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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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迷い星 4

 アカツキたちが宇宙に上がり数日がたった。

 艦内にはほとんど窓はなく朝日を拝むことはないが、早い時間に起き宇宙服の着脱訓練を行っていた。

 巨大な船体の上部構造物の上のほうにある数少ない窓、光を遮るものがなく小さくなった太陽が四六時中見えているシリウスの進行方向を確認するための展望室に集められている。


「オウノー、体が回ってしまうよ助けて」

「疑似重力下でいつでも着替えられると思うな。足のマグネットに力を入れて床に貼り付け、それともこいつのように回りたいのか? 毎日やっているというのにいまだに満足に着替えられんのか」


 教官にばたつかせる足を引っ張られ中途半端に宇宙服に袖を通したエトワールは、掴まるものもなく宙を回転させられ彼女は悲鳴を上げた。

 その横でとばっちりを受けないようも黙々と宇宙服を着るアカツキとカゼユキ。


「アカツキはそれどこの宇宙服?」

「作業艇に乗って作業するときに使ってるやつ、変なマーキング入ってて目立つよな」


「そうだね。一人だけ倉庫用って書かれて、しかもよく見たら色が違うね。みんな白なのにアカツキのはクリーム色だ……古いやつ?」

「あとこれ、訓練が終わったら午後使うから倉庫まで担いで持ってかないといけないんだ。重いから勢いつくと止まれないんだよ」


「事故は起こさないようにね、重たいからぶつかったらただじゃすまない」

「そこは大丈夫、ゆっくりご飯食べてて遅行しそうになって慌てて通路を進んでて角を曲がり切れなくなって危うく食べたばかりの腹を宇宙服に潰されそうになった」


 アカツキの背中のファスナーを上げてもらい、今度はカゼユキの背中のファスナーを上げる。

宇宙空間に放り出されパニックを起こし自分で宇宙服を脱いでしまわないようになっているため、一人だけでは着替えられないようになっている面倒な機構をしていた。


 同じようにヘルメットも一人では外せないようになっているのだが、宇宙服の着脱訓練のためヘルメットはかぶらない状態で他が着替え終わるまで待機を命じられていて着替えの遅いものが着替え終わるのを待つ。


 窓からは火星から一緒に行動しているであろうシリウス砲艦とカストル砲艦が六隻見えた。

広い宇宙にポツンと浮かぶ巨船たちは、サイズの比較となるものがなくすごく小さなものに見える。


「ここはもう木星だか土星だかなのかな、ゲートをくぐるところを見ていないからどうもね。太陽の大きさで距離がわかるけど、遮光版なしで太陽は見たくないよね」

「合流地点まで移動してる最中なんだろう、ならとっくにゲートはくぐってるはず。どこを見ても宇宙しか見えないってのは距離感も現在位置もわからなくなるな」


「向こうになんか見えるね、小さくて船体の形はぼんやりだけどあの羽みたいな放熱板の広げ方はシリウスっぽいね? 別のコロニーから来たやつかな、ゲートは同じもので転移してきているはずだけど合流場所に同じ時間に到着するよう緩やかに向かっていたのかな」

「ならもうすぐ合流地点か、近いうちに演習が始まるのか? 演習って言ってもコイルガンを撃つだけだけどな、船の中で雑用してる俺らには直接のかかわりはないだろ、指揮室の命令で射撃管制室が砲弾を撃ち出す」


「電力をコイルガンに回す必要もあるし、レーダーで捕捉した敵情報をほかの艦とも共有しないとだし、砲弾を所定の位置に運ぶ必要もある。もっと多くの人がかかわってるよ」

「第二世代は砲台がついてるんだろ、コイルガンより威力がある」


「四百ミリレールガンがね。敵性彗星破壊用の大口径砲スターダスト、それがいくつか。対戦艦級用の大砲だから彗星を破壊するのはあくまでシリウスさ」

「でも俺もレールガンの砲手になりたかったな、もちろんそんなこと許してくれないだろうけど」


「合流には第二世代もいるんだっけ、何隻来るか気になるな。全部の種類が見れるだろうか?」

「演習が終わればほどなくして、彗星に攻撃を加えに行くんだな」


 二人が話している間に手間取っていた者たちも宇宙服を着終わった。


「よし、皆着替え終わったな。今度は脱げ。遅いペアにはもう一度着脱を行ってもらう。さぁはじめろ!」


 アカツキたちはいっせいに慌ただしく宇宙服を脱ぎ始める。


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