5日目04-理解②
「どうしても、このまま状況が動かないようなら」
健二はそう言い、私の前に回り込んだ。
「!?何をする気…」
健二に力づくで押し倒される。
まさかの事態に、私は全力で抵抗する。
しかし、男の力には敵わない。
健二の手が、私の首筋に触れる。
「な、なんてことをするですか!
暴力は禁止事項ですよ!」
「しかし、こいつを殺すには、これ以外方法はない。
俺はルール違反でゲームオーバーかもしれない。
すず、おまえが生きろ」
「んー!んー!」
片手で口をふさがれ、首筋にふれたもう片方の手に力が加わる。
やばい。
殺される。
「そんな…
そんなのって…」
すずはおびえ、立ちすくむ。
首を絞められる感覚。
苦しい。
死ぬ。
「…ぷは」
が、その手の力が緩む。
「…はぁ、
はぁ…」
息をする。
「…な、ぜ」
「…ごめんなさい。
わたし、さくら姉さまのこと好きなのです」
「健二さん、あなたは昔から能力のある人間に踏みにじられ、
それに抵抗するたび、それ以上の反撃を受けて押さえつけられてきたのです。
そして、あなたは黙ることで生き延びることを選んだのです。
しかし、あなたは心の底で自分を虐げた優秀な人間に嫉妬していたのです。
それは復讐の炎となって、あなたの心の奥底で、ずっとくすぶっていたのです」
急に饒舌になるすず。
そして、健二は力尽き、動かなくなった。
「さくら姉さまが死ぬぐらいなら、私は殺人者になることを選ぶのです」
「なにを、わけの
わからないことを、言っているのよ…」
「さくら姉さまも傷だらけなのです。
みんな傷だらけなのですが、さくら姉さまは特にひどいのです」
「…」
「それは、いちばんすずがよくわかるのです」
ああ、そうか。
こんなところに、一番の強敵がいたのか。
「はぁー…」
ようやく心臓の動悸がおさまった。
「さくら姉さま」
すずが、私の目を見つめて言う。
「助けた代わりに、すずのお願い聞いてほしいのです」




