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流れ星の天蓋 7

駅に入り電源の切られた改札を通り抜ける。

広く大きな駅内にはほとんど人はおらず、案内アナウンスなども止められ列車へと案内する星軍の兵士と避難する家族たちだけの足音が響く。


「すまないね脚が悪くて」


ミホが集団から遅れそれに付き添うアセビも先を進む皆から遅れていった。


「発射時刻まではまだ時間はありますから無理はしないでください」

「転んで怪我でもしたら大変だから、おばあちゃんもう少しゆっくり歩こう?」

「もう何年か早ければこの足ももう少しゆうことを聞いたんだけどねぇ」


杖をつくものがいるため他の避難者たちを先に行かせ、星軍の一人とアセビとミホが後から追う。

大勢の足音が遠ざかっていき代わりに杖をつく音が響いた。

通路を進み今度はどこまでも続く長いエスカレーターに乗り地下へと下っていく。


「ふぅ、少しは歩かなくていいところに来たね」

「もう年なんだから無理しちゃだめだよ」


高低差も障害物を気にせず直進でき空気抵抗を受けない地下に作られた高速リニア。

より速く走るためレールは真空に近い状態になっているパイプの中を走る。

真空状態を維持するため乗り込み口以外は見えず、ホームに到着している列車の有無は乗り込み口と表示灯や時刻表など付近のシステム。


「列車はあちらにとまっています。では、自分は持ち場に戻りますので」

「ああ、案内ありがとう」


アナウンスなどは止められていてもシステムだけは動いており、広いホームの一か所に点灯する青い光のもとに先に向かった避難者たちがいる。

高架橋のような道を通り皆のいるホームへと降り先に行ったものたちと合流した。


「なぜ、車内に入らない? 私が皆を待たせてしまったのか?」

「ああ、確認をとっている最中がここに誰が来ていないかを。来る途中襲撃にあって何人かがここにこれなかったから」


装甲車内で受け取ったチケットの確認をしているらしく、ミホたちもチケットの用意をする。

ヘルメットを目深にかぶった猫背の星軍兵がコードを読み取る機器を持っており、一枚ずつ機器を当ててコードを読み取っていた。


「あとから来た方々ですね。それではチケットの確認をさせてもらっても?」

「ああ、いいさ。でもこれが必要なのは軌道エレベーターの中じゃないのかい?」


「いいえ、しっかりチケットを持っているかの確認をしなければ。宇宙港についてからチケットを受け取っていなかったなんてあったら再発行などの手続きなどで時間をとられ避難船の出航に間に合わなくなってしまいますし大変ですから」

「なら、軌道エレベーター内で渡すでもよかったんじゃないかねぇ」


「あ、スクロースデバイスで身分が証明できるようにしておいてください。それに装甲車を盗んで別人がやってきているということもありますから」

「星軍の中にもいるらしいね、他人の家族を避難させるくらいなら自分の家族をって野茂気持ちは痛いほどわかるのだけども。というかあんた、服のサイズがあっていないようだけどそんな装備していて大丈夫かい?」


「すみません、物不足で標準サイズの服がないんですよ。照会が終わりました順に列車に乗り込んでください」


確認をしていた兵士が車内にいる兵士に合図を送り先に到着した順に乗り込む。

そうしているとまた別の避難グループがホームへとやってくる。

順番を待っている間、何かに気が付いたアセビが猫背の兵士の顔を覗き込んだ。


「あれ……? タイホウ? 何やってるのこんなところで?」

「セキショウ? ああ、避難できたんだなおめでとう。人手不足で暇してるならって駆り出された。親父が中にいる、俺は手伝いで今日たまたまここに」


アセビは重たい装備で曲がったその背中を叩く。


「似合ってないね、その服。ほら、しゃんとしないと」

「サイズが親父のだから合わないんだよ、ヘルメットも会わないし装備も重いし。しゃべってるのがばれると怒られるからお前ももう乗れ。向こうの人たちの照会もしないといけないから」


タイホウと別れミホの後に続いてアセビが乗り込み口から車内に入ろうとすると、タンッと乾いた音がホームに響く。

振り返るとすぐ後ろにいたタイホウが膝をつくところで、新しく来た避難者たちが叫んで塵尻に逃げていく姿が見える。


「タイホウ!」


その場に二人、銃とナイフを持った避難民らしきものたちが倒れたタイホウのもとへと歩み寄っていた。

車内から星軍の兵士が出ると他の避難者と列車を守るためすぐに扉が閉まる。

別の車両やホームの隅に待機していた星軍が飛び出し、すぐにテーザー銃やランチャー式の捕縛網にかけられ二人は掴まった。


「タイホウ、大丈夫!? ねぇ!!」


足を撃たれサイズの合っていない星軍の制服のズボンが黒く滲んでいく。


「ああ、かすっただけですごく痛いけど歩ける。あと耳元で叫ばないでくれ、止血を」

「よかった。よかったぁ、治療。誰かぁー!」


「耳……」


突如暴れ出した二人をとらえてすぐにタイホウの父親が駆け寄ってきてすぐに傷口の手当てを始めた。


「浅い傷でよかったな」

「くそっ、なんだったんだよあいつら急に暴れ出して」


ズボンをまくり血を拭き消毒しガーゼで抑え包帯を巻いて止血帯を巻く。

それが終わると父親が治療したばかりの傷口を叩いて立ち上がる。


「いってぇ!」

「知ってるだろ横入り組だ、受け取ったらそのまま宇宙に行けると思ってて、ここでチケットのこと確認されることを知らずに紛れてたんだ」


「じゃあ、元のチケットの持ち主は」

「連絡がなかったから、自宅に迎えに行った時から別人だったんだろう。大方親族か親しいものに別れの連絡でも入れたんだろう。いつも通りの生活をおくっていても本心はどんな手を使ってもこの星から逃げ出したい時期だ、そんな連絡が来れば多少の無茶もする」


「にしても銃なんてどこで手に入れたんだよ」

「確認したがあれはおもちゃだ、バネや撃ちだす弾を変えれば空き瓶程度なら割れるおもちゃの銃。そこの奴らはそれの違法改造したものを持っていたってだけだ。おもちゃだが当たり所が悪かったら死んでたかもしれない、本当にお前に大事がなくてよかった……」


タイホウの父親は怪我が大したことがなかったことを再度確認し重たい装備ごと彼を強く抱擁した。


「痛いし、セキショウが見ているからやめろぉよぉ」


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