流れ星 8
観測衛星のカメラが飛んできた砲弾によって砕かれる映像をモニターに映す。
ミサイルで攻撃を受けたばかりの戦艦級からの反撃もなく、細長い岩の真ん中付近から折れるように割れてばらばらに砕けた破片が四方に散っていく。
『カストルたちの砲弾直撃。目標らに再活性化の予兆なし。目標すべて破壊しましたヨド艦長』
「そうか。損害なくて何よりだ」
『旗艦より、陣形そのままデブリの除去は行わず前進し第一波を追いかけるとのこと』
「細かく砕けたのならコロニーの耐衝撃装甲で耐えきれる、指示に従え。船内に加速の勧告、終わり次第機関最大、追いかける。コロニーに到達する前に追いつくぞ」
『前方よりエネルギー反応! 第一波と思われる戦艦級からです!』
宇宙服を着て淡々と業務を行っていたオペ―レーターたちの姿が左右に揺れうろたえている様子が見える中で、ヨドは艦隊の進行方向から向かってくる戦艦級の攻撃をモニターを眺めていた。
「攻撃!? こちらは向こうの姿も見えていないんだぞ?」
観測衛星の映像に反撃の白い光が見えてすぐ、全周囲モニターが艦隊の横を敵の攻撃が通り抜けていく。
『敵の攻撃、右下五時の方角を通り抜けていきました。随伴艦に被害なし』
『別の艦隊、第三部隊のメラクに被弾、小破、航行に問題はないそうです。そのまま第三部隊に追従し前進を続けるようです』
『攻撃は全部で七本。命中はメラクに当たったもののみ、六本は外れたようです』
全周囲モニターの画面には船体横を通り過ぎて行った粒子の残滓がきらめていている。
「回避運動の指示は」
『いえ、ありません、最短距離で相手に詰めるようです』
「減速を嫌ったか」
『長距離攻撃……あの攻撃は何です?』
「今まで見てきた戦艦級の攻撃にしてはビームが太かったが、メラクが小破で済んだのならそこまでの威力はなかったのだろう。いや過剰防衛艦だから防げたのであって、装甲の薄い砲艦は中破以上の威力か、十分な威力だな」
被弾した別の艦隊にいるメラクの損害情報を流し見し、次なる攻撃を警戒し正面モニターを睨み続ける。
レーダーにも観測衛星にもいまだに敵の姿は映っておらず、今しがた倒した第二波の破片を追い越し第一波を追いかけていく。
「接近するのは危険だ、艦隊旗艦に長距離砲撃案を進言。何発砲弾を無駄にしてもこの距離から破壊していくべきだ」
少し悩んだのちヨドはオペレーターに告げる。
『了解、作戦変更を旗艦へと進言します』
旗艦へと報告をし、少ししてオペレーターが報告を入れる。
『進言は棄却、敵速度が想定より早くそのような時間がなかったこと、戦闘の長期化は体力と集中力が持たないこと、あの火力をコロニーへとむけて撃たれれば耐衝撃装甲版を寒中される恐れがある、コロニー市民に犠牲を出してはならないが理由だそうです』
「わかった。なら当たらないことを祈りながら追うとしよう」
『正面にデブリ反応! 救難信号も多数あり、おそらくは追撃隊の残骸かと思われます! 旗艦よりデブリ群の迂回の指示が出ています』
「戦闘終了後に救助だ、今はコロニーの防衛を優先するはず。……そういえば演習では救助訓練を短縮されてできなかったな」
観測衛星はデブリ内を突っ切っていき破壊されたシリウスが二隻とその周囲に戦艦級のものと思われる岩の破片が映る。
『不活性化した戦艦級一、シリウス二隻だけのようですね、攻撃を受けている個所が違うことから救出中に攻撃を受けたのでしょうか』
「長距離砲撃は初めての攻撃だ、落伍し艦隊から外れた船をこの進路はコロニーへと向かうから減速させて停船させようとしたかコロニーへの進路からそらそうとしたところを狙われたのかもな」
第二波を排除し数十分が過ぎるがいまだ姿は見えず、長距離砲撃は艦隊をしっかりと狙って飛んでくる。
落伍する艦は出ていないが敵の攻撃は正確で誤差が艦隊の一キロ圏内を通り過ぎていく。
『高エネルギー反応! また敵の長距離攻撃です!』
「このペースで撃たれるのなら、敵に追いつくまでに何隻か落ちるぞ」
また船体の横を白い線が通り過ぎていき船体がわずかに揺れた。
「今のは危なかったか?」
『第六放熱板に損傷。残り五枚は無事で漏洩防止のためパイプも閉鎖。冷却機能に問題はありませんが、もう一枚羽をおられると推進器とコイルガンの併用をすると艦内温度が調節できなくなります』
『先行して飛ばしていた旗艦の観測衛星ロスト。各艦隊ごとに複数射出しいくつかをデコイ化させ砲撃を避けるようにとの旗艦から指示』
観測衛星が破壊されその通信が消える直前に一瞬、網目状のレーダーに光点が映った。
敵への接近に緊張が走る。
「撃ち出す砲弾を観測衛星へと変更。随伴艦すべてにも連絡、準備が整い次第一斉に発射する」
『了解。随伴するシリウス、カストルすべてに同じ指示を出します』
十分以内に艦首コイルガンに観測衛星を込めて撃ち出す。
観測衛星を発射し少しして映る敵の数を表す光点。
『敵の数、二十。非常に密集していますね。十分後に艦のレーダーにも捉えられる距離。コロニーへと到着する前に追いつきますね』
「だが速度が速すぎるな、接近戦になる砲撃体制へ」
レーダーを頼りに船体を敵のいる方向へとむけていると長距離砲撃が先行していたメラクへと直撃する。
白い線が深く突き刺さり、光の瞬きとともに船体がゆがむ。
『メラクに直撃弾!』
「ついに命中したか……」
船体中央から艦尾へと損傷しているが、カメラの映像を見る限り砲塔と推進器は稼働を続けている。
『メラクは船体の三十五%を損傷し大破、倉庫と居住区、射撃管制室が蒸発しましたが指揮室と一部大砲は問題なく機能しており、作戦継続は可能とのこと』
『負担を減らすためこちらで、メラクの被害状況を旗艦へと送信します』
『射撃管制もこちらからメラクへと指示します』
映像の中でメラクの船体が回転し無傷の装甲のある面を敵のほうへとむけなおす。
「すごいな第二世代は、戦艦級の攻撃を耐えきるか」




