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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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流れ星 9

 観測衛星が飛んできているにもかかわらず、戦艦級の攻撃はまっすぐ艦隊を狙って飛んでくる。


「観測衛星の一部をデコイにしているんだよな」

『はい、熱源と強い電波を発しています』


「デコイに引っかからないな? さっきからこちらばかりに攻撃が飛んでくる」

『光学カメラ視認圏内、中央モニターに映します』


 映されるのは密集する戦艦型。

 その一つ、集団の中央にいる一つに向かって戦艦級の触覚が伸びて集まりつながっている。


「連結しているのか?」

『高エネルギー反応! これは……先ほどから飛んできている長距離砲撃をしているのはあれです』


 敵戦艦級の中にとりわけ瘤状の塊が大きく育ち、推進器となる折り重なるようなキノコ傘をかき分け後方への攻撃するためにその瘤は長細い岩の背部にくっついているものがあった。


「でかい砲塔だ、あれが長距離砲とみるべきか」

『エネルギー反応増大、中央の胞子嚢巨大化しています』


 急速にその大きな瘤が膨らみはじめ数謬後に攻撃が放たれる。


『敵砲撃!』


 彗星の内部に溜まる液体金属の粒子の塊。

 次第に冷えて固まり白くきらめく質量と熱の質量弾。


『別艦隊のシリウスs2561大破!! 通信反応消えました! 制御を失い落後中と』

「旗艦からの指示は! 次を撃たせる前に仕留めなければ!」


『旗艦もそう判断しています、艦隊総出で砲撃すると!』

「艦隊すべてに指示、砲撃体制、ベトン弾装填」


 膨らみ白いビームを撃ってくる胞子嚢は巨大な一つだけではない、連結している他の戦艦級の小さな胞子嚢が膨らみいろんな方向へと砲撃を始める。


『周囲の戦艦級も攻撃を開始! 観測衛星、撃ち落されています!』

「もうすでにこちらで捕らえられる圏内だ、気にせず砲撃に集中! 奴らに無駄弾を撃たせエネルギー量を減らさせておけ」


『旗艦から護衛に着けているメラクを艦隊から離れ、戦艦級へと接近攻撃を求める通信。おそらくは囮と射撃精度の関係かと思われます』

「損傷しているが……わかった。メラクにそう指示を出してくれ」


 指示を受けたメラクが戦艦級のいる方向へと進路を変え進みは閉めた。

 攻撃を受け大きく抉れた装甲版が痛々しくメラクは艦隊を離れ戦艦級の攻撃が飛んでくる方向へと進んでいきモニターに映る姿が小さくなっていく。


『観測衛星、すべてロスト。敵砲撃こちらへと飛んできます』

『中央の戦艦級のエネルギー反応、増幅中。砲撃きます!』


 すでにお互い敵戦艦級に発見され、艦隊のレーダーにも数も形もはっきりと捉えれている手の届くような至近距離での撃ち合い。

すでに進行方向の先に避難中のコロニーの姿が小さな点として見え始めている。


「衝撃に備えろ!」


 砲撃はヨドのいる艦隊へと飛んできて後続のカストルの横を通り過ぎていく。


『攻撃外れました、随伴艦にも損害なし』

『敵との速度差から、追い抜くまで二十分!』


 ほっとするのもつかの間、観測衛星を撃ち落とした他の戦艦級からの砲撃が次々と飛んでくる。

 艦内重力を生み出すための艦底部スラスターでの減速で、戦艦級の攻撃は以降も当てを外れた位置に飛んでいった。


『え、え、エネルギー反応! 中央の戦艦級から再度、砲撃きます!』

「さっきは連射など!?」


『胞子嚢内にエネルギー反応が残り続けています! 砲撃のエネルギー反応が小さくなっています』

「これは初めて見るものか?」


『おそらく、射撃時間を短くして粒子の放出を抑えているか、破壊力を抑えて威力を減らした状態での攻撃かと思われ、詳しいことは戦闘後に分析が必要です!』

「不明なものか。今は破壊を優先にしなければな! 攻撃準備はまだか!?」


 すでに一隻、艦隊から落後する船が出ている。


 その焦りからいつもとそう変わらない艦内での時間が非常に遅く感じた。

 モニターには無数の砲撃が飛んでくる様子が映っていて、艦隊の横を次々と通り抜けていく。


『砲撃準備完了』

『随伴艦からも準備完了の報告』

「旗艦へ送れ」


 報告をする間も、報告を待つ間も戦艦級から砲撃が飛んでくる。

 飛んでくる砲撃はあたりはせずともだんだんとその距離は近づいてきていた。


『旗艦より攻撃開始命令、中央の塊が壊れるまで撃ち続けろと』

「攻撃開始!」


 指示の後、砲撃で船内が揺れる。

 艦隊から放たれた複数の砲弾が飛んでいく。


『メラクが!』


 大型モニターの一つに先行したメラクが映る。

 戦艦級の砲撃数発と中央の強力な砲撃を一発受けて船体は、くの字に折れ曲がり始めていた。

 推進器に穴が開き、損傷した装甲版を貫通しか貫通した砲撃が反対側に白い線が抜ける。

 それでもメラクに搭載されているいくつかのレールガンからの砲撃が続いている。


『攻撃着弾、命中は合計二十六。戦艦級十二隻破壊、命中したのに……中央のは健在です』

「次弾装填」


『残った戦艦級がこちらに向かってきます!』

「落ち着いて狙え、接近する前に迎え撃つ。向かってくる戦艦級はいくつだ?」


『一です、サイズは千二百メートルほどの標準サイズ。他艦隊にもそれぞれ向かってきているようです』

「ほかはそれぞれ対処するだろう。それよりあの危険な奴を破壊しなければならない」


 装填を待ち、随伴艦の砲撃の準備が整うのを待ち、すぐに迎撃と危険な戦艦級の破壊のために砲撃を始めその報告を待つ。

 砲撃時の船体の揺れが収まりヨドはモニターに目を向ける。


『敵戦艦級、割れました!』

「そうかなら……」


 オペレーターがヨドの言葉を遮る。


『攻撃を受ける前に割れました、四十メートルほどの小型隕石群三つに分裂しこちらの砲撃を躱してなおも接近』

「なんだと!」


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