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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
二章 先人の後に続くもの
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総火力 5

 後に続く他の作業艇たちの核爆弾を乗せたコンテナの回収中、護衛についていた第三世代の砲塔が虫の触角のように動き始める。

 作業艇同士の短距離通信が騒がしくなるとアルタイル0020から全体へ通信が入った。


『こちらはアルタイル0020だ。こちらに戦艦級が接近してきたのをレーダーで確認した。我々は戦闘へと向かう、ここで戦うと諸君らを巻き込むためこれで護衛を終了する。おそらくそのまま合流することはないだろう。本作戦クアッシュクイッククエーサー、サンキュー作戦攻撃の成功を祈る』


 大型魚に張り付く小型の魚のように寄り添っていたコンテナを引き連れた作業艇が蜘蛛の子を散らすように離れていく。

 そして三隻の第三世代は減速しつつ方向を変え向かってくる敵を迎え撃つべく作業艇群から離れていった。


 離れていく艦艇を見送りアカツキは不安を紛らわそうと呟く。


「どのみちもうすぐデブリ帯だ、クリアランスでも排除しきれない数の彗星の破片が散らばっていて護衛はできなくなる」


 爆弾改修後少し加速をし彗星へと近づいていった。

 先の攻撃の影響か三つある彗星の一つが、他二つよりやや離れた位置にいる。

 その一つが今回破壊する対象で以前より集中的に攻撃され今回とどめを刺すべく総火力で攻撃されていた彗星だというのは、他二つに比べ格段に小さくなっているのが遠目からでも分かった。


 第三世代が相手をしてくれたのかもとより気が付かれていないのか、一度目の攻撃同様に静かに彗星へと迫る。

 アカツキがモニターをズームすればその彗星は、新たに生やしたキノコ状の傘が亀裂の入った地表を多い勢いよく推進剤を吹き出していて彗星を覆う白いガスが濃くなっていた。


『一つが、少し離れたな、爆発の影響か?』

「どうだろう、でも他二つから離れようとしているのは確かだ。攻撃は聞いている、でも今何とかしないとまた回復してしまう」


『本当なら、前線から、また集中攻撃が、行われているはずだか。どうだ?』

「ああ見える、離れていく彗星めがけてベトン弾か何かが広い範囲に雨のようにぶつかっているのが、地面が捲れあがって水が跳ねているようにも見えるほどだ」


『ということは、前線は、向かって行った戦艦級を、倒せたということか』

「なのかもな。向こうは全大陸指揮下の動かせる攻撃艦艇をすべて出しての総攻撃で数が多いから」


『空母艦体も無事だといいな』

「ああ」


 彗星に近づくに連れ一度目の攻撃と同様にデブリの数が増えてくる。

 行きと違いその数は圧倒的なまでに増えよけるのが難しくなるほどにふえ、お互いがぶつかり合わないように作業艇同士が距離を取った。


『クリアランスを付ける』

「ああ、でも本当に小さい物しか排除できない。よけることには変わりないから気を付けてくれ」


 カツン、ゴツンと作業艇の先端に小さなデブリが当たり、その振動がアカツキたちを不安にさせる。

 周囲を見渡せば同じようにデブリに注意を払い大きなものを避ける作業艇が牽引する積み荷を蛇のようにくねらせるのが見えた。


「今の速度だと触れるデブリが弾丸や戦車の砲弾より威力があるからな」

『揺れるたびに、肝が冷える。私は子供たちが待っている、攻撃を成功させて、帰るんだ』


 視界の端でデブリが装甲を貫通したと思われる作業艇が一瞬よろめいた後に爆発し推進剤のガスをまき散らし制御を失って巨大な岩石片に衝突する姿。

 牽引する核爆弾は時限式で攻撃や衝撃程度で爆発はせず、作業艇に続き岩石片に衝突し潰れていく。

 爆発も岩石への衝突も一瞬でそれを通り過ぎていくのも一瞬、数秒後には元から何もなかったかのように彗星に向かう作業艇しか見えなくなる。


「ああ、何が何でも今回で彗星をひとつ破壊する」


 彗星の攻撃位置まであと少しというところで周囲のデブリに電波を乱されたノイズまみれの通信が入る。


『……アァ……で、……にげ……戦艦級だ! ……クソッ、こっち……がる!』


 戦艦級という言葉にアカツキは前後左右、作業艇の窓から見える限られた視覚から通信を行っている作業艇を探す。

 白い帯が何本も射程おそらくは十数キロ、狙われている作業手が見えない距離で放たれているのがみえた。


「クルックス、八時の方向戦艦級だ。こっちに来ないよう少しでも離れられるか」

『正面に迫る、デブリを避けるだけでも、苦しいが。やらないといけないことだ、距離を取る』


 返事を返すと同時にクルックスの操縦が荒くなり、遠くで暴れる戦艦級から離れるように向きを変えて彗星へと向かい始めた。

 作業艇は彗星に核を落とすためだけの乗り物、もちろん数百メートルもある戦艦級などと戦える武装などなく逃げることしかできない。


『まだ推進剤に余裕があり無茶ができる』

「もとより逃げたり避けたりするため、ただ進むより多く推進剤が積まれている。まともに扱っていれば余裕は十分にあるはず」


『ただ、余裕をもって残しておかないと、艦隊を、探す分が、なくなってしまうが』

「……だな、操縦を任せっぱなしで悪い俺にも何かできることはないかクルックス」


『ならほかのみんなにも知らせてやってくれ、気が付いていないものがいる』


 アカツキは周りの作業艇にも危険を知らせるため短距離通信を入れる。


『彗星から九時の方向、戦艦級が来ている。こちらへ向かってこないようできるだけ距離を取っておけ』


 くり返し他の作業艇に知らせようと大きく息を吸っていると聞きなれた声が聞こえてきた。


『アカツキ、クルックス!』

『ダンゴか、合流できるとは思わなかった。戦艦級がいるできれば距離を取ってくれ』


『今スワがやってるよ、こいつ元宙艇レーサーだ。牽引するコンテナなんかないように機敏の操縦しやがる。多分衝突はねえよ』

『そうなのか、意外だな』


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