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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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流れ星 2

 コロニーを出て宇宙を進む民間船マケマケ223。

 宇宙に道はなく目印になるものもない、そのためコロニーへと電力を供給する巨大な花のようにパネルを広げたレーザー送電システムを灯台代わりに進む。

 その横を通り抜けるとその奥に巨大なリング状の構造物が見えてきた。


 太陽系内を自由に移動できる技術発展の要、惑星間移動の中継地点に置かれるシンギュラリティゲート。

 進行方向上に純白の巨大なリング状の建造物が見えてきたところで、操縦席内に呼び鈴が鳴り響き受話器を取る。


「ゲート管理室へ、こちらマケマケ223。客船、火星へと移動したい混んでいると聞いたがどのくらいかかりそうだ? 見たところ一隻もいないようだが」

『こちらへと向かってくる民間船へ、こちらシンギュラリティゲート管制室。星軍からの要請で、こちらのゲートは使えなくなった。すべての船は港へと引き返すように、ここにいてもゲートをくぐることはできない。すぐに引き返すように』


「待て待て、こちらは正規の手続きを終えているはずだ。それに乗客もいる、戻るにもここまで三時間、同じ時間をかけて戻れと? 会社の信用問題になる、指示を仰ぐため支部に連絡をさせてくれ」

『こちらも詳しい詳細は知らされていないんだ。とにかくゲートは使えない、なるべく早く引き返してくれ。すでに三時間ほど前に通達は出ていたはずだ!』


「こちらは何の報告も受けていない」

『行き違いか、繰り返すが星軍からの指示だ、細かいことは伝わっておらず理由はよくわからない。とにかくすぐ引き返すように』


 話が平行線のまま続きツヅミは冥王星起動コロニーにある支部への確認の連絡を取りながら乗務員へと指示を出し乗客への説明と対応を任せた。




 ――





 シリウス砲艦とカストル砲艦は敵彗星に向けて照準を定めていた。

 広く目印になるようなものがない宇宙では実感しづらいが、お互いに超高速での移動をしていてシリウスら戦闘艦艇の進路のかなり先に太陽の光を受けて冥王星の輪郭が見えている。


「シリウス射撃管制レーダー、彗星をとらえました。彗星中央に照準!」

「敵彗星、甲殻内温度上昇。攻撃の兆しあり!」

「観測衛星に注意を向けさせろ」


 指示に従いオペレーターたちが操作を行った。


「了解、観測衛星、サーモデコイ起動。搭載ミサイル発射」

「ミサイルはすべて反応ロスト、甲殻内温度一部減少。敵、デコイにつられました」


「観測衛星、反応ロスト! 衛星の反応消えました!」

「管制室から管制レーダー同期完了の報、砲室より装填完了の報、撃てます!」


 観測衛星が送っていたレーダーの情報が消え、代わりにシリウスがとらえたレーダーの情報に切り替わる。


 推進用のブースターを切って慣性で航行していたシリウス砲艦が艦長の号令で砲撃を行い、それに続いてカストル砲艦もレーダー上で小さな点にしか見えない敵へとむけて砲撃を行う。

 砲撃に伴い船全体が観測衛星の射出時より大きく揺れた。


「ベトン弾発射、着弾までおよそ六十!」

「次弾装填、第二射に備えろ。今ので仕留められなかったらこれで仕留める」


「観測情報とベトン弾の情報をリンク、ホーミング開始」

「姿勢制御スラスター正常に機能、砲弾敵彗星に向かっていきます」


 船と敵を移すレーダーの画面に、新たな光点が生まれそれが敵を示す光点のほうへと飛んでいく。


「弾着、三、二、一、着弾!」

「戦果を報告」


 皆の視線の先でモニターに映る小さな光点が敵と重なり消滅する。

 反応中央のモニターに観測衛星の映像が映され、モニターには砕けた彗星の欠片が攻撃を受け回転し形を保てず崩壊していく映像が映された。


 即座に破損した彗星の欠片に映像に、壊れた星の損傷個所から砲弾の直撃箇所を赤い円で複数マーキングする。


「命中、四、外れた砲弾の新路上に人工物なし。敵彗星七十五%崩壊。敵、残骸は予想進路を離れていきます。敵残骸及び我々はコロニーとシンギュラリティゲートの間を通り抜けます」

「彗星活動を停止しました。敵の熱源反応低下、再活性化の恐れなし」

「コロニーに到着する前に破壊できたか。後方のコールサックを呼び戻せ、残骸の回収と排除を行う。微速前進、艦正面にデブリ溶解用レーザー、クリアランス展開最大出力。これより後始末のため彗星に近づく」


 戦闘が終わり一息ついていたヨドはイスに深く腰掛けなおす。

 直後、計器とモニターを交互に見ていたオペレーターが叫んだ。


「艦長! 進路上に船! 敵破片の直撃コース!」

「何、どうしてここに船が!」

「回避間に合いそうにもありません、ぶつかります!」


 レーダーに突如として映った未確認船の反応。

 現在のシリウスたちの速度からすれば一瞬。

 モニターに映ったそれは瞬く間に画面から消え、船体の減速も間に合わずレーダーからも遠ざかっていく。


「どこだ、どこの船だ!?」

「火星行きの民間船、マケマケ223。この船には乗客が、のっています……」


 戦闘に民間船を巻き込み冷や汗をぬぐおうとし宇宙服のヘルメットをなでる。

 同じように動揺するオペレーターたち。


「コロニーへ救助船を、要請しろ」

「りょ、了解!」


「我々は……仕事を続ける。破壊した小惑星へと向かうよう指示を出せ」

「了解です」

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