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流れ星の天蓋 4

深夜アセビは激しい揺れで起こされる。

自室の家具は倒れなかったがリビングで食器が割れる音が聞こえスクロールデバイスを手に飛び起き部屋を出た。


「おばあちゃん!」

「無事だよ、そっちは怪我はないかい」


別の部屋からミホの返事が返ってきてその間に揺れは収まり静かになる。

また揺れの余韻に早まる心臓の鼓動にアセビはミホの腕を握った。


「なんだったの今の?」

「さぁね、ガス爆発とかではないだろう。電機は止まってないね」


「下の階で食器が割れる音がしたよね。すごく散らかってそう」

「片づけは私がしておくから、あんたは寝ていなさい」


「私も手伝うよ、目がさえちゃってもう寝られないし」


二人は自室のある二階から下の階へと降り手分けをして家の状況を調べ始める。

アセビはリビングを調べると壁にかけられていた壁掛け式の花瓶や絵画、大型モニターなどが外れ床に転がっていた。


「洗ったまな板が食器倒したみたい。コップと食器が何枚か割れちゃってる」

「近寄って素手で触るんじゃないよ掃除機用意するから」


仏壇のある居間からミホの返事が返ってくる。

いろんな素材の破片が散らばるキッチンから離れ落ちた絵画などを壁に戻していくアセビ。

玄関の砲から緊急車両のサイレンと飛行ドローンのモーター音が家の前を通り過ぎていき小さくなっていく音が聞こえていく。


「やっぱ事故かな」

「ニュースで何かやってないかい」


遅れてまた難題化通り過ぎていく音を聞きながらモニターの電源をつける。


『……降り注ぐ彗星の第三波を目前にし動物園から希少動物の避難が始まっており、移送ができない動物たちのお肉を使ったバーベキューが本日、動物園の敷地を使って行われ……』

『……星軍の発表によりますと、火星軌道上でデブリ排除を行っていた星軍の宇宙港の一つが致命的な損傷を受けたとの報告が』

『……最後の彗星が向かっているということもあり地球離れが進んでおります。地球全体の地価が暴落しており、不動産経営者からは多数の嘆く声が……』


まだ、起きたばかりでどこのチャンネルも自身のことを報じてはいなかったがいくつかチャンネルを切り替えていると番組が切り替わった。


『緊急報道です。つい先ほどレベル五居住区に彗星の破片が落着したとの報告がありました。被害の全貌はまだわかりませんが被害は、未確認ですが大きく捲れあがった地面の一部がレベル三居住区内にも多く被害を出しているとの報告が。ドローンからの映像が届きました緊急事態に付き飛行区域に制限があり事故現場から五キロほど離れていますが、ご覧ください。……こちらは夜でしょうか? まるで夕方のようなオレンジ色の光があたり一帯を包んでいます。空を飛んでいるのは消防のドローンでしょうか。まるで爆撃機の群れのような陣形を組み消火剤を巻き消火活動を行っております。あ、特別災害派遣用の歩行重機です、防火アーマーに身を包んだ消防隊員が見えますでしょうか。これから燃える街へと入っていくようです』


モニターは広い範囲を映しているがどこも火の海で深夜ということもあり、燃えていない箇所は明かりがなく闇に包まれどうなっているかわからない。

片づけをすませミホがリビングへとやってきてキッチンの状況とモニターの映像を交互に見る。


「どこに落ちたんだい?」

「さぁ場所は行っていないけどレベル五の居住区だって、他の区画にも被害が出えてるみたい。何であれ今までで一番大きな隕石じゃない? クレーターの様子は見えないか。結構広い範囲に瓦礫が飛んでそう、こっち側じゃなくてよかった」


「落下する方向次第ではこっちに被害が出たかもしれないのか」

「どこまで飛んだかは知らないけどそうかも」


話している間もドローンのモーター音が家を飛び越えていく。


「今晩はずっとサイレンの音が鳴り続けるかもね」


ニュースは時間を追うにつれこの事故を扱いはじめるがどこも情報不足で遠巻きから現場を映すのみ。

規模も不明で周辺住民などから当時の状況をインタビューで訊ねている。


「アセビ、あんたのデバイスずっと何かを着信しているみたいだけど」

「ほんとだ、こんな深夜に……ああタイホウか。ちょっと話してくるねおばちゃん」


「友達の無事はしっかり確かめておきなさい」


アセビは廊下へと向かい通話に出た。


「ごめん、通知音切ってた」

『夜更けに悪いな、大丈夫かの確認だけだ。メールに返事がなかったから』


「家の掃除で忙しかった。結構揺れたでしょそっちも色々被害出た?」

『ああ、隣の家の木が倒れてきて窓ガラスが割れた』


「大丈夫? 怪我は?」

『こっちは大丈夫だ、窓から涼しい風が吹き込んでくるだけ。サイレンの音がうるさいけど』


「そっちもなってるのか。区画中から緊急車両が集められてるのかな」

『ニュース見たか? すごい規模だ、爆弾でも落ちたかってくらい広範囲。この居住区の二つ隣の居住区だそうだ。だから区画中じゃなくてこの付近全ての区画の緊急車両を総動員しているんだろう』


聞こえてくるニュースの音声は彗星の降り注ぐ隕石群の第三波を報じている。


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