5日目03-理解①
「おまえは、何らかの理由があって、過去に人を殺した」
…。
「そして、裁かれもせず、のうのうと生きている」
…。
「だが、心のどこかで裁いてほしいと感じている」
…。
「だから、自分を殺す、もっと自分より怖い存在を求めている」
…。
「簡潔だが、これで終わりだ。
さて、何点ぐらいだ?」
「うーん」
私は首をひねった。
「部分点含めて、100点満点で10点ぐらいかな?」
がくり。
健二はうなだれた。
「そもそも論として、生き物はほかの物を殺すことで生きながらえているわ」
私はまくしたてる。
こういう時ほど、饒舌になるのは、私の癖だ。
「裁く?誰が誰を?何をもって?何様のつもり?わたしにはそう思えてならない」
「自分を殺す、自分よりもっと怖い存在。
まぁ、ワンチャンあるかもしれないけど、
そんなものはこの世界にたくさんありすぎて、求めるまでもない、かな」
ああ、ヒント出しすぎ。
なんなんだろう、私。
この死にたがり。
「すずはもう意味が分からないですが、一つだけ確かなことがあります」
「いたの」
「こんな状況でまで無視するでテレパシー!?」
語尾がうつってる。ポーズまでうつってる。まぁ、それはスルー。
「さくら姉さまはやべーやつです!理解しました!
どやぁ!」
知ってた。
「あんたに、私の何がわかるって言うの?」
「はい、わかりません!」
「でしょうね」
「さて、次、ぐるぐる巻き」
「ひっ、寄るな、怪物」
「いや、束縛者」
「…」
諦めの声が出たような気がした。気にしない。
「この間、SEX大好き少年から聞いたわ。
男に縛られ、男を縛ることで、ずっと一緒にいられると思いたかったと」
「…」
死期を悟ったのか、少し千里さんの顔が穏やかになった気がした。
「でも、現実はそうではなかった。
男は浮気をし、あなたのもとから離れていった」
「…」
「あなたはぐるぐる巻きになりたかった。
心と心をぐるぐる巻きにしたかった。そうでしょ」
ああもう、共有するためとはいえ、ぐるぐる巻きぐるぐる巻き喋ると噛みそうだ。
そう考えるとこの人はすごいと思う。
「心をぐるぐるにまいてくれる人を探していた。
ぐるぐる巻きぐるぐる巻き。そうしつこく話していても離れていかない人と」
結論。
「寂しかったのね。あなたにあう言葉はそれだけ。
巻かれ巻きあうことで、紡ぎたかったんでしょ」
「そこまで見抜けるなんて、すごいわね。
殺すなら、私をぐるぐるに巻いて殺してほしかった。
そうしたら、寂しくなんてないのに」
「残念だけど、人は最後は一人ぼっち。
紡いだ糸も、ほぐれて消えていく」
私は、悲しそうにそう言った。
いや、事実悲しい。
残ったのは、三人。
沈黙が支配する。
が、三人はやはり問題だ。
二人にした方がよい。
それは最初から決まっている。




