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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
25/176

一番星 1

『アジア連合に続き連日のヨーロッパ連合の砲撃により、三つある彗星のうちの先頭の一つの破壊率が三割程度に達したとのこと。異邦者の反撃により進んでいなかった各地の宙域で第二世代戦艦乗員の訓練が始まり……』

『しかし今回の戦闘で彗星の攻撃によりシリウスとカストル合わせて七隻の損失という報告が、九百名以上の死者と行方不明者が出たとのことで……』

『戦場を離れた戦艦の残骸から救助活動が始まりました。デブリでの二次災害を避けるべく、貴重な戦力であるコールサック警邏艇を使っての救出活動を行っています。これに伴い輸送船タイタンとエンケラドゥスの改装に合わせて、旅客船フォボスを病院船へと改装も始まり……』


 砲艦が移動を開始し始めたころ火星の地上では、寝間着に着替え白湯を飲んでいたフトはリビングでスクロールデバイスでニュースを見ていた。


 報道は戦場には行けずまた戦闘状況の映像は星軍を通してしか供給されないため、使える映像は少なくそのため何度も使いまわされた映像が流れている。

 ぼんやりとフトがデバイスでニュースを見ていると、起きてトイレに通りかかったアカツキの母ミホがフトのいるリビングに入ってきた。


「また戦況報告を見ているのかい? あんたもアカツキもそればっかり見て、良いニュースはないんだろ暗くなるだけなんだからほどほどにしなさい」

「ああ、お義母さん、起こしてしまいましたか? アカツキがいなくなって半日。この休暇中はいつも一緒に晩酌しててそれでいなくなったらなんだか寂しくなりまして。アセビの夜泣きをあやして少し夜更かしをしておりました」


 デバイスから顔を上げフトはやってきたミホのほうを向く。

 彼女の視線はフト隣へと引き寄せた、ベビーベットの上で寝息を立てているアセビのほうを向ていた。


「いいよ。赤ん坊は泣くのが仕事だ、アカツキもカゼユキもそりゃ泣いたもんさ。夜、暗闇が不安何だろう。それより寝なくてもいいのかい?」

「アセビも泣き止みましたし、私もこれを飲み終えたらもう寝ます」


「冥王星コロニーあれがどこの地域か知らないけど、ニュースを見た感じだとすでに荒廃しているようだけどね。帰るのはむつかしそうだよ」

「ええ、レベル二居住区画以上の人はほとんど避難して経済はもう回っていないそうです。星軍が支援で送る物資を奪い合っているとか」


「一気に時代が逆行したね。こんな時こそみんなで協力しないといけないのにねぇ」

「知識のある人はみんな彗星を恐れて私たち同様に離れてしまったから。電力や港は星軍が使っていますからまだ奇麗らしいのですけど、みんな燃えていたらいやですね」


「もう戦場からは遠く離れたんだ、あなたはもっとここでの生活よりの情報を仕入れたほうがいいんじゃないかい? 若いのだから服や美容にお金を使うとか、星軍から離れているときだけだよ」

「この子にはかわいい服着せたいですね。でもアセビが大きくなったら私も星軍に戻りますから、あまり贅沢を覚えてしまいますと」


「戦争のことじゃなくて自分の生き方を大事にしなさい。明日明後日で終わらないにしてもいつかは終わるのだから、戦いが終わってもこんな生活を続けていちゃだめだよ」

「その時は、またその時に考えていきます。とりあえず今はアセビのこと、この子が幸せな生活を送られるよう考えてますよお義母さん」


「そうかい。それじゃ、私は先に寝るね、あんたも早く寝なさい」

「はいおやすみなさい。私も寝ます。アセビ、寝るよ」


 ぬるくなった白湯を飲み干し片づけてスクロールデバイスを閉じフトはアセビの小さな体を抱えて二階へと上がっていく。


 祖父とカゼユキ、アカツキのいなくなり広く感じる家の中。

 自室のベビーベットにアセビをおろし、フトはしばらくは帰ってこないために大きく使えるベットに寝そべる。


「新しい家に慣れたけど、今日からはまた環境が変わるな」


少しの間フトは天井を眺めておりやがてゆっくりと目を閉じた。

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