表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
39/176

流れ星 5

 本来なら宇宙港への固定用の舫、あるいは推進器などに不調をきたした同型艦などを曳航するための太いケーブルをコロニーのデブリ防御用の装甲版の隙間の窪みへと取り付けた。


 人口重力を生み出すために超巨大な建造物は回転してるために、ロープを取り付けられる場所は少なく巨大なコロニーではあるがそれを引っ張る軍艦は同じ場所に密集している。

 指揮室でヨドはただ大型モニターに映るとても小さな巨船たちを見ていた。


「いっぱい集まって同じ方向向いて、鯉登みたいですね」


 艦内に発生していた人口重力は消えていて、宇宙服の足にある磁石を利用した機構で床に張り付くようにして過ごしている。

 オペレーターたちと話していた副官がガツンガツンと音を立てて歩き、自分の席へと戻ってきてモニターを眺めているヨドに話しかけた。


「だな、小さいのだったがうちでも上げてたよ。カゼユキとアカツキが喜ぶんだ」


 少しでも運ぶ速度を上げようと集められた軍艦たちはモニターの奥でコロニーへと太いケーブルをつなぎに向かっている。

 ケーブルには何メートルおきかにライトが埋め込まれており、暗く静かな空間で一定の間隔で白く瞬いていた。


「演習でしばらくは慣れていたが、前線の情報は何か来たか?」

「現在整理中です、いまだに前線では戦艦級に手を焼いているようです」


「こっちに来なければ今はいいさ、こちらは動けないのだから」


 船体後方を映すモニターには推進器が噴き出す白い帯とそれを目視で確認しやすいように照らされている薄い青色の灯りが見える。

 増減速はないが噴射されている推進剤の白い帯の太さと濃さは大きく増していた。


「推進剤、すごい勢いで噴き出してますね」

「ああ、殺虫スプレーみたいになっているな」


「しかし無重力はつらいですね、宇宙服歩きづらい」

「これがしばらく続く。四日コロニー引いて、三日このあたりを飛び回って人口重力下で体を慣らしながら、もしもの事態に備えて警戒航行する。そういう一週間を送る」


「今日から四日後はまた長いですね。でもずっと無重力はつらいですからね、それだけが救いか」

「無重力下で長期滞在はもう星軍などで訓練でもやっていないのか?」


「ええ、シンギュラリティゲートの普及で宇宙で事故を起こしても救出は一週間以内には来る予定でしたから。救難信号を発する脱出カプセルに入って寝ていれば目が覚めるときには病院のベッドの上です。戦闘が始まってコールサック警邏艇より砲艦のシリウス、カストルが主力艦となった今、船内の人口重力も当たり前となりましたからね」

「ゲートか、ゲートも増えたものな。俺の若いころはまだ全部で二桁手前だったのに」


「詳しい数忘れましたけど今は三桁後半はありますからね、ほとんどが資源採掘のためアステロイドベルトとカイパーベルトに設置されていますが、最近は造船所のある工場コロニーに移されて行っているそうです」

「噂で星軍の宿舎が並ぶコロニーの建設が決まったとかなんとか」


「演習中に飛び交っていた通信ですね。一から作る資源とお金と時間はないはずでですからおそらく、いま私たちの下にあるやつを組み替えるんじゃないですか」

「冥王星コロニーを作り替えるのか、確かに今このコロニーの人の数は少ないものな」


 のんびりと雑談をしているとオペレーターの仕事にも慣れたエレオノーラが突如席を立ちあがり、あたふたしながら着席しなおし声を張る。


「ほうっ、報告!! 総指揮を行っている基地から、前線を抜けて戦艦級がこちらに向かってきています。数ごっ五十以上!!」

「……話をしたとたんにこれだ、それもここへ着た瞬間にか。艦内に警報を、推進器停止、その後つないだばかりの牽引ロープを外させてくれ。敵の到達は何時間後だ!」


 ため息をつくと席から立ちヨドは指揮室を見回す。


 すでに最前線の手前でいつ攻撃を受けてもおかしくない場所、彗星の破片と戦ったことのあるヨドには心の準備ができていて落ち着いていた。


 突然の報告にキョトンとしている他のオペレーターたちが我に返りキーボードをたたき始める。


「コロニー周辺までの到着はおよそ七十二時間後! 高速の第一波と中速の第二波に分かれてきます」

「艦内に再度戦闘警戒体制へと移行すると伝えろ、要警戒のためにヘルメットの装着を義務化だ。それと短縮シフトだ、今のうちに休める者は十分に休息をとらせておけ」


「了解」

「ここで戦い始めるわけにもいかないから迎え撃ちに行くはずだ、すぐ迎撃の艦隊編成が組まれる準備をしておけ。一度その防衛線が抜かれている、それに数も多い追撃隊がどれだけ数を減らしてくれるか」


 ほかの艦にも報告が行っており、画面内でハチの巣をつついたかのように慌ただしく動きだすコールサック警邏艇たち。

 モニターを見上げヨドはひとり呟く。


「演習は切り上げ、コロニーの牽引も始められない、何もかも予定通りに進まないな。いや、コロニーの防衛に来たのだからそこだけは予定通りなのか。戦時とはいえ基礎がちゃんとしていないのに実戦を経験させなければならないとはな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ