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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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そらの彼方へ 1

 

 振り返ると金髪と茶髪がまじりあった肩まで伸びる髪を揺らした碧眼の女性がたっていた。


「ヘーイ、お二人さん。オヒサーヨロシクー!」

「エトワールか、ようやく知り合いにあったがにぎやかな奴といっしょか」

「久しぶり、エト。しっかり休めた?」


「イエース、パピーもマミーもとーっても元気でした。敵が攻めてきた冥王星の事故知ってます? 」

「ああ、民間船が巻き添え受けて大破した奴だよな。俺らも肝が冷えた」

「エトワールはもっと前に里帰りしていたんだっけ、事故に巻き込まれなくてよかったね」


「いえす、宇宙での長期滞在の訓練が終わって体力回復期間に入ったとたんにホームへと帰りました。避難指示から一か月ほどたった今、冥王星のコロニーは大変で嫌ですね」

「コロニー自体が自分で動けるって言っても鈍足だからな、逃げ切れないって話じゃないか。暴動にもなってるらしいし、今向こうの治安は相当ひどいらしい」

「ただの時間稼ぎらしいしね、人員の移動に問題ないほどの船があっても宇宙港に入れる船に限りがあるし。トラブルとか起こして足を引っ張る人もいるから避難が進んでいない」


 よくとおる明るく元気な声であいさつを交わすとエトワールと呼ばれた女性はアカツキたちと合流する。

 アカツキたちと同じ服を着た彼女は部屋を見渡しほかに知り合いがいないか探す。


「どーやら、私ら以外は初めましての人だらけだね。同じ部屋ってことは同じ船に乗るのかなー?」

「ああ、わざわざ部屋分ける理由もないしそうかもな?」

「知り合いで集まったわけでもないからその可能性は高いね」


「船での訓練が終われば最前線での戦闘デスネー。ドキドキしちゃうね」

「ようやくだよな。座学と体力づくりと宇宙遊泳、これだけで二年って訓練期間が長すぎるんだよ。相手が人でないにしろ分類上は戦争中なんだろ」

「第二世代は建造中で、輸送艦から砲艦への改装もまだ十分じゃなかったからゆっくり船と敵と宇宙を学ぶ時間があったんだよ。暗視下での艦内移動訓練とか、脱出ポットでの閉所三日間生存訓練とか大事だよ」


「はい、そう思います! でも、ここまで来たからには早くぶっ放したいです!」

「まだ何の船に乗るかわかってないけどな。乗る船が決まってるのか志願なのか、第二世代も見えたから砲艦だけとも限らないけど」

「砲艦に随伴する補給艦ってこともあるからね」


「おにゅーの第二世代は砲艦より、より近い場所で戦うとニュースで読みました。攻撃できればなんでもいーです」

「エトワールは砲雷課志望だったのか」

「過剰防衛艦は父さんがいい顔していなかったからできれば避けたいね」


「名前はすごく丈夫そうですけどー?」

「どの船に乗っても危険なことには変わりないだろ、敵の目の前に行くんだから」

「父さんたちに心配はかけたくないだけだよ」


 アカツキたちの着るジッパーとマジックテープで服を止める星軍の制服とは違う、礼服に近いボタンと装飾の多い階級章を付けた将校が部屋に入ってきて扉を閉める。


「静かに、時間だ説明を始める。集まるように」


 階級章のつけた将校は一段高くなっている台の上に上がり、部屋に集まっていたアカツキたちはおしゃべりをやめて部屋の真ん中に集まった。


「まず、ここに集まった者たちは自分らがどの艦に乗るか楽しみにいていたことだろう。喜べ改良型のシリウス級砲艦に乗ってもらう。知っている通り戦闘は十年ほど続いておりシリウス型は何度も改修改装が続けられている。今回もその改良が施された一つだ」


 舞台の上からアカツキたちを見下ろす将校。


「何人かは不服そうな顔をしているな。思い上がるな、基礎訓練が終わった程度の鼻垂れどもを新鋭艦に乗せるわけがないだろう、使い古しの中古品がお前らにはお似合いだ」


 咳払いをすると将校は手にしたスクロールデバイスを広げ目を落とす。


「さて、この後バスに乗り宇宙港へと向かうわけだがすでに制服にそでを通したその瞬間から、一般人から星軍の一員へとなった。戦争が終わるか自分が死ぬまでこの肩書は消えない、立ち振る舞いには星軍らしさが求められる。遠く離れた場所て戦い、戦闘とは縁のない地でのもめごとは起こさないように」


 スクロールデバイスを操作し将校の立つ液晶画面に映像を移した。

 オールブレイクキャリアーと呼ばれる輸送艦を外宇宙から現れた怪物と戦うために改装した第一世代、シリウス砲艦とカストル砲艦。


「知っての通り、シリウス砲艦とカストル砲艦の改装前はタイタン級輸送船、エンケラドゥス級輸送船と呼ばれる工事現場の足場のような骨組みむき出しの民間船だった。この古い船に近代設備と最新のエンジン、そしてそれらを丁寧に装甲版で包んだものが砲艦だ。元が特殊な輸送船でありこの船には作業艇や採掘基地で掘った鉱石をコンテナに詰め、はるか遠くにある中継地点へとむけて射出する巨大コイルガンがある」


 液晶画面は艦首から船の中央よりやや後ろへと続いている巨大な筒へとズームされる。


「砲艦へと改装する前から、少しでも燃費を下げようと搭載されている設計が極めて特殊な船だ、このコイルガンでコンテナを撃ちだし離れている別の砲艦が。歴史の勉強で教わったであろうが昔はゲートの数が少なかったからなゲートを抜けた先の移動には長い時間がかかり、その間採掘したコンテナを運搬する船を待ち続けなければならなかった。だがコンテナだけを撃ち出せれば船を待たずに済むという設計思想から」

「センセーに質問があります」


 エトワールが挙手をし将校から許可すると指示が出て彼女は口を開く。


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