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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
幕間3 デイブレイクジェミニ
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デイブレイクジェミニ 2

キーラーはため息を吐く。


「神ねぇ、人が苦痛や苦難を乗り越えるために信仰が必要というのは知っていますし否定も肯定もしないですけど。この天空教、これはなんかほかの宗教とは違い今ある現実から目を背けている感じがして嫌ですわ」

「できたのは大昔の宇宙開拓時代ですが、そのころは戯言と笑えていたのですが名前だけ借りてリニューアルした歴史の浅い宗教ですからね。ただ新しいがゆえに過去の対立がなく、柔軟に信徒を集めることができてあらゆる陰謀論や不平不満を糧に育っていっています」


「遭遇から一度たりとも彗星とのコンタクトをとれたことがないのに神? これ管理下に置かれるとか言っていましたけど、彗星の接近を許せば我々は普通に殺されるだけでは?」

「でしょうね? 増税や生活苦に対する反対運動や不満のはけ口に使っているだけですから、そこまでは考えていないのではないでしょうか。冥王星コロニーの移動の際にそこに住んでいた人間の暴動を見たことがありますが、人が人を傷つけお互いを罵り合い憎み呪い合う、遠くの脅威より目の前の生活の方が大事なようです」


「滅びるかどうかの生存戦争の真っ最中だというのに、人類は一つになれないのですわね」

「争いのない平和の世であっても貧富や立場、幸福度などを他者と自分を比べ世界を恨むような人もいますし、十人十色千差万別、万人が一つになることはないでしょう」


「悲しいですわね」

「悲しいですね」


民間船と一緒に映るモニターに映る長砲身のカストル改修型。

のんびりと目的地を目指し。


「ところで副艦長さん。わたくしは船の指揮しか習っていませんでしたので無知なのですけれども、今更カストルなんて改修して何か意味はあるんですの? 撃ち出す砲弾は基本今まで通りのベトン弾で変更ないのでしょう?」

「そうですね、長年の戦闘で破損し解体した船体から、使える部品を抜き取っていると。長砲身化させることでより高速で砲弾を飛ばすことができるようになりました、砲弾の無理な加速は砲撃時に船体に大きな振動となって帰ってきて、揺れた艦内で壁や床に体を打ち付けて負傷者が出ますからね。それに速度が上がればそれだけ威力も上がるということです。ベトン弾ではない砲弾、核弾頭をより彗星の地下深くへと送り込むための改装です」


「でもただでさえ第一世代の砲艦であるカストルはシリウスと同じで鈍重なのに、船体が伸びたことでより機動性が落ちたように見えますが? あれはいいんですの? あまり姿勢制御スラスターが増えたようにも見えませんし」

「第一世代は後方からの砲撃がメインですから、第二世代と第三世代が前衛を張ります。何なら長砲身化と並行して双胴砲艦も試験的な製造していますね」


「うぅ、どうせならそちらにしてほしかったですわ、船体が大きくなった分冷却液も多くそれでいて砲撃のペースは変わらないから格納庫も増設されるのでしょう?」

「そうですねただ撃つだけだから砲撃指揮は、艦首砲が増えても射撃管制室一つでいいのではないかという取り組みです。懸念されている点は第二世代より大きくなってしまったため陰に隠れての射撃ができず的になるのではという点と、どちらかの艦首砲が損傷したとき重量のバランスから直進できないのではと、そのためのデータをいろんな形で集めているんです」


「でも、せっかく改造したカストルK4444は前線に行かないんですわよね?」

「余った部品を使った試験的な製造ですから。前線に行かないからこそ長期的に機動性や推進剤の消費等のデータをとれるんです。クリアランスを主兵装としたシリウスレーザー砲艦の生産も始まりましたし」


「これ戦争終わったときカストルはこのままで返却されるのでしょうか?」

「貨物を撃ち出す速度は宇宙法決まっていますし、船体が長く伸びた分使い勝手悪そうですね」


「笑い事ではないのですわよ……うちのエンケラドス貨物船なのよ。一隻何百億すると思っていますの。整備や燃料補給で何千万とかかりますのに」

「双胴艦改修ならば格納庫の拡張もあって使いようはまだあったですのにね」


「それさっきわたくしが言いましたわよ。なんであれ今は兵器開発の迷走期に入ったのですわね」

「前までは今あるもの、艦首コイルガンをもつオールブレイクキャリアで彗星を破壊しよう、それを守るディフェンスエクストリームフリートとグローリアスホープインセプションを用意しようということでしたけど、思った以上に時間がかかりこのアステロイドベルトを過ぎれば火星まで何年もありません。コロニーは移動できますが星は無理です。それに彗星の目的地が星である以上、早急に彗星を破壊できる兵器を作らなければならないんです」


「彗星は星へ向かっているというのはもう何年も前から分かっていますが、その理由は何ですの?」

「おそらくは種の繫栄ではないかと言われていますね。彗星自体が岩石の塊、目的が氷惑星でもなくガス惑星でもなく岩石惑星であることと、彗星自体はお互いの潮汐力で内部を温めていることから一定の熱に晒されている必要がある星。火星、地球、金星、水星が彗星の狙いだと考えられています」


「エリスやケレスやガニメデではだめと」

「彗星自体の動きからして狙いは星一択、同じ岩石の塊でも太陽系外遠の衛星、準惑星クラスではだめなのかもしれませんね。でもすべては憶測なのです、わからないことばかりです。実際に彗星が星へ向かった時に何が起こるかを見るまではすべて創造の範囲を出ません」


「星へ向かったら、そうしたら人類滅亡じゃない?」

「はい。仮に居住惑星を失った場合、残されたコロニーだけでは食料も消耗品の生産も現在の人類の総人口分を賄うことはできません。当然コロニー間で資源の奪い合いが起きるでしょうね」


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