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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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連星 5

 周囲の警戒を行っていたコールサックの報告から艦隊への戦闘警戒が解け、砲弾を運んでいた作業艇は砲室を出て倉庫へと戻る。

 ナキリはもう一台の作業艇とともに砲室に残り、事故の後かたずけを手伝うために残った。


 倉庫の広い床にはさっきの衝撃で位置がずれたの後に再び床に戻りくっついたと見られる乱れた配列のコンテナ。

 そして倉庫の天井に見覚えのない大穴が開いていた。


「天井が……攻撃を受けたのか」


 作業艇を停止させ搭乗ハッチから船内へと戻る。


『船内はいまだ真空状態を維持しています。アカツキさん、今すぐ指揮室へと向かってください』

「え? 今ですか、この状態のまま?」


『はい、早く!』

「わ、わかりました」


 言われるがままアカツキは宇宙服を着てまま二枚の扉を潜り抜け灯りの落ちた廊下に出た。


「暗い、なんだこれ床の布が膨らんでる? しかしこの暗さ、まるでお化け屋敷だ」

『通信はつながっています。何かあればこちらに相談してください』


「わ、わかりました」


 アカツキは船内を駆けだす。


 艦内に人口重力が生まれ重たい宇宙服を着たままアカツキは誰もいない廊下を走った。

 走るにつれ息が上がりながらも何か胸の奥でざわめきを覚え、マグネットブーツを履いた重たい足をより一層早めて船内の上層階にある指揮室を目指して暗い廊下を駆けぬける。


 人影が見えアカツキは手を振り声をかけた。


「誰だ? おーい、そこにいるのは誰だ」

『どうしました?』


「ああ、いや。すぐそこに人がいて」

『腕についている通信モードを部署の設定から短距離へと変更してください。話が終わったらまた部署モードへと切り替えることを忘れないで』


「わかりました」


 宇宙服の腕に着いたデバイスを操作し通信のモードを切り替える。


「そこにいるのは、だれですか?」

『ん、アカツキ?』


 通信に気が付いたのか人影二人が振り返り、一人が聞きなれた声でアカツキの名前を呼ぶ。


「その声カゼユキか」

『どうしてここにアカツキが』


「なんか胸がざわついて。指揮室はこの先だよな、何でここで立ち止まっているんだ?」

『……道が、指揮室が消えた』


「消えたって」


 オオガマの声にアカツキは足を止める。


『はいはいそこでストップ、上を見上げてくださいアカツキさん。何が見えますか?』


 アカツキが先へ進もうとするとそこに道はなく、天井のあるはずの上を見上げればそこには随伴艦のシリウス砲艦、カストル砲艦の一部が下部スラスターをふかしている青白い光が見えた。


「は? 外?」

『アカツキ……落ち着いて聞いてくれ。攻撃は、指揮室を貫いた』


 視線を落とせば大きな穴は天井から下の方、船内奥深くまで続いていてアカツキが倉庫で見た景色につながる。


「指揮室はどこだ、このさきだった、よな?」

『ああ、はい。運が悪かったようです。一番弱い角度からの一撃、後部居住区から斜めに入った、全面及び艦艇の上面なら戦艦級の砲撃でも指揮室への艦中はあり得なかったんですけどねぇ。いやぁ、これは不運としか』


 オオガマはデバイスで損傷個所の写真を撮り、フラッシュの灯りが部屋一つ蒸発させた大穴を映し出す。

 砲撃で飛んできた粒子はすでに試算し残っておらずあるのはただただ破壊された痕跡だけ。


「何があったんだよ、どうして指揮室が、ここは船で一番安全な位置にある場所だろ、父さんはどうなった! エトは、どうした……無事なんだよな」

『エト? ああ、そうかエト……』


 その言葉を最後にカゼツキからの返事はなくなった。

 すでに起きた出来事の前に何ができるわけでもなく目の前に広がる上下の大穴を見つめ続ける。


『さて、射撃管制室に撮った画像は送りましたし、艦隊旗艦と船内に状況の説明も頼みました。もうすぐ艦内放送が流れるでしょう』

「負傷者を探さないんですか?」


『指揮室ごと消えたこの状態で負傷者を探すも何もないでしょう。本当に要救助者がいるのなら通信で救助を求めますから』

「声が出せない状態かも……」


『事故にあったというのなら宇宙服が損傷しているわけですから、もう生きてはいないでしょう』

「でも探してみないと」


『それは帰還したのち港でやるんですよ。今ここでできることは戦闘も終わったしコロニーのもとへと戻って無事な艦は牽引を、損傷した船はその度合いを確認し修理か廃棄かを決めるんです。その時に戦死者が見つかることともありますから』

「まだ死んだと決まったわけとは、どこかで気を失っているかもしれないじゃないですか」


『はいはい熱くならないで、落ち着いてくださいアカツキさん。ほらカゼユキさんももう用事は終わったからここを離れますよ。損傷個所の隔壁を閉じます、戦闘が終わっていつまでも酸素ボンベに限りのある宇宙服を着用しているわけにもいきませんから』


 オオガマがどこかへと連絡すると廊下の一部から金属の壁のような隔壁が下りてきて指揮室のあった場所へと続く道をふさぐ。

 念のためか更にもう一区画進んだ個所にも隔壁が下り厳重に気密性を保つと、通路や各部屋に空気を供給を始め宇宙服を脱いでもよいとの報告が入る。


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