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光速の白鳥 6



食堂に並ぶ自販機でいくつか宇宙食を買いネビュラは抱えて食堂を出る。

ゴミや食べかすが散らばったりするため本来は食堂で食事をしなければならないのだが、すでに戦闘続きで休む時間のない前線で戦う艦隊の間ではすでにないような規則。

廊下で封を開けて食べかすが散らばらないよう固められた粘土のような塊を食べる。


「この数年で、また味がよくなってる」


彗星との長期の戦争で起きている経済活動の停滞に、いつどこで食料供給難になるかわからず保存食の加工技術が数年で著しく進歩をしていた。

代わりにパッケージなどが簡素化がすすめられ、白か半透明な袋に商品名と成分などが描かれた黒い文字だけが印刷されている。


味に驚きながら管制室の扉が見えてきたところで艦内に警報が鳴り響いた。

それと同時に宇宙服のヘルメットについている通信機からノヴァの声が響いてくる。


『レーダーに反応があった。今回は生きている戦艦級だ。さっきのデブリ破壊とは違い、へまをすれば死ぬぞ! 攻撃は慎重に確実に当てろ』

「了解しました!」


『艦隊指揮はこちらでする、ネビュラ君は砲の操作を任せる』

「了解しました、攻撃に集中します。もうじき休憩だというのに慌ただしくなりますね」


『こちらの都合など関係ないからな。疲れから誤った指揮をしないかだけが心配だ』

「彗星も近く、予期されていたことです」


磁力で床に張り付いているため駆け出し管制室へと戻る。

二枚の扉をくぐり砲主席へと座ると座席の脇についている小物入れに買ってきた食べ物を入れしっかりと閉めモニターへと視線を移す。


「戻りました。みんな揃っていますか?」

『副艦長が最後です』


「ではまた私は砲の操作をします。船の指揮は艦長の指示に従ってください」


オペレーターたちの了解という返事が響き、ネビュラはデブリ排除の時と同じように宇宙服にケーブルをつなぎ操縦桿を握った。


『敵と遭遇、総員戦闘配置! 推進器停止、慣性航行』

『子舵と船体を回頭します。通路にいるものはすぐに何かに体を固定してください』

『船体回頭、子の刻へと二丸度。レーダーに映る戦艦級の方へとむけます』


『レーダーに映る戦艦級、数百、型は不明。交戦距離まで十分』

『共有されている情報から、狙う戦艦級にマーキングします』

『船体回転用スラスター噴射、……停止まで、三、二、一。逆噴射、旋回停止』


船外カメラには相も変わらず狙うべき敵の姿は映らない、味方艦が同じように船体を動かしている姿と近ずくに連れ大きく見えてくる彗星、アステロイドベルト帯にある小惑星やコロニーなど大きなものが点として見える程度。

レーザーが捉えた遠くにいる戦艦級に四角い枠でマーカーが付く。


『全目標にマーキング完了、本艦が担当するものに着色、近いものから色が濃くなります』

「了解です」


赤いアイコンがいくつも重なり見づらいがそのうちの一つに合わせて砲を動かす。


『砲への電力供給の指示を!』

「あ、ああ、はい。砲塔に電力供給、砲は一括操作します。弾はデブリ破砕用、炸薬散弾、砲弾カートリッジの装填!」


『第一戦闘電力! 主砲一括操作! すべての砲は同じ目標を狙います』

『了解、炸薬散弾!』


『単装砲レールガン、九門、電力供給完了しました』

『一番砲塔から九番砲塔まで、炸裂散弾装填完了!』


ヘルメットのモニターに砲塔に着いたカメラからの映像が投影される。

狙いをつけ準備が整うのを待っていると固まっていたマーキングされたアイコンが分かれた。


『数はバラバラですが敵が三つに分かれました、ですが以前接近中』

「最近の戦艦級は回避運動を覚えたようですから回避運動しながら迫ってくる気なのでしょう。別れたのは足並みそろっての行動ができず衝突事故が多いから距離をとるためかもしれませんね、そういう報告があったのを覚えています」


『攻撃を開始してください』

「攻撃を開始します」



ヘルメットについているディスプレーへと投影されている赤枠に狙いをつけ引き金のボタンを押す。

艦隊の他の船も攻撃を開始しておりネビュラも赤いアイコンを減らすために攻撃を開始し、船体の振動とともに暗い空間へとむけて砲弾が飛んでいく。


『接近に伴い法則性のある形状から敵戦艦級の方がわかりました。通常の戦艦級百三十、制圧型二十、砲撃型五、小型二十です』

「百くらいという話でしたけど、数を細かく聞くと途方もなく感じますね」


『加熱した砲身の回転とカートリッジを交換します』

「まだかなりいますね、当たった実感が少ないですがアイコンが減っているのなら倒しているということなんでしょう。会敵時よりだいぶ減ったように見えますし」


赤い枠の残りを確認しながらネビュラは小物入れをあさり、装填時間中にチューブ飲料を手に取る。


『砲火を抜けてきた制圧型七、迫ってきています』


慌ててキャップを閉めてしまい、迫ってきている戦艦級を探して装填の終わっていない砲を動かし追う。


「どうしましょう。ああ、船体を回転させるように指揮室へと連絡を、下面の砲で撃退します」

『了解、指揮室へと連絡します』


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