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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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一番星 2

 高く日の上る火星、レベル三居住区画内の商店街。

 居住区のレベルごとに店の質が変わり、レベル三区画には小綺麗な小さな店が連なり華やかな商店街が広がっている。


 アセビを抱えたフトは縦長のチェスの駒の様な形をした補助ドローンを追従させ買い物へと来ていた。

 補助ドローンに買った荷物を載せ籠のふたを閉じるとフトは、にぎやかで人通りの多い商店街を歩いていた。


「さて、お買い物は済んだし公園で休もうかアセビ」


 近くを球体上のタイヤで移動する運転席のないコンテナを乗せた輸送トラックが、搬入のために横スライドで路肩に停車しようとしていて通り過ぎるまでフトはその場で立ち止まる。


 搬入先は家電屋のようで店頭にはちょうど薄型液晶のモニターが様々なニュースや映像の美麗さを映すためのデモムービーを流していた。

 映っているニュースは火星の観光スポットや近隣コロニーの旅行のおすすめスポット、火星内の政治、物流、芸能と様々な番組が映るが、そこに迫りくる彗星との戦争のニュースはない。


「演習の日は近いけど、おじいちゃんとパパの乗る船は出るかな~アセビ~」


 無人トラックが店の搬入口前で停車し、フトは店頭に並ぶモニターから目を離し商店街を抜けるためドローンを連れて歩きだす。

 地域の小さな公園を目指し歩いていたフトたちが商店街を出ようとしていると、町のいたるところから緊急放送を告げるアナウンスが流れ周りがざわつく。


『こちらは火星政府、こちらは火星政府。人類統合委員会からの臨時の放送です、お持ちのデバイスでご確認ください。回線は政府緊急伝達回線を使用しております。確認できる方は安全な場所で、放送後は政府のアーカイブに残りますので現在手が離せない方は確認できる状態になってから放送をご確認ください』


 放送を聞いた通行人たちが皆スクロールデバイスを取り出しワイヤレスイヤホンつけモニター広げて確認する。

 彼女の後ろで先ほどまでニュースなどを映していた家電製品店の店頭モニターも、プロモーションを流しているもの以外緊急放送を見るように促していた。


 フトも補助ドローンとともに道の端によってアセビを抱えなおし、上着のポケットからデバイスを取り出し片手で広げる。

 大通りでは車が走っているが歩行者は小さな子供や散歩中の犬と宅配ドローンを除いて皆が立ち止まり道の真ん中でスクロールデバイスの画面を見ていた。


『こちらは人類統合委員会。これより緊急放送を行います』


 映像は星とコロニーを表す複数の旗が掲げられた部屋に置かれたテーブルに一人座っており、母国語に変更可能な字幕とワイプで手話が映し出される。

 音楽などは流れておらずスーツのこすれる音、紙をめくる音などノイズが入り、かしこまったアナウンサーが深く頭を下げ紙の原稿を読み上げ始めた。


『先ほど海王星へとむけて移動中だった冥王星ラグランジュコロニー三番が攻撃を受けていると報告が入り現在コロニー移送艦体が交戦中。現在も交戦中ですが事態は収束に向かっていると報告が入っております。当コロニーは先日の客船事故ともつながりも深い冥王星周回軌道上のコロニーの一つで、現在海王星軌道へとむけてシリウス砲艦八十隻での牽引のもと移送中でしたが再び戦場を突破してきた敵に狙われ被害が出ることになってしまいました』


 一呼吸おきアナウンサーは続けた。


『敵は彗星から分離した戦艦級と言われる一キロ片の彗星の欠片。現在入ってきている戦闘結果は芳しくなく、コロニーと同じく牽引中のシンギュラリティゲートを使い、整備の終わっているあるいは公開演習へと向かっている出撃可能な第一世代と第二世代を呼び戻し戦闘区域へと警護の増援を送り込む準備を進めています。またこれに伴い、他の冥王星コロニーへの防衛に割く艦体数の追加と移送速度の加速を決定』


 アセビがスクロールデバイスに興味を持ち手を伸ばすが、フトはその小さな手をよけ彼女の背中をなでながら画面を見続ける。


『前々から懸念されていたこの日が来てしまいました、彗星の現在位置から冥王星近郊までの到達まで一年かかると思われていた我々の計算を狂わせコロニーに残った市民、前線で指揮を執っていた星軍の兵士たちに被害が出ています。詳細な情報つきましては今夜、正式な戦闘結果を人類統合委員会のほうから声明があると同時に今後のコロニー防衛計画についての説明があります』


 淡々とアナウンサーが話すだけで戦闘の映像等はなく、放送はアナウンサーが再び頭を多き下げて終わった。

 放送が終わるとぽつりぽつりと立ち止まっていた人が歩きだし、周囲の話題はコロニー襲撃でもちきりとなる。


「アカツキ……」


 配信の終了したデバイスをしまい、フトが空を仰ぐも見えるはずはなく何気なく吹いた風が彼女にはひどく冷たく感じ身震いをした。

 顎を叩かれフトは我に返る。


「大丈夫だよね、アセビ。ごめんね公園はなしでこのまま帰ろうか」


 アセビを抱きかかえフトはドローンを連れて家へと歩き出す。


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