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異邦者との最終決戦 7


巨船は遠くからでも発見できることもあり他艦隊でも目印に使われ、ぽつりぽつりと頼りない最後の攻撃艦隊が集まっていた。


「作戦を説明する。彗星に有効打を与える生き残った第一世代が少ないため、他世代の護衛を受けて接近し彗星を破壊する。ありがたいことにどんどん小さくなっていってこちらの攻撃をうまく当てれば一発で何とかなるようになった。ただ、数が増え小さくなった分命中率が低くなったし放たれる電磁波の影響で遠くからの換装衛星便りの攻撃もできなくなったこと」

『生き残った船は少ないね』『攻撃のチャンスが一度しかないんだね』


「できる限り近づいて攻撃し破壊する。反撃があるかもしれない」

『後方より戦艦級が接近、恐ろしい加速力だよすぐに追いついてくる』


「後方は第三世代と第四世代に任せよう、彗星からの反撃に備え第二世代は先行するように指示を出してくれ」

『臨時の艦隊の指揮官も決まっていないのに』

『このシリウスが要なんだからいいんじゃないかい? とはいえアカツキ坊やは副艦長なんだけどね』


彗星を追いながら艦隊間で作戦会議を行い第二世代のプロキオンの艦長が指揮を執りアカツキは彗星への攻撃に専念するように命令を受ける。


船体を正面から見て上面に装甲、側面に射角の広い砲塔を付けた第四世代。

大型のフォーマルハウト、レグルスと中型のアルジェナ、ベガ、スピカの五種類の艦艇が建造されている。

それぞれ用途によって武装が配置されレグルスとアルジェナは艦首にシリウスとカストルと同じように大型コイルガンを搭載していて、他世代に守られるようにシリウス改のそばで密集陣形をとった。


『後方より、戦艦級なおも接近。接敵までおよそ20分』

「シリウスはこのまま攻撃に集中する。排除は他に任せる」


第三世代たちが反転し後方に狙いをつけ、艦首コイルガンを付けたシリウスらを守るために残りの艦艇が囮となる。

追ってくる戦艦級は高速で動く自爆突撃型と分裂する小型、向こうも彗星本体を守るために砲撃など行なわず確実に体当たりでこちらを鎮めようと迫ってきた。


『前線で動きが……、民間船をデブリの盾としそれぞれの彗星へとむけて突撃。人類統合委員会の呼びかけです、星軍が所有していない船も』

『デブリ破壊用に待機していた空母艦隊前進、少しでも縦の数を増やす目的の模様』

「小さくなったから体当たりでも破壊できると判断した? いやこちらに注意が向かないための囮か」


補給船、修復中の艦艇、中型船さらには遊覧船や小型シャトルも航路設定の自動運転で地球側から彗星へとむけて進む。

攻撃能力はないが無数の盾としてゲートを通じて集まる。


『彗星が地球に到達するまで二時間。一時間四十分以内に破壊できなければ破壊できたとしても、その破片が地球地表に衝突するよ』

「こちらが射程に入るまでの時間は」

『彗星の放つ電磁波の影響で確実性を求めるなら一時間十分後あたりかね』

『だいぶ小さくなっているんだ核爆弾を周囲で爆破させ軌道を逸らすことも可能なんじゃないかい? いやそれで変な方向に飛んで行かれても困るか、向こうは意思をもって方向転換できるんだった』


攻撃を受けても躱すこともなく接近する戦艦級。

後方に取り残された彗星を追っていた艦隊は一刻も早く追いつくために陣形を組まずそれぞれが単独で行動しており、そこを複数の戦艦級から攻撃され貴重な動ける戦力が減っていく。

そして残存兵力を減らしながら戦艦級たちがアカツキたちの艦隊に迫る。


『戦艦級接近、数二十八』


驚異的な速度で追いついてくる戦艦級。

砲撃もまちまちに勢いそのままの体当たりを仕掛けるべく艦隊へと迫ってくる。

後方を警戒していた中型艦と第三世代らの砲撃を受け数を減らしていく。


『追加で数二百。先に行っておくと次はもっと多いよ』

『月司令部の判断でマイクロ波攻撃は後方の戦艦級の数を減らすことに変わったけど、こちらを巻き込まない射角で攻撃をしているため接近してくる戦艦級はこちらで処理するしかないね』


クリアランスで焼かれる破片、赤く輝く砕けた破片に交じり分裂した小型が突撃してくる。

メラクとカノープスが攻撃を受けて沈黙し、アルジェナが自爆型の体当たりを受けくの字に折れた。

後方から来るのは増援ではなく砕けた彗星の破片が戦艦級に変わったもの。

回避など行なわずまっすぐ破壊対象だけを見て進む、味方は減っていくのみで戦闘を続けながら彗星を追う。


『彗星の射程まで六十分、ただ確実に当てるならもっと近寄る必要があるよ』


月の三分の一ほどあった巨大な小惑星だった頃からは想像もつかないほど小さくなった要塞型と変わらないほどの彗星。

細かく複製に分かれてもなお眩く光り、決して見失うことはないが恒星のごとく強く光っているため正確な中心がわからない。

最後の分裂以降加速は止まり、推進器のリミッターを外し加速するシリウスらの加速が彗星の速度を超える。


『彗星有効射程内』

『地球圏内突入危険域まで残り二十分』

「よし、砲撃を開始する」


そういうとアカツキは発射ボタンを押す。

放たれた砲弾は光り輝く彗星へと飛んでいく。

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