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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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そらの彼方へ 2

「艦首のそれは今の砲艦と同じコイルガンっていう大砲なんですよね! そんなのをぶっ放したら受け取る側は直撃でぐしゃぐしゃになるんじゃないですか?」


 将校は眉間にしわを寄せ静かに答えた。


「なるほど……どうやらきちんと学んでこなかったようだな。訓練の合間に諸君らのスクロールデバイスに課題を出すようにしよう。向こうでもしっかり勉強するように」


 期待していた回答を得られずキョトンとしたままのエトワールから視線を放し将校は話を続ける。


「それでどこまで話したか……。ああ、船ごと移動するのは非効率で野球ボールを外野から走ってホームに届けるのではなく投擲でキャッチャーにパスをするようにコンテナだけを撃ち出せれば、船がコロニーへとコンテナの輸送に向かっている間、次の船を待たずに済むという設計思想からすべての輸送船には大型のコイルガンが搭載されるようになった」


 液晶モニターはシリウスの設計図から宇宙での戦闘時の画面に切り替わった。


「このコイルガンは電力の量により発射速度を調節できる。タイタンもエンケラドゥスも同規格のコンテナを撃ちだす共通の兵装をしていて、このコイルガンが電力を強化されこんにち我々の主兵器となっているわけだ。過去から今現在まで使われる傑作宇宙船、それがお前たちの仕事場だ」


 指揮室と思われる暗い船内で天井にある大きなモニターを見上げる宇宙服を着た誰か、モニターには観測衛星から送られているであろう白い靄に包まれる三つの彗星の姿。

 納得のいかない表情のエトワール以外は将校の後ろに映る画面を見て気を引き締める。


「さて、では、これより車両へと移動する。ロッカーへと戻り私物を取り次第この建物の外に集まるように。港に着いたらお前たちを船の人間に引き渡す。星軍としての行動を、くれぐれも私語は慎むように」


 将校はスクロールデバイスを巻き取りしまうと部屋にいる全員にワッペンを配り、改めて建物の前に集合するように指示を出し部屋を後にする。

 将校がいなくなりワッペン手にしてロッカーへと引き返す、その道中でアカツキは小声でエトワールに詰め寄った。


「エト、お前のせいで面倒ごとは増えたぞ」


 背中を小突かれながらもエトワールはカゼユキに訪ねる。


「ねぇ、結局ぶつかってぐしゃぐしゃになるの?」

「飛んでくるコンテナと同じ速度で船が移動して受け取ればいいだけなんだよエトワール。宇宙ではほとんど物体は減速しないから」


「ん~? 結局、推進剤を使ってません? わからないよ」

「全く使わないわけじゃないけど、船に積んで移動するより撃ち出したほうが多くのコンテナの運搬を少ない推進剤で進められるんだ。受け取るのは星の軌道をすごい速さで回っている輸送船だから飛んできたコンテナと相対速度を合わせるだけ。速度を合わせてその後取りに行くのは作業艇だし飛んできたコンテナはぶつかって潰れたりはしないんだよ」


「う~ん。わかったようなわからないような……」

「昔なら冥王星がその飛んでくるコンテナの回収拠点だった、僕らが今まで暮らしてきた冥王星のあのコロニーも大昔は多くの開拓者の生活拠点だったんだよ」


 建物を出て敷地内に止まっているバスに乗り込む。

 同じように別の部屋に集まっていた隊員たちも別のバスに乗り込んでいく。

 着替えて輸送船の話を聞いただけで出る基地を振り返り、アカツキは基地の周りに張られているポスターや横断幕を見ないよう別の町がかすんで見える空を見上げる。


「いよいよか」


 来るときも通った大きな道路を進みコンテナを乗せたトラックとともに貨物列車と並走しながらバスは宇宙港へと向かった。

 軍が借りている大型船専門の港。


 どこまでも続いているエスカレーターを歩いて登り重力の弱くなった軍港へと入る。

 入って奥に進んでいくとロビーから分厚いガラスの壁の向こうに改修を受けたシリウス砲艦が七隻停泊しているのが見え、ここまで案内をしてきた将校からアカツキたちと同じ一般兵の男性にスクロールデバイスから抜き取ったメモリーを渡して敬礼をし去っていく。


「……はい。どーも皆さん。ああ敬礼とかはいいですよ、後ろから次の団員さんが来ちゃいますからね。大戸、その前に、私は皆さんの命を預かるオオガマというものです。はい、よろしく」


 低い声で挨拶をすると猫背の無精ひげを生やした男がボサボサの頭を搔きながらスクロールデバイスに受け取ったメモリーを差し込む。


「ようこそ新兵さんがた、ではここで話すのもあれだから行きましょうか。船は見るものじゃなくて乗るものですから。私らが乗り込むのはあの正面に見えているシリウスs10001。改装されても元は老朽艦、少しガタが来てますが乗り心地はいいですよ」


 オオガマの案内に従い搭乗口からアカツキたちはシリウスへと乗り込む。

 掃除こそはされているが、壁などの塗装ははげ落ちており塗り直しなどされていないボロボロな八角形の通路を進む。

 食堂のような開けた机と椅子の並ぶ部屋へと案内される。


「皆さんもうワッペンを持っていると思いますが、それがこの船に乗る証となります。船ごとの部隊章ですかね、シリウスだけでこの港に七隻、戦闘中の宇宙には数千隻います補給や整備でいっぱい停泊します、そういう時間違えて乗り込まないようこのワッペンの柄をしっかり覚えてくださいね。とはいえ製造番号がプリントしてあるから私らの艦は1001の覚えやすい数字ですから間違えることはあまりないでしょう。もし間違って他の船に乗ってしまったら乗ってしまった船と私らの船の幹部にお酒をおごる羽目になりますので、貯金を失いたくなければ気を付けることです」


 机と椅子は磁石でくっついているようで椅子の背もたれの下ついている自転車のブレーキのようなレバーを引きと椅子が床から離れ宙を漂う。


「では、この船での生活について説明いたしますのでどうぞ好きな席に座ってください」


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