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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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流れ星 6

 

 避難するコロニーへと接近する彗星の破片を破壊するため、コロニーを運んでいた艦隊が迎えうちへと向かう。


 もっとも正面から迎えうちに行くと一瞬ですれ違ってしまうため、直進して加速するためにひし形に近い大きく円を描くように進む。

 コロニーへと向かう彗星の破片、その背をとらえられるように推進剤を最大限にふかし最大船速で移動していた。


「第二世代の船は姿が見えないが、コロニーの防衛で来ていないのか?」

「加速していないといけないのですでに先行しております、中型艦はカストルと同じビーナスエンジンが乗せられています、スペースの関係でシリウスのような大型のゼウスエンジンを搭載していませんから。装甲が強化された分、鈍重な第二世代は先に加速していないとターゲットの戦艦級に追いつけなくなります」


 磁力で宇宙服の靴が床にくっつくとしても加速による強力な慣性で発生する力のため、転倒防止のため船内での活動はすべて制限され座席にハーネスで固定され減速を待つ。

 椅子に座っていないとしっかりと姿勢を維持できない強い艦内重力の中で、手元のモニターでヨドは送られてきた敵の情報を再度目を通していた。


「敵戦艦級を戦闘を始めるのは敵がコロニーへと接近する一時間前か、時間がないな。戦艦級を半数くらいまで減らせていればコロニーに大量のデブリを降り注ぐだけですませられるのだが」

「予定が、変わりました、到着まで、二時間あります」


 時間が増えたことによって気が楽になり、背もたれに押し付けられるような厳しい慣性の中で大きく息を吐く。


「時間が伸びたな、何があった?」

「追撃艦隊……と、連絡途絶。識別シグナルもすべて消えています。とだえる前の最後の通信に、新型注意との報告が」


「追撃に追っていた船は数隻じゃないだろう! 戦闘の報告もなしに皆か!?」

「はい、ほぼ同時に。戦闘を開始すると報告がありそれから五分と立たずに一斉に反応が消え始めて……、いまみんなで最後の状況を分析中です」


「反撃を受けたか……。数が多い分、観測衛星を使った囮も役に立たなかったと見るべきか、他の何かか」

「追撃していた艦すべてと一斉にというのが気がかりです、もしかしたら電磁攻撃の可能性もあります。もしその場合なら消息を絶った船の通信設備の普及を待つこともできますが」


「通信はほかの艦に任せよう、艦隊はよくわからない状態でもコロニーを守る気だ。このまま放っておけば数千人が犠牲になる」

「了解、最後の通信からできる限り状況を分析します」


 頼むと一言つぶやくと重たい息を吐く。


「待つ者のためにも、これからも守っていくためにも、生きて帰らないとな」


 加速し続け丸一日立ち艦隊は敵を探す。


 加速前も加速後も見えるのはただただ暗い宇宙が広がるのみでモニターに敵が映ることはない、皆が敵を探すレーダーの映るモニターを見続ける。

 周囲を見回せるモニターにはいつ戦闘になってもいいように、船体同士の距離を取りそれぞれの艦隊ごとにまっすぐな列を作っていた。


「敵推進剤の粒子の残滓を見つけました、濃い濃度です」

「第二世代メラクM0678、ヨド艦隊指揮下に入りました。前方に見える艦です」

「濃度が濃いということは、我々は背後に着いたということか。そろそろか、艦隊に注意を促すようにと艦内放送を頼む」


 返事を返すとオペレータたちがマイクに向かって話し始める。


『当艦隊は戦闘区域に入りました。じきに交戦が予想されます、敵戦艦級のサイズと加速度から我々は現在第二波の背後にいると思われます。艦内通路の減圧を行います宇宙服なしでの活動は危険ですので戦闘終了まで外さないでください。また交戦時は船体が揺れる可能性があります、振動で体が壁や天井を跳ね回らないよう足の電磁石は切らないでください』


 放送後指揮室内は真空状態ではないにもかかわらず誰もキーボードを叩かず物音一つさせずただ静寂の中、敵の発見を待っていた。


「艦隊旗艦シリウスS5500、観測のため衛星を発射しました。レーダーの情報を各種別の画面で写します」


 大型モニターの一部に光学、熱、電磁波、粒子濃度、複数のレーダー画面が移される。


「追撃艦隊との連絡はないか?」

「少し待ってください……、そのような報告は他の艦からもありません」


「そうか……すべてのレーダーの異常に気を配ってくれ」

「了解」


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