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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
一章 果てより現れ戦いをもたらすもの
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戦いをもたらすもの 8

 

 火星へと引っ越してきてから数週間。

 あらかたの荷物が片付け終わり、折りたたまれた段ボールが部屋の隅にまとめられてゴミの収日を待っている。

 ベビーベットに寝かせられたアセビがおもちゃで遊んでおり、アカツキはリビングでコーヒーを飲みながらスクロールデバイスを広げニュースを読んでいた。


『星軍発表による大攻勢のニュースです。第二世代宇宙船の数がそろったことにより第二回大規模攻勢が可能となったと報告が上がりました。目的は三つある彗星のうちの一つの破壊、この戦闘を転換点とし……』

『製造された軍艦を停泊させる軍港の建造が各ラグランジュポイントに建造されています。資材デブリの発生につながると周辺のコロニーで反対運動が起きる中……』

『彗星の破壊に向かい反撃を受けた第一次大規模攻勢から今年で十年。星軍はこの脅威に向け入隊者を募り規模を拡大し、一万隻を超える宇宙艦体が……』

『第二世代の製造と並行して行われていた輸送船の砲艦への改装。そのおかげで現在宇宙艦艇の総数は一万三千隻を超えたとのことで、現在完成間近の二千隻の完成を持って決戦を行うと発表がありました。この大規模攻勢に備え星軍は入隊者を募集しており……』

『シンギュラリティゲートに続いてコロニー自体の撤収も始まった冥王星周辺のコロニーは現在も混乱が続いており、治安指数が低迷を続け常にレットゲージが絶えない状態でレベル三以下の居住区では犯罪率が日々更新を続けています』


 手にしたスクロールデバイスをテーブルに置きアカツキはリビングの隅でダンベルを持ち上げ筋トレをしているカゼユキに話しかける。


「いよいよ二回目の大規模攻勢だってよ。俺らももうじき召集がかかるな、砲艦に乗れる」

「そうだね、僕らは知らされていたけど大々的に発表があったのは初めてだね。このまま平和な日常が続いていたらよかったんだけど、そうも言ってられない事態だし仕方ないね」


「今冥王星は悲惨だな、俺らは早々に引っ越せたのはよかったが残ったやつらはどうしているだろうか。星やコロニー内での連絡ならできるけどみんな引っ越し先が違うものな、ギンワキとスゴロクの奴は元気だろうか」

「前々から引っ越すようにコロニー政府から言われていたけど家を買うのも居住権を買うのも時間がかかったからね。知り合いの何人かはもう引越しをしているはずだけど、新しい暮らしになじめているかどうかも心配だよ」


 窓の外に庭で草木に水やりをしているアカツキたちの母、ミホの姿が見える。

 星の果てでの日々戦闘の情報が上がれど、住宅街は静かで木々のざわめきと鳥の鳴き声が響いている程度に平和だった。


「暮らしやすい土地でよかったな。学校も遠くはなくて大きくなったアセビも暮らしやすいし」

「僕らと同じように火星から引っ越してきた人も多い中、周囲の区画も含めて犯罪率も低いし。僕らが天に上がっている内も大丈夫そうだ」


「訓練中は早く船に乗って戦場に出られないのかと思っていたけど、いざ迫ってくると……な」

「このままここで仕事を見つけて暮らしたいよね」


 階段を下りてくる音がしてフトがアカツキたちのいるリビングに顔を出す。


「お夕飯の買い物に行くけどアカツキ、お義父さんは今日帰ってくる?」

「呼び出し受けて火星星軍基地に行ってるからな連絡もないし帰ってこないかも」


「わかった、何か必要なものがあったら早めに連絡くださいな。アセビのことお願いしますね」

「荷物持ちに俺も買い出しに行くよ、時間もあまりないし一緒にいよう」


 玄関に向かうフトを追いかけようとスクロールデバイスを巻き取りポケットに入れ、アカツキはコーヒーを飲みほしたカップを台所へと持っていく。




 ――――






 荷解きも終わり静かな日常を過ごし終えアカツキとカゼユキの休暇が終わり軌道エレベーターを上がり宇宙に上がる。

 そこからコロニーや起動エレベーター間を移動する小型船に乗りマーズアメリカコロニーへと向かって移動していると、連絡船の窓から数十隻の軍艦が停泊させられる雪の結晶のような宇宙港の建設が始まっていのが見えた。


 砲艦に改装される前の輸送船が何隻も集まり、資材コンテナを連結し列車のようになった無数の作業艇が動き回っている。

資材を積んで長いコンテナを。


「あれ、星軍の軍港か? あ、向こうでも二つ作ってるぞ? いくつ作る気だ?」

「今回の作戦は三つのうちの一つを壊すだけだから。長期的な戦いになれば、帰ってくる船も増える。今までは貨物船の改造だったけど新造艦も増えてる、修理や補給を受けられる港は多いほうがいいんだよ」


 まだ機能はしていないだろうが一部完成した港に、推進器の節約のためか数隻の巨船が停泊している。


「それだけ船が増えたってことか、向こうに何隻か止まってるのは停泊できる港がないからなんだな。あの中に俺らが乗艦する船もあるんだろ……知らない形の船、たぶん第二世代も何隻か停泊してるな。戦闘が近づいてきた」

「それに避難してきた人たちの仕事にもなるし、戦後は復興で宇宙に強い人が必要になるからその訓練にもなる。乗ったところですぐ戦闘にはいかないよ、説明にもあったでしょアカツキ。訓練と演習を繰り返してから前線に行くんだ」


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