異邦者との最終決戦 9 終
戦艦級の直進ルートから離れた場所でコイルガンが破壊され戦闘に参加できない改良型シリウスでアセビは戦闘の行方を見守っていた。
「あたった!」
映像から彗星の反応が消える。
歓喜の声が一瞬沸き上がるも彗星は破壊できたが同時に改良型シリウスとベテルギウスが戦艦級の砲火を浴び大きな船体が砕かれていく姿を見て誰もが言葉を失う。
勝利に歓喜の声を上げたのもつかの間ぐらりとバランスを崩すアセビを支えるタイホウ。
「アセビ!」
「しりうすか……お父さんが……」
「ああ……、とりあえず座って動けるか?」
「おとうさん」
彗星を失ってなお戦艦級は戦いを続けていた。
ただ護衛対象を失い統率は乱れ手当たり次第に周囲の無人艦を攻撃している。
遅れて空母から放たれた作業艇が無人戦を間を縫って戦艦級へと近寄り、大型のデブリ破壊用の爆弾をばらまいた。
爆弾は岩石に突き刺さり内側から爆砕し戦艦級を砕く。
彗星を破壊した後も戦艦級の排除で数か月ほど戦闘が続いた。
戦艦級は太陽系中に散らばりいつ戦闘になるかわからない緊張の日々が宇宙では続いている。
しかし、コロニーや地球では戦争が終わったことで生活は大きく変わり軍需品から再び嗜好品、贅沢品の流通が増えていき止まっていた学校などの再稼働が始まった。
『彗星と戦うための軍艦を製造していた造船所では再びタイタン級、エンケラドス級の造船が開始されました。戦争で数十年分のアップデートを成されたシステムを搭載し、疑似重力区画の設計やよりエネルギー変換効率の良い推進器を搭載した新型モデルは、戦争で多くを損失し現在金属の値段の高騰とも相まって……』
『えー、彗星破壊から二か月が立ちました。本日、天空教が所有していた船はすべて接収され、宗教法人自体は内側からの問題を抱えきれず解体され。自称教祖を名乗る詐欺集団は……』
『……突発的な戦艦級の出現にデブリ回収は以前として進んでおらず。星軍の発表によりますと戦艦級が活動を停止すると思われる五十年間はいつ現れてもおかしくないとのこと。観測衛星やミサイルの供給も追いつき戦争時のような大きな被害は出ていませんが、コロニー間の移動やゲートの使用はまだしばらくは星軍の護衛は必要なようです』
『各コロニー及び地球では生活の復旧の人手が足りていません。彗星との戦争が終わり少しずつ星軍に徴兵されていた兵士が故郷へと戻り、止まっていた工場の再稼働も始まり始め、少しずつ戦争前の平和な……』
スクロールデバイスで最新のニュースを流し見していると、アセビは隣に座るタイホウに話しかける。
「天空教、第四世代を千五百隻所有してたんだってね。前に他の大きな宗教が寄付で送った艦艇数とほとんど同じくらいでびっくりだよね」
「自分たちが逃げる為だったらしいな」
「そんなにお金あったんだってあの宗教」
「火星に彗星が石んしたとき入信者が爆発的に増えたらしいからな……。でもあの宗教、最悪太陽系を捨てる気だったんだからすごいよな。第四世代はもともと地球の避難船として格納庫がすごく大きく作られたみたいだし、工場とか生産プラントとか乗せられる空間があったって」
アセビはタイホウとともに地下鉄に乗り地球の都市部へと向かっていた。
「ああそうだ、お父さんのお見舞いに花買っていこうかなって。下見が終わったら花屋によらなきゃ」
「そろそろ退院なんだっけ?」
「退院は来週だよ。右腕と右足脛から下が無くなったけど生きててくれた。義手と義足が届いたらリハビリ始めるんだって。今日は退院の時に大変にならないように先にもう使わない荷物を引き取りに行くの」
「手伝うよ」
「ありがとうね。それと私たちの式の予約もあるしね、今日も忙しくなるよ。そういえば式にヨタカを呼んだら来てくれるって日付けは決まってないけど合わせてこっちに来てくれるって。向こうは今、また運送会社を立ち上げるって資格勉強してるらしい。とるべき資格が多いからね宇宙は」
「元気にやってるんだなヨタカ」
「私たちも新しい生活に慣れないとね。来年には戦争も終了したし星軍の規模の縮小が始まるらしいし、私たちもいつまでも戦艦級とは戦ってられない。他に仕事を探していかないと」
「就職するならあちこち人手が足りていない今だもんな」
「そうだ、ヨタカの立ち上げた会社にでも入ろうか? 宇宙船の細かな作業なら手伝えるし。いつになるか聞いてないからわからないけど」
「彗星との戦争が本当に終わったんだな」
「そうだよ、これからは私たちの穏やかで慌ただしい新しい日々が始まるんだ」
「ああ、楽しみだな」
お互いの手を取って地下鉄を出て階段を上がって地上に上がる。
暗く長い廊下から続いた階段の先は都市を照らす眩い太陽の光が二人を照らす。
そして二人は平和の訪れた新しい世界へと踏み出していく。
以上で終了です
ここまで読んでいただきありがとうございました。
非常に頻繁に更新が止まったり
焦りから投稿する時間帯がバラバラになりましたが本作品も書き終えました。
宇宙という何もなく広くまったく景色が変わらない場所は非常にむつかしかったです。
それではまた、どこかで巡り合えますように。




