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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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迷い星 8

 本日の作業を終え休んでいるアカツキ。

 疑似重力が発生し椅子にしっかりと座れるようになり腰掛け、重たい宇宙服を着こんで行った作業の疲れを大きな息の塊として吐く。


「なんだ疲れたのか、今日の仕事量は砲室の紹介があったからいつもより少なかっただろ!」

「重たい宇宙服着て重力の中での仕事はまだ慣れてないんですよ」


「マグネット機能をオンにしたままで歩き回るからだ」

「今まで作業艇から下りなかったじゃないですか、うっかりしてたんです」


「疑似重力には慣れろ! 演習時にトロトロしてたら笑いもんだぞ、船の中は取材されないがな! 演習は新人に教えるのが演習での目的でもあるからな今日教えたとおりにお前がやるんだぞ」

「重力には慣れます、何とかしますよ」


 艦内放送のアナウンスが響く。


『諸君、艦内で仕事中ではあるだろうが少し手を止めて聞いてくれ』


 少し低く真剣な声で艦長であるヨドの声が響き、作業の手を止め耳を傾ける。


『五時間ほど前に移動させていた冥王星基地が攻撃を受けた。戦艦級がまた戦場をすり抜けついにコロニーを攻撃、今度は複数隻でコールサック警邏艇とカストル砲艦が合わせて四隻沈んだ。皆コロニーの被害状況が気になるだろう、外壁に傷がつき三か所ほど内壁を貫通し地面を割ったらしい。まだ情報の真偽を』


 コロニーが攻撃を受けたと聞き目を伏せるキワケ。


『穴はどれも小さくコロニー存続に問題はないらしいが、戦場を抜けてきたのはこれで二例目だ。こうなったら次もあるだろう。その次を起こさないように指示があった。我々の演習を早々に切り上げ、移動させるコロニーを手伝い防衛する側に回る指示が出た。すでに演習に向かう船は合流を終えている、二日ほど十分に休息をとってから始める予定ではあったが指示もあった以上予定を早める。この後より第一段階が始まるが本命は明日と明後日、所定のポイントで砲弾を放ち砲の最終調整を終えてコロニー移送の手伝いへと向かう。その後の予定は未定だ、本来の演習終了後に戦場へ向かう予定に戻るだろう。十分な時間が取れなくて済まないがヒューマンエラーには十分に気を付けるように』


 一呼吸置くとテーブルの上に足を投げ出しキワケは話を続ける。


『先も言った通り我々は移動させるコロニーの手伝いに向かう、また戦場を抜けた戦艦級との戦闘がおこる可能性がある。前倒しになったこの演習が終わったらこの日常も終わり我々の戦争がまた始まる。そして演習の時間は前倒しとなりギャラリーの準備が整い次第、先も言ったが演習が明日にでも始まるだろう。可能性は低いが戦闘に備え総員、気を引き締めるように』


 艦内放送が終わるとガクンと一段と大きく揺れ艦が加速を始め、再び艦の後方に引っ張られる力が生まれ艦内に移動制限がかかった。


「コロニーに被害が出ちまったか。発見当初は彗星はコロニーや星に被害を与える前に破壊できるといっていたんだがな」


 キワケの大きな独り言に場は沈黙したままだったが、少ししてアカツキが訪ねる。


「前も戦場から抜け出した戦艦級がいましたよね、戦況はよくないんですか?」

「この間、前線に向かった時はなんて事のない指示通りに攻撃して帰るだけだったんだがここ最近はおかしくなってきたな。戦艦級、彗星の破片が砲艦の発する通信を傍受して基地のあるコロニーへと向かったまだわからないことの多い宇宙生物。あいつは戦う俺らの間をすり抜けるように移動していった」


 一度切れた艦内放送が再度つながりオペレーターの声が響く。


『時間を前倒しになりこれより演習始めます、艦内アーカイブに予定表のフォルダーを追加しました担当部署ごとに情報を共有してください。戦闘加速につき艦内が揺れます。加速陣形は一時間後より、艦隊砲撃陣形は二十一時間後、救助訓練と応急修理練習は二十五時間後、砲撃演習は三十時間後、一時間を目安としその後に艦隊撤収陣形とともにそのままコロニー移送の援軍へと向かいます。演習後ゲートへと引き返し何隻かと行動を別にしコロニー移送の合流地点まで向かいます』


 加速は今までになく大きく椅子に座っていたアカツキが思わず席から落ちてしまいそうになるほど。


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