。

「え、えっと…」

「弘樹くん、君はどう思う?」


「…は…。

世界は滅びやせん!なぜならそこにはセックスがあるからだ!」


「君は何かとあればセックスセックス言ってるけどさ、

 過去に何かセックスにまつわることがあったのかい?」

宋史が、やけに攻めているように思えた。


「は?」


「例えば父親と母親がまだ子供の君の横で平然とセックスをしていたとか」


「なんで知ってやが…!!」


「やっぱり君のことだったか」

そこまで言って、宋史は口調を変えた。


「これはこういうゲームさ」


「ど、どういうことですか?」すずがあたふたする。


「テレパシーキター!!

つまり、宋史くんが見たカードの元の持ち主は、弘樹くんだってことね!!」


「それ、テレパシーじゃなくてただの推理ね」

由衣がつっこむ。


「そういうこと。つまり、弘樹くんがセックスセックス連呼している理由は、

父親と母親が平然と自分の横でセックスをしていたからだと、僕たちは理解したわけだ」


「そ、それが何だってんだよ」


「これが最後の理解フェイズにつながる。

相手を理解すること。このことが大切なことなんだよ」


「チュートリアルに使わせてもらってごめんね。

でも、僕の所に分かりやすいカードが来た時点で、そうなる運命だったんだよ」


「そうやってお互いをぐるぐる巻きにしながら理解していくゲームってことですか」

ぐるぐる巻きは余計だが、千里さんが言った。


「ってことは、あなたのそのぐるぐる巻きにも理由がありそうね」

「私の心はぐるぐる巻きになっていて、それはぐるぐる巻きになった縄跳びをぐるぐる巻きになったロープでしばって、そのロープをさらにぐるぐる巻きにしてゴミ箱に捨て、

それをぐるぐる巻きにしてロケットで打ち上げるぐらいにぐるぐる巻きなのよ。

そんな簡単にほどけるものだと思わないでくれる?」


「…なら、共有しやすいところから共有しましょうか、高等遊民さん?」


「…黙れ愚民」


「あなたが他人を愚民扱いしているのは、お父さんが優秀な政治家であったにも関わらず、

あなたの選挙区の人たちがお父さんを裏切った、そうあなたが感じてしまったから。

だからあなたは勉強しない、無関心な人間たちのことを愚民と呼び馬鹿にするようになった」


「いい加減にしろ!

愚民は愚民なんだ!

政治のせの字も知らないくせに首を突っ込んで、

そのくせ足ばかり引っ張る!」


「さくら姉さまのカードは、清三さんのカードだったんですね」


「でも、私はあなたのことを理解できると思った。

私も、正直、愚民と呼ばれても仕方ないのかと思った。

なぜかって?わたし、政治について全く知らないし、知ろうともしていないもの」


「本当はみんなに分かってほしかったんじゃないかい?自分が勉強不足であることを。

それであえてきつい言い方をして、煽っていた…そんなところかな」

宋史が付け足す。


「お、おれは…」


「最終的には、ただ、父親の汚名を晴らしたかっただけなんだ…

あんなに皆のために頑張っていた人間が、なぜ、みんなの的になって、

みんなから攻撃されるのか…

その不条理を、なんとかしたかったんだ…」


…げほっ!


「清三さん!?」


清三さんは、突然、口から血を吐いた。


「あーあ。自爆の形になっちゃったね。

まぁ、一番最初だから、こればかりは運が悪いとしか」


「自爆!?何を言って…」




「理解フェイズ」


スピーカーの声が響き渡った。


「最初の理解者 3番、乗村清三」

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