鉄塊乱舞 7
大きな塊に気を取らている間に六隻の第二世代のレールガンによって向かってきた戦艦級は破壊された。
しかしその残骸が広範囲に散らばり向かってくるときと変わらず速度を落とすことなく飛んでくる。
『突っ込んできた戦艦級を破壊しましたが破片が向かってきます!』
『クリアランス展開! 最大出力!』
「攻撃を続行しクリアランスで融解しやすいよう大きなものは細かく砕け! 核の爆発によるノイズで巨大な塊や奥の戦艦級に攻撃ができない、この間に粉々にしろ!」
破壊した戦艦級に向かって砲撃を続け、戦艦級の残骸を跡形もなくなるように壊していく。
『核の爆発による、ノイズ消えました!』
『耐えた、戦艦級の他。塊が影となりその裏にいた、複数の戦艦級が健在。戦艦級八!』
「だが、だいぶ数は減ったな」
『そうですね、ですが……』
戦艦級が艦隊へと向かってきて画像には、次第に鮮明に移されていく戦艦級の背後にいる大きな塊。
核の攻撃を受けて表面の網目もキノコの傘や砲台の瘤が蒸発し、ただの小惑星らしくなっていた。
半分が蒸発し残った部分で推進力を得ているため塊は歪な回転を始め、その回転で無事な砲塔部分が艦隊の方へと向いてくる。
『残った戦艦級すべてが突撃を開始!!』
「やぶれかぶれか。だが残った核ミサイルを塊へと向かって撃ち込め。半面を核で焼かれ先ほどより迎撃率が落ちているはず」
増援にやってきたコールサックに攻撃を要請させ破壊した破片と遅れて迫ってくる戦艦級に気を取られていると、後方にいた回転し始めた塊からの一斉射が放たれ画面に映る艦隊を横切っていく。
横切る太い白い光の真ん中に艦影が映る。
『再びベテルギウスb0172が被弾! 六発が直撃し、推進器が二つ破損したと、航行に難あり!』
「一隻を集中的に狙って、今更だが奴らに知性はあるのか?」
『不明です。あの戦艦級などから生えている昆虫の触覚のようなもの、損傷時一番最初に生えてくるものでレーダーとしてこちらの電波や熱を探知するのですが、あれで彗星本体となんらかのコミュニケーションをとっているらしいのです。研究者たちによると昆虫程度、目の前の敵を排除する程度しかないと』
「あの大きさで昆虫程度か。昆虫が戦いを学ぶか?」
『生きたまま捉えるのが難しく、推測しかできませんから』
画面に映される損傷の激しいベテルギウス。
複数の攻撃を受けてもなおも戦闘を継続するその姿を見て、第二世代の頑丈さを再確認するミヅラ。
『あと五分で先に破壊した戦艦級の残骸が通過します』
「クリアランスで破壊しきれない破片の衝突、衝撃に注意するよう艦内に伝えろ!」
話している間に取り巻きのいなくなった塊へとはなったコールサックから核ミサイルが炸裂しノイズで画面が乱れる。
「威力があるが画面がみずらくなるな」
『はい、それでも殲滅力が違うからデメリットよりメリットを取り多用されています。その結果、補給されたそばから放ってしまいすぐ枯渇してしまっていますが』
ノイズが消えると核の攻撃を受けて塊に大きな亀裂が入り砕ける瞬間が映る。
塊の破壊に皆が喜ぶ。
しかし戦艦級同様その破片は艦隊へと向かって飛んでくる。
『このままだと残骸の衝突コース!』
『破片の中には戦艦級と同等以上の大きいものもあり、クリアランスでは排除しきれない恐れあり!』
情報をまとめたものがモニターへと映され、散らばった破片が進むべき新路と重なり減速も進路を変えても範囲から逃れることはできなくなっている。
「随伴艦に加速を指示! 素早く通り抜ける! この情報を他の艦にも……」
『ミヅラ艦長落ち着いて、どの船でもやっています』
『推進器の破損がひどい損傷艦三隻と集中攻撃を受けたベテルギウスb0172では加速が追いつかず残骸の予想散布範囲から逃れられません!』
「核を放ちその勢いで破片を払う」
『今から放っても間に合わないでしょう、我々が巻き込まれます』
『やむを得ないですが、あきらめるしか。損傷艦をベテルギウスb0172と行動させ砲撃とクリアランスの総火力をもってすれば。運よく大きな破片が飛来しなければ無事に潜り抜けられます』
「祈るしかないのか?」
『先ほどの向かってくる戦艦級を砕くのとはわけが違います。再活性化の恐れのある破片が混じっているんです、正面から飛んでくるものだけでなく側面からの攻撃を……』
「わかった、もういい……艦内放送を、損傷艦を少しでも多く逃がす。が、我々はベテルギウスb0172とともに速度が出せない損傷艦を守るために盾となる。我々が守っている損傷艦を他の船へ」
艦隊の配置の変更と動ける船は、戦闘のために停止させていた推進器を稼働させ速度を上げて破片の予測進路から離れようとする。
加速し離れていく艦隊を見送りミヅラは大きく息を吐く。
「皆、私を恨んでくれていいぞ。ベテルギウスb0172とともに我々が守る三隻の艦種は」
『シリウス、カストル、メラクがそれぞれ一隻ずつで三隻』
「三隻ともシリウスでなくてよかったというべきか、メラクには民間人が乗っていないんだな」
『巨船三隻の防衛は大型艦二隻でも厳しいですからね』
オペレーターの困惑したような声で報告が入る。




