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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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そらの彼方へ 5

 壁につかまって立ち止まり服装を正し背筋を伸ばすと敬礼をするアカツキたち三人。

 唐突な異邦の客人の排除のために急速な拡大を余儀なくされた星軍は、その巨船の操縦とその運用ができる民間人を船ごと徴用し異邦人の排除を行っている。


 そのため砲艦には作戦や連携などを迅速に行うための星軍から派遣されたオペレーターと、もともとその船を扱っていた元船員たちの二つの船員で構成されていた。

 指揮室の前で待っていたオペレーターたちは驚くアカツキたちを見てくすくすと笑いその横を通り抜ける。


「これ、父さんの船か」

「長年ともにしてきてあちこちガタが来ていて時々不機嫌になるけど良い船だぞ、クルーもみな気のいい奴らだ癖は強いが仲良くしてやってくれ。と言っても何人かは第二世代の乗員に引き抜かれてしまったが、その穴はお前たち新しいクルーが埋められるように努力するようにな」


 三人の返事を聞きオペレーターたちがスクロールデバイスにサインをしに向かう。

 スタンプラリーのサインを受け取りアカツキたちは逃げるよう足早に手を振って通路を進んでいく。

 その後姿を見てオペレーターたちが艦長の前に集まる。


「ヨド艦長のご子息二人ともよく似てましたね目元が、きりっとしててちょっと怖い感じ。笑うとそうでもないんですけどね」

「ああ、よく言われるよ。アカツキのほうはあいつににて目の色が少し明るい。それはいいんだが、ただ一つ問題があってだな」


「どうしたんですか?」

「弟のほうのアカツキの娘も似てしまってね。この目つきだ、男の子なら目つきの悪さくらいどうとでもなるが女の子だ少し心配である」


「わ~、後でお孫さんの写真を見せてください! 持ってますよね、持ってますよね!」

「わかったわかったから、このイベントが終わったらな。ほら次が来る」


 通り過ぎた指揮室のほうからキャッキャと騒ぐ声が聞こえるが振り返らずに進み続ける。


「恥ずかしい目にあった、みんな笑ってたぞ。まだ暑い、冷却液云々はどうなった」

「お父さんの船だったとはな。大きな事故ではあったけどこの船は俺らの命を助けてくれた船だ、戦闘にも出て帰ってきているし安心はできる」

「二人も老けたらあんな感じか」


 二人から頭を叩かれ捕まるものもなく半回転するエトワール。


「アウチっ!」

「エトは一言多いから痛い目を見ることになる」


 艦首コイルガンの射撃管制室、上部核融合炉制御室、上部医務室をめぐり長く緩やかな坂道の通路を下って船体の中央、コイルガンと弾薬庫、倉庫があるエリアをまわる。


 艦首から艦尾にかけて続くまっすぐな巨大な空洞は宇宙空間とつながっており作業艇や宇宙服なしで活動することはできない。


 分厚い窓ガラスのある部屋で艦尾の搬入口から作業艇が牽引してくるコンテナの列を見ながらサインをもらってチューブ飲料を渡される。

 エトワールが列車のように連なる長細い作業艇と牽引されるコンテナを見ているとサインを終えた者が話しかけてきた。


「搬入が気になりますか? 日用品や食料品の搬入はすでに終わり、今運んでいるあれはベトン弾。あちこちでの金属の採掘時に出た不要な岩石をコンテナに詰めて固め砲弾に加工したものです。あれを向かってくる敵に叩き込むのですよ。と言っても今運ばれているのは余ったから載せておいてくれと追加で渡されたものですけどね」

「ずいぶんと大きな塊ですね、作業船より大きい。十五メートルくらいでしたっけ?」


「はい、コイルガンの口径に大型コンテナと同じ大きさです。あれでも彗星を砕くには至らないものです。この十年、核機雷と併用して星を割ることに力を注いでいますがいまだ一つも割れていないのが現状」

「それでも、私たちは挑むよ、ブレイクするために。私たちのコロニーと星を守るために」


「そうです、軌道を変え意思を持つ意思疎通不可能な星の怪物を倒すために俺たちは戦っています。第二世代はレールガンを搭載している、弾丸は小さいが威力は大きいこれが決定打になってくれることを期待したい」

「砲弾はこの船のほうが大きいんですし、この船と私たちでこの戦いを終わらせましょう」


 作業員たちに手を振って部屋を出るエトワールは、先に部屋から出てチューブ飲料を飲んでいるカゼユキたちに合流する。


「ずいぶんとノリノリだなエト」

「人類の危機とか呼ばれてるスターブレイクするため、そのために私は星軍に志願したんだよカゼユキ」


「ああ、なんか彗星の見つかった最初のほうにニュースでいろいろな憶測で言われてたっけ。まだ調査すら始まっていない段階で、そのころから星軍に入隊しようと決めていたんだエトは」

「二人は違うの?」


「僕らは宇宙で働く父さんの姿がかっこよかったからあこがれて入っただけさ。この戦いが始まる前のタイタン輸送船、多分この船なんだけどこんな大きな船を操る姿がかっこよくてさ。手伝いがしたかったんだ、アカツキもね。今じゃ宇宙船に乗る資格は星軍に入るほうが早いから、ここで学んで彗星を壊した後に父さんの手伝いをしようとうとしたんだけど」

「ならできるね、二人でお父さんのお手伝い」


 先に進むアカツキを追いかけスタンプラリーを進めていく。


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