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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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流れ星 7

 画面に映されている網目状のレーダー画面に反応がでた。


「旗艦から射出された観測衛星、戦艦級を感知。想定されていたより早いです、光学カメラにはまだ移りません」


 画面に映る白い点の数が増えていく。

 一つ一つが彗星の破片であり、これから破壊する対象。

 数は十を超えなおも増え続ける。


「あれはコロニーへと向かう第二波ですね、数は二十ですね。レーダーにはまだ映っていませんがこの奥に第一波が待っています」

「ヘルメットをかぶってくれ戦闘が始まる。艦内に警報を。新型とやらの反応があれば教えてくれ」


「了解です!」


 宇宙服のヘルメットをかぶると周囲の音が遠のく。

 指揮室はお互いに通信機を使った会話に代わった。


『旗艦より報告、陣形は互いに誤射しないトライデント陣形にて戦闘開始。随伴するコールサック、前進し先行してミサイルを撃つようです。デコイ用ではありません、殲滅用の核弾頭です』

『速度差から敵と接触まで十五分。陣形形成のため艦内に注意喚起後に進路を変更します』


 オペレータたちの報告を聞きヨドは大型モニターを眺めた。


「了解だ、早く第一波を追わないといけないから高い安いをこだわってはいられないものな。いや、前回の戦闘で撃ち尽くしそれからから補給を受けていないのか? 艦首砲に砲弾の装填をさせろ、砲弾はベトン弾だ。我々はミサイルで倒し損ねた戦艦級を破壊しそのまま第一陣へと向かう」

『五分後に交戦距離内に入ります。敵戦艦級、光学カメラに映ります』


 望遠レンズで拡大された衛星の映像は、細長いゴツゴツとした隕石の影を映しだす。

 一つ一つの岩石の塊にキノコのような傘や丸い瘤のようなものが生えていて、その塊からひときわ大きな大きな枝のようなものが伸びているのが見えた。

 長いそれは調査によって触覚と呼ばれる熱や電波を感知する器官。


「何度見ても気味の悪い造形だ」

『原木キノコというあだ名が、最初の接敵で呼称されていましたね。その後、攻撃を受け艦隊のほとんどが中破以上の損害を出しそんな軽口が叩けなくなりましたけど』


「ああ、俺の古いなじみがその戦闘で消息不明になったよ。同じ採掘基地で飲み交わした気のいい奴だった。さて気を取り直そう、新型らしきものはわかるか?」

『いいえ、光学カメラの映像見た感じだと来れてといった新たな特徴は見られません。先を進む第一波でしょうか?』


 触覚伸びる位置はバラバラで二本から六本以上生えるものまであり、同じくキノコ傘や瘤も個体ごとに異なるため寄生する小惑星の大きさ以外に区別できるものはない。


 今回の敵はその中でも触覚の数が多いものが多く、推進器として働いている傘もまばらな配置な印象を受けたが、似たようなものは前にも見たことがあり得られる情報はそれ以上のことはなかった。


『コールサック攻撃を開始。ミサイル目標到達まで六十秒。旗艦から追加の観測衛星の射出、こちらも観測情報を同期します』

『艦隊陣形の形成、完了したようです。トライデント、三方向からの砲撃陣形』

『ベトン弾装填完了、電力十分、射撃管制室よりいつでも射撃可能、艦首を戦艦級のほうへとむけます』

『随伴艦全艦、攻撃準備整いました』


 報告にあった敵の新型というものが見えずヨドはモニターを凝視する。

 オペレーターたちも声や息遣いに緊張が感じられる。


 船体が微弱に揺れて船体が敵へと艦首の砲口を向けていく。


 全周囲を映すモニターにはシリウスS1001に続く後続のシリウスとカストルが船体の向きを変えていき、第二世代のメラクだけ船体に取り付けられた複数の砲塔を小惑星のほうへとむける。


「旗艦に攻撃準備完了の報告を、艦隊総旗艦の指示を待て」


 観測衛星からモニターの画面はみるみる敵小惑星の一団へと迫る。

 長細い岩の後部に何層にも積み重なりキノコの傘が花のように広がっていて、画面に映る傘の裏側も無数の線が奇妙な色合いを見せておりキノコと何らそん色はない。


「そろそろか」


 モニターに映っている小惑星らに米粒のような小さな点がぶつかると唐突に画面が消え真っ暗になる。


『第一射目の観測衛星ロスト、ミサイルの核爆発に巻き込まれたようです。すぐに二射目の観測衛星に切り替えます』

『迎撃されたミサイルなし、全弾直撃。追撃部隊との戦闘でエネルギーを使い切っていたのですかね』

『ノイズによりレーダー安定せず、画面不鮮明』


 数秒してオペレーターが続ける。


『ノイズが消え電波が安定しました』


 乱れていた複数の画面が再び敵を映し出す。


『無数のデブリ片、攻撃は無事成功した模様。敵残り残数は六、いえ遅れて一つ熱源反応消え、五! 再活性化のある可能性のあるもの、二!』

『旗艦より攻撃指示、サイズが七十%以上残っているものはすべて破壊対象。艦隊の半数の船が射撃し残りは不測の事態に備えたし!』

『旗艦より攻撃する戦艦級の指定きました、我々が受け持つのは活性化中のもの、一! 再活性化の恐れのあるもの、一!』


「随伴するカストルのみに砲撃指示しろ! 我々シリウス及び護衛のメラクには不測の事態に備えるため待機を指示!」


 全周囲モニターには砲撃するカストルが映る。

 勢いよく放たれた砲弾が暗い宇宙に消え一瞬で見えなくなった。


『敵速度と砲弾の速度から着弾まで四十! 第二射を撃つとすればその時に敵を追い抜きます』

「旗艦からの第二射の指示は」


『今は新しいものはありません』


 レーダーの画面を見る。

 敵の排除は順調に進み緊張も解けていた。


『敵の新型はあの中にはいなかったんでしょうか、それとももう破壊したのでしょうか』

『砲弾着弾まで三、二、一』

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