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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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迷い星 1

 個人の用意されているバスタオルや歯ブラシなどの少ない手荷物を預け寝所を出てエトワールと合流して食堂へと戻る。

 あとからスタンプラリーを終えた集まってきていてオオガマの前に列をつくっていた。


「わーお、混んでる。早くに終わってよかったね」

「ああ、俺らはのんびり終わるのを待つだけだな」


 食堂へ指揮室の前でアカツキたちの父親と一緒にいた詰襟を着た女性が入ってくる。

 彼女は部屋を見渡し声を張った。


「エトワール。この中にエトワール・クエーサー、居るか?」


 大きな声で名前を呼ばれビクンと跳ねるエトワール。


「はひっ! エトワール、クエーサーは自分です!」

「よし、来い」


 何が何だかわからないままエトワールはカゼユキに小さく手を振り、呼びに来た彼女の後に続いていく。


「連れてかれたな、何かしたのか?」

「仕事場が決まったんだよ。スタンプラリーを終えた者は順次仕事場が決まっていく。明日から午前中は合同で、午後は各部署に行って技術研修を受けてもらう」


 答えたのは隣にいたカゼユキではなくスクロールデバイスを受け取っては写真を撮り鍵を渡すオオガマ。

 エトワールがいなくなってすぐに別のものが食堂へとやってきた。


「セキショウ・アカツキさんはいますか?」

「はい、自分です」


 ついてくるように言われアカツキも床を蹴ってカゼユキと別れて食堂を出る。


「アカツキさん、君は今日から保管庫での勤めになります。宇宙服を着て丸一日作業船に乗り込む狭い職場ですがよろしく頼みます」

「よろしくお願いします」


 上部構造物から筒状になっている船体中央へと移動した。


「アカツキさん、宇宙服にそでを通したことはありますか」

「星軍の訓練で何度か、一人で着用できるような訓練は受けています」


 艦内に作られる人口重力を配慮して作られた上下のある構造。

 ガラス窓のあるスタンプラリーの時にサインを書いてもらった部屋の奥へと案内され、宇宙服の並ぶ部屋へと通される。


「それじゃあまず、ここで宇宙服に着替えてもらいます。上に来ているのは脱いでそこにしまいましてね。サバとか読んでないなら、送られてきたデータの通りだとサイズはここにあるやつであいますよね。今日からアカツキ君が着るやつです、後でマジックかしてやるから名前書いといてください」

「わかりました」


「着替え終わったらこっちに来てください、背中のファスナーを上げるから。そしたら作業艇に乗り込んでもらって先輩方に手ほどきを受けてください」

「了解です」


 生命維持装置などのごてごてした装置のほかに体の各所にプロテクターのような装甲がついた宇宙服。

 アカツキは纏っていた白い水兵服を脱ぎたたんでベルトで束ねパイプに巻き付けると、固定具から宇宙服を取り外し強化外骨格の役割も持つ鎧のような宇宙服に体を通す。


 重たく硬く可動域にも限りがある何層にも重なる生地の宇宙服。

 無重力下でくるくると回転しながらだが着替えが終わり、兜のようなヘルメット持って部屋の外に出る。


「遅かったですね、訓練でも宇宙服への着替えはするでしょうがもう少し早くお願いします」

「わかりました、次からはもっと早く着替えられるようにします」


 アカツキ一人で上げることのできない背中のファスナーを上げてもらう。


「上げ終わりました、それでは作業艇の搭乗口に向かいます」


 案内に従いガラス窓へと近づくといくつかある、床からせり出した円形の扉へと向かった。


「下でナキリさんの作業艇が待機しています、あとはそちらで指示を受けてください」


 ヘルメットをかぶってカチッと音が鳴るまでひねり固定されたことを確認してアカツキは扉の中へと入る。

 扉の中は狭くアカツキが中へと入ると円形の扉は閉じられロックがかけられた。


『ヘルメットをかぶり、生命維持装置を起動してください。作業艇に乗るためにあまり使う機会はありませんが姿勢制御用ガスの残量に気を付けてください』


 聞こえてきた音声に従い腕と胸元の操作盤を操作し背中にある生命維持装置を起動させる。


『起動を確認しました、アカツキさんのライフサインをモニタリングします。それではハッチ内の減圧を開始します、五分ほどで減圧は終わります。減圧が終わり次第ハッチが開きますので作業艇に乗り込んでください』


 狭い空間内でしばらく待機したのち閉じたうえではなく横の扉が開かれる。

 外とつながる船内倉庫、アカツキから見て周囲には荷物の入った巨大コンテナが並び、艦首のほうを見れば巨大な砲弾がいくつも固定され積みあがっている。

 艦尾のほうを見れば六基の推進器の真ん中に存在する物資搬入口が見え、今はその外に宇宙港の壁が見えいくつかの作業艇が動いていた。


『セキショウ・アカツキだな。俺がキワケだぞ、乗れ!』


 宇宙で働く多目的作業艇、スターレギオン。

 赤いラインの二本入った長細い作業艇がアカツキを迎えに来て重たい宇宙服で飛び上がり作業艇にしがみつく。


『すでに搬入作業が終わっているが、まだ積み込まれたコンテナの整理があるぞ。物資は食べ物と日用品でまとまってはいるが冷蔵と常温、資材と日用品がごっちゃになっている。どちらか片方必要なものを取った残りを別の倉庫に運ばなければならない、その作業の手伝いを行ってもらうぞ』

「よろしくお願いします。でも俺ナキリさんの指示を仰げって」


『マイクが入っていないぞ、口をパクパクとさせて池の鯉みたいになっているだけだ。真空では音は響かんどんなに大声を出されても俺には届かんぞ。聞こえているか?』


 慌てて腕のタッチパネルを操作してマイクをつなげる。


「すみません。これからよろしくお願いします。えっと、ナキリさんでいいんですよね?」

『よし、声が聞こえた。ああ、キワケ・ナキリだ。すでに今日から仕事に引きずり回してもいいという指示だ、仕事終わりは爆睡できる程度には働かせてやるぞ』

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