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光速の白鳥 7

報告を受け船体が回転し砲撃を行っていなかった砲塔が迫る戦艦級の方へと向け砲撃を開始する。


「さっきより船の振動が大きいですね、どこか不調が? この揺れで射撃の画面がぶれることはありませんが……少し不安で」

『この揺れは砲塔の搭載されている一列しか砲撃ができておらず、バランスが取れず姿勢制御スラスターでバランスをとっていますがやや船体が回転しています。他の砲の射撃が始まれば船体の回転を抑えながら攻撃ができます』


「故障でないんですね。ならいいんです。カートリッジと過熱した砲身の取り換えはあとどれくらいですか?」

『二分ほどで完了します』


向かってくる戦艦級は次々と細かく砕け数を減らす。

しかし反撃で放たれた白い光の柱が随伴艦のうちの二隻に被弾した。


『第二世代デネブとメラクが被弾、負傷者は出ましたが指揮系統や推進器にダメージはなく航行、作戦続行に支障はないようです』

「無傷で終わらせませんか、ともあれ作戦に支障が出なくて何よりです」


迫っていた戦艦級はすべて破壊され、無数の破片が降り注ぎクリアランスに焼かれて艦隊の周囲が赤く輝く。


『本館に損傷個所なし、負傷者なし』

『再活性化する戦艦級なし、クリアランス正常に稼働中』

『艦長から戦闘終了の指示が出ました』

「では終わりです。砲塔に送っている電力をカットしてください、次の戦闘に備え砲身は取り換えて、砲弾カートリッジもフル装填のものへと交換しておいてください。ふぅ、戦闘は首が疲れますね」


宇宙服のヘルメットを脱ぎ首を回すネビュラ。

指揮室から戦闘終了の艦内放送が流れており、食事の途中だったことを思い出し小物入れからエナジーバーを取り出し頬張っていると通信が入った。


『ネビュラ君お疲れ、戦艦級の排除ご苦労だった。訓練を受けた砲手でもないのに代わりをよくやってくれている』

「んぷっ、ありがとうございますノヴァ艦長。第四世代としての活躍はできませんでしたが」


慌てて水を飲んで飲み込みノヴァからの通信に出る。


『この艦は索敵と通信範囲の強化型だから無理もないよ、だがそのおかげで敵戦艦級の感知する前から向こうの位置を把握できていた。向こうがこちらへ到達するまで余裕も持って戦闘準備をすることができた』

「ですが作戦に遅れが出ましたね」


『なぁに、迂回や別のルートを使うわけでもない。それにもうじき観測区域に入る、観測の指示は出しているから君はそれを前線の艦隊へと送る指示を出してくれればいい。』


『私は少し休む。艦隊の総指揮は別の艦に移すからネビュラ君はこの船を頼む、もし戦闘があった場合は私が戻るまで船の指揮の方を頼む』

「了解しました、おやすみなさい」


通信を切ると再びネビュラは食事へと戻ろうとし、管制室内の皆に聞こえるように声を張る。


「これよりしばらくこの艦の指揮を執ります。指揮を指揮室から管制室へ移します、何かあれば私に報告してください」


指揮室から指揮権を引き継ぎネビュラはエナジーバーの封を切った。

ネビュラが買ってきた食事を終えるころ、オペレーターから報告が入る。



『彗星表面を調べられる距離へと到達、いつでも調査できます』

「では始めてください、さっさと終わらせて帰りましょう。レーダーの照射で戦艦級が集まってくる前に」


強力なレーダーが彗星表面を覆う土煙と粒子の向こう側を映しだす。

キノコの傘のようなものから吹き出る粒子と砲撃が直撃し巻き上がる土ぼこりの下にある彗星の地表。

無数の攻撃を受けぼこぼこになった地面が荒い画像で映し出された。


『彗星の地表の様子、無事にとらえられています。ノイズは予想の範囲内です』

「よかった。もしだめならもっと近づいたポイントに行かなければなりませんでしたから。戦艦級の動きは?」


『今のところ広域レーダーに接近する戦艦級の反応はありません』

「艦隊からの砲撃のおかげですかね。ほとんど接敵することもなく彗星に接近することもできましたし、彗星を守る戦艦級はだいぶ消耗したようで」


『彗星表面に巨大な亀裂、かなり深いです。彗星の自転速度も上がっていますね』

「砕けた場所がはっきりと確認できますね、それなりの国を横断できる大きさでは? ハレーの攻撃で星表面が割れたんですかね、地表深くを割れば内部の流体金属が間欠泉のように吹き出て破壊できるんですよね? そのまま調査を続けてください、熱源の大本がわかればいいんですけど」


『亀裂の下、より深い位置に熱源の反応が。クレパスのように深い亀裂の奥で砲塔状の瘤のようなものができています』

「すごく大きく彗星から飛んできている長距離砲撃の砲塔でしょう、おそらくは自転速度の回転と関係があるのかも」


『本部に集めたデータを長距離通信に乗せて送っています、距離から本部に届くまで数分ばかりラグがありますが』

「なんでもいいです、あの砲塔の射程に我々は入っていることでしょう。いつ向こうからの攻撃が飛んでくるかわかりません。本部からの指示が着たらすぐに逃げられよう機関にも伝えておいてください」


『了解しました』


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