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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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迷い星 5

 午前中の訓練が終わり、午後は作業艇に乗ってコンテナの移動作業を行っていた。

 軽自動車ほどあるドローンを操りコンテナをつかみ作業艇の操作で運ぶ、空になったコンテナは折りたたんで倉庫の隅へと磁力のある床に積み上げていく。

 搬入口からはこの船の後ろに並ぶ、隊列を組み並ぶシリウス砲艦とカストル砲艦の姿。


『どうした、アカツキ手が止まってるぞ、どうした腹いたか? 体調がすぐれないなら降りろ事故につながる、お前がいなくても効率は落ちるが作業は続けられる』

「家、大丈夫です。すみません、外に見える船を見てました」


『ああ、増えてきたな。演習とかいう砲撃訓練が始まるな! まったく砲弾一発撃つのに金がかかるから、ネタのためにいくらでも金を出すマスコミから金をとるのと一緒に行ってるんだ。さぁ、演習が始まると仕事が増えるぞ、それまでに仕事は終わら去られる限り終わらせておかないとな』

「え?」


『この船はもともと何だったか知っているな!』

「貨物船、ですか? タイタン貨物船」


『ああ、そしてここは倉庫、この船の放つ砲弾は砲艦への改装前はコンテナだった。全部は言わん、ここまで言えばわかるな!』

「もしかして砲弾をここで込めるんですか」


『そうだ! 操作を誤ればこんなブリキ缶みたいな作業艇は一瞬でペシャンコだ、気をつけろよ砲弾はお前に運ばせるからな。さぁ、無駄話は終わりだ、作業に戻れコンテナを持て! あらかた作業を終えたら、この作業艇の操縦を教える。早く終わればそれだけしっかりと教えられるから急ぐんだ!』

「はい! お願いします」


『時間は有限だ、俺の休む時間も考慮して動けよ!』


 今日分の作業を終えナキリは倉庫の中央まで移動し作業艇の運転席から離れる。


 ナキリのは慣れた作業艇は途端に制御を失いアカツキを乗せたままふらりと揺れ不安定な回転を始めた。


「ちょっと! 作業艇が!!」

『よしアカツキ、操縦席に立ってみろ』


「わっわ、作業艇が流されてます! 床に壁にぶつかる、事故起こしますよ」


 足裏にマグネットが付いているため流される作業艇から落ちることはなかったが、倉庫内で支えもなく浮かぶ鉄の塊がどこかへぶつかるのも時間の問題。

 慌ててアカツキがレバーをつかみ制御を取ろうとすると横から宇宙服の手袋の上から戻ってきたナキリの手袋が覆い、そのままレバーを動かして作業艇の姿勢を制御し回転を止める。


『この二本レバーが推進剤の制御に使う、前に倒してレバーについてるトリガーを引けばこの通り』


 ナキリはアカツキの手を覆ったまま作業艇を壁に寄せ停船させ電源を落とす。

 アカツキの手を放しそのままナキリは倉庫の管制室へと連絡を入れた。


『聞こえているな。アカツキに作業艇の操作を教えるが、いいよな!』

『今ですか? まぁ本日分のノルマは終わっていますから問題はありませんが……』


『事故は起こさせないようにする』

『ここで乗れるようになっても、ちゃんとした免許がないとこの船以外では作業艇に乗れませんよ?』


『ここで扱えればそれでいい、興味があれば自分で免許を取るだろう』

『残り三割、いつものように扱えば三十分ほど。推進剤の残りに気を付けてくださいね。こちらは通信を切りますので時間になったら改めて通話をつなげるか戻ってきてください』


 通信を切る音が聞こえアカツキとキワケだけが通信状態になった。

 了承を得るとナキリはアカツキの横に立ち指示を出す。


『さぁ、エンジンをかけてみろ。キーは刺さっている、エンジンがかかったら接岸用のマグネットからゆっくりと離れろよ、壁にぶつかるからな』

「いきなり言われても!」


『コンテナのもとに向かうまで操縦は見ていたはずだ。間違っていたら修正する、やって見せろ』

「わかりました、やってみます」


 はじめての操縦にもかかわらず厳しくどやされ、アカツキはマイク越しに指導に熱くなったナキリの大声で指導を受ける。




 ―――



 訓練だけの日々のつかの間の休日。

 視聴室に集まり大型モニターで映画鑑賞をしようとアカツキたちは皆で集まっていた。


「映画館みたいな設備だね! 部屋が広い!」

「元が長期航海用の貨物船だからってのも関係あるのかな、この辺はよくわからないや。エトは映画見ながら何飲む?」


「コズミックラテ」

「そんなのこの船にあったっけ?」


 三人は手ごろな席に座り映像機器から見たい映画のファイルを探す。


「何見る? 三時間くらいある旅客船が沈むやつ?」

「あの、史実の沈没時間と同じ時間の上映時間の奴かな? さすがに戦闘艦艇に沈むだのする映像のはないんじゃない?」


「ありゃ、一人で見るには長くて眠っちゃいそうだったからこの機にみんなで見ようとしたのに……。そういやアカツキなんか静かだね」

「元気がないねアカツキどうした?」


 エトワールがファイルを探す横でアカツキは席に腰掛け大きくため息をつく。


「作業艇の操縦を教えてくれるってやつで、すごい怒られた。宇宙空間でドローンの操縦以外のものを操縦するのが初めてだったのに」

「それで気持ちがブルーになってると?」


「むっちゃ怒られたんだぞ、もう顔を合わせるのも怖いくらいに。終わった後食欲がなくなって夜あまり寝れなかった」

「あらま、嫌われたの? 人間関係のトラブル? 配置換えはあまりよくないって話だったけど?」


「いや、そこまでじゃない。終わったら何でもないように普通に接してくるんだけど、また今度教えてくれるって。だからまた明日にでも指導を受けるかも」

「落ち込んでるのはそれが怖いんだ」


「父さんと同じくらい怖いんだ、しかも通信機越しだからすごく声が大きい。終わっても耳の奥に残るんだ」

「がーんば。ファイトー」

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