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中編

☆ナギル男爵邸宅


「お前は転生者だろ?なら、内政チートを起こして見せろ!」


「フン、よゆーよ。よゆーだからね!」


「でなければ、市場税を15%に上げろ。ワシら男爵一家は、王都に行く。ワシが王宮の大臣に仕官するための運動をするのだ!」


 ・・・ヒヒヒヒ、税金を上げすぎて、自領では、評判が悪い。

 ワシを増税男爵と場違いな批判をする奴がいる。


 だから、こいつに、税金を上げさせて、ヘイトをこいつに向ける。

 何せ。自称、異世界人だからな。嘘に決まっている。

 異世界人なら、王宮か、聖王国で保護されているものだ。


 異世界人なら、内政チートを起こして当然。


 内政チートは失敗して、やはり、増税しなければいけないと説明が付く。


「後は、執事に聞け。いいな。今よりも豊かにしないと、異世界人詐称罪で磔の刑だ!」


「分ったのだからね!」



 ・・・・


「サリーよ。さあ、今こそ、我に願いを言え。この領を増税無しで豊かにしてみせようぞ」


「フン、大丈夫だからね。プランあるんだからね」


「あの、サリー様、執事のセバンと申します。内政チートをなさらずに、増税をしては如何ですか?これが、増税のスケジュールです」


 ビリビリビリ!


 サリーは、予定表を破った。


「ヒィ、それをしないと男爵様から罰を受けますぞ!ウグ・・」


 執事は、男爵による折檻を予想して失神した。


「セバンさん。民と領主の間で、ストレスたまってたのじゃない。中間管理職の悲哀なんだからね。休ませるからね!」


「サリーよ。どうするのか?異世界人なら、なんや珍しいものでもつくれるのか?」


「フン、そんなもの作らないでも、改革はよゆーよ!協力してもうらうからね!」



 ☆☆☆一年後、王都



 ナギル男爵は王宮での仕官活動をすると言っていたが、実体は、家族で遊んでいただけだった。


「お父様!見て、王城よ!ポーズを取るから、魔道絵を撮って!」

「おお、可愛い娘よ。いいぞ!これが、視察の証拠になる」


 パシャ、パシャ


「今日は領から仕送りが来る日だ。帰りに商業ギルドに寄るぞ」


「父上、仕送りの日だということは仕送りが入るというこですね」

「おお、ヨハン、さすが、嫡男。頭がいいな」


 ☆☆☆王都商業ギルド


 しかし、送金伝票を見て、驚くことになる。


「な、何だと、金貨80万枚・・10倍ではないか?」

「旦那様、増税が成功したのですね。ドレスを買っていいかしら」

「10倍ということは、金貨が10倍入ってくることですね」


「あ、ナギル男爵様、こちらへ、実は投資のお話があります。是非、執務室に来て下さい」


「ああ、一体、どうなったのだ!」


 あちこちから、投資の話がきたり、社交界に呼ばれたが、


 遂に、

 ナギル男爵は王宮に呼ばれた。


 王太子が主宰する政策・領地経営研究会だ。


 王太子と婚約者が直々に、王門で出迎える。


 ワシは、爵位を継いだときしか来ていない。それも、1年に一度の、低位貴族をまとめて、謁見する日だった。

 どうなっておるのだ。


「ようこぞ、ナギル男爵殿、こちらへ」


「キャアー、王太子、イケメン!」

「これ、娘よ。カテーシをしなさい」


「ハハハハハ、良い。ナギル男爵と私の仲ではないか」

「エスコートしてぇ~」


「ヒィ、これ、娘よ。やめろ。婚約者殿がいるのに」

「まあ、よろしくってよ。王城に不慣れな田園風景が綺麗な領地の令嬢ですものね。あら、どなたでしたっけ?」


「クララでーす」


 ヒィ、ワシでもそれは不味いと分るぞ。


 王太子殿下とは、今日、始めて、会話をした。遠目に見たことがあるだけだ。

 殿下は、「男爵と私の仲」とか言っている。策略の匂いが、プンプンする。


 それに、婚約者は公爵家令嬢、娘に嫌みを言っているのが分る。


 娘は、領地では、一番の令嬢だから王女のように振る舞わせた。・・・教育をおろそかにした。

 不敬罪で殺される・・・



 ☆王城会議室、政策・領地経営研究会


「さあ、ナギル男爵、短期間の大躍進の秘訣を教えて下さい」

 ヒィ、いったい。あの異世界人は何をしたのだ?


「はい、僭越ながら、ナギル男爵家嫡男ヨハンが、父の偉業をお話します」


「「「オオオオオオオオ」」」


「父上は、市場の視察を良く行います。民の声を良く聞くためです」


「「「「ほお、ほお、ほお」」」」


「それで、ゴミ箱を見ます。父上は言いました。

『何だ。まだ、菜っ葉の切れ端があるではないか?まだ、増税は可能だ』

 と民に余裕があると見抜きました。そして、増税の計画を立てました」


「「「「・・・・・・・」」」


「まだ、ございます。父上は、『物価が高い。押さえてくれ』との声に対して、

『何だ。一度、政策で介入すれば、民はそれを期待して、物を買わなくなる』

 と言って、放置しました。

 物価は、食料品などが上がり続けていますが、放置です。

 それで、充分、領政は回っています」


「「「「・・・・・・・」」」


 沈黙が続いた。

 王太子は皆の気持ちを代弁する。


「これは、失敬した。いきなりは手の内は明かさない・・なるほど、私が、男爵殿でもそうする。そうだ。偉大なナギル殿に、男爵は窮屈かもしれない。

 爵位をあげようか」


「王太子殿下、父上は、外務卿が適任かと思います」


「アハハハハ、そう言えば、大躍進前に、小金を、領外のあちこちにバラ撒いていたと聞いていたな」


 ・・・息子よ。やめろ。何、やる気になっているのだ。


「それを含めて、おい、おい、決めようか。今日は、有意義な話を聞けて楽しかった」


 ・・・・


 男爵一同が帰った後、


 王太子は、政策メンバーと協議をした。


「だめです。本人に聞いても、とぼけています」


「カゲを潜入させていますが、無税で、労働無しで暮らしている領民もいるとか」


「内政チートが起きたのか?」


「いいえ。確かに、ゴーレムのアームの生産に特化していますが、既知の技術です。市場価格よりも安く、品質は保持されています」


 腕型の魔道具で、これを腕に通すと。数倍の力が出せる魔道具であるが、価格と効果が釣り合っていなかったので、一部、軍隊でしか使われていなかった。


 それが、ナギル領から、農家が無理をすれば、買える値段の物が販売されるようになった。

 ローンの金融業と提携し、金利と販売代金セットでウハウハ状態だ。


「この改革は、あの男爵の器ではあるまい。実際に、領政を仕切っている者は?」


「それが、書記長に、サリーと言う帳簿付けがおりますが、書記長です。その他にも、何とか委員長とかの役職が多くて、

 特定不可能です」


「フム、やりおる。書記長、板書係りに権限はあるまい。外国の仕業か?いや、国を潤す意味が分らない」


「まあ、良い。しばらくは、このまま様子見だ」

「「「御意!!!」」」


最後までお読み頂き有難うございました。

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[一言] これはどこかで見た増税!! そしてバラ撒き!!!
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