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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
三章 火星絶対防衛戦線
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アステロイドベルト 6

 ハレーの操縦席の座席に座りハーネスと無線機をつける。

 二人の準備が整ったところで上官が口を開く。


「訓練生の諸君らに今回の訓練で最終テストとして行ってもらう場所はゲートを通り、迎撃の準備が進んでいるアステロイドベルト防衛線だ。この船には余った部屋に食料品などの物資が積まれていてそれを届ける。船をしっかりと動かせるようになればゲートをくぐることも問題ないだろう。さぁ、いつまでも座ってないで船を動かし港から出せ、もう訓練は始まっているんだから」


 いくつもある計器のチェックを行いスイッチを跳ね上げボタンを押していく。

 いくつかの操作後に最後にレバーを動かし船は動きだす。


「スラスターのガス圧正常値、動力炉安定、一番から八番まで推進器正常に作動」

「了解、最初の目的地をチェック、ルート確認、航路予定図と時間をシステムに同期、港を出る。港に連絡、舫を解いてくれ」


「報告完了、舫解けました、星の重力にひかれ流されています、いつでもどうぞ」

「では出航、転舵、微速前進。最初の目的地は火星ラグランジュコロニー中継基地三番」


「前方に別の船がいます同じ訓練用の中型船です、接近には注意してください。他に周囲に船はいません。目の前の船にだけ気を付けて」

「了解した」


 シミュレーターと違いボタンを押しスイッチを跳ね上げるたびに船体が動き出していく。

 星で訓練を受けていた時と違い無重力下での操作、船が港を離れた。

 今のところ訓練通りにやれて老いるようで二人の後ろに座る教官は黙って操作を見ているだけで何も言わない。

 いくつかの操作ののち船体が微弱に揺れ始めナツヒはその異常に気が付き計器を確認する。


「何の音ですか? 港を出てから船が揺れ始めました、故障?」

「いやこの揺れは……回転リングじゃないか? 部屋が回るんだよ客船に乗る人間はほとんどコロニーや星から出ないから宇宙遊泳に慣れていないだから微弱でも重力を作って落ち着かせるんだ、うまく通路を進めず食事もそうだがトイレとかに間に合わないと無重力下だから散らばって困るだろう。疑似重力作るために、ドラム型洗濯機みたいに。つっても客として乗ったことはあっただけで船内の設備にそこまで詳しくないけど」


 アカツキも計器を確認するが異常はなく船内の異常を知らせる警報もなっていない。

 触っていないシステムが動き出し二人が不思議がっていると、話を聞いていた教官が口を開く。


「ああ、言い忘れていたな。今回は客を乗せている、整備兵や他の訓練生たちがな。さっき整備兵たちがいただろう、彼らと同じ漢字に複数の部屋に人が乗っている」

「まだ全然、まったくの素人の操縦なのに人が乗っているんですか? もし事故になったら」


「物資の搬送を優先して、最近の星育ちの訓練生は無重力下での訓練を行えていない、ついでに行っている。数百人入るデカい船を、訓練だからと少人数でぜいたくに使うわけにもいかないからな今の星軍にそんな余裕はない。人がいるといっても食事は自販機だ、機内食なんて期待するなよ。食いなれた食事だけだ、ほら仕事に集中しろ」

「少し悲しいです、せっかく客船に乗ったのにここでも簡易宇宙食だ何て。子供のころは宇宙食に思いをはせたりしたんですよ」


 他の基地からも同じように訓練のための中型船が出航した。

 船内からカメラを使って周囲の映像が確認できる合計六隻の中型船が一定の距離を取って同じ方向へと向かって進む。


「予定航路通り、あとはしばらく自動航行です」

「ふぅ疲れた。といっても三十分で終わりだけどやっと休める。向こうについて港に船を止めたら交代か」


 星を背にし星の周りに浮かぶ巨大なコロニーが安定して滞在できる場所ラグランジュポイントへと向かう。


「はい今度は私が、この船を動かしますのでアカツキさんは補助をお願いしますね」

「そういえばあの酔っぱらいは酔いがさめただろうか? というか酔いが抜けてない状態で中型船の操縦をさせられるのか?」


 指導でできることが終わり、ふともう一人教官の他にこのコックピット内にいることを思い出し後ろを振り返った。

 男は静かに眠っており教官はその様子を咎める様子はなく他の船や基地との予定やこれからのことについての連絡を行っている。


「ですけど、時間を見ると向こうについて次私が動かして停泊するころにはもう午後の人と変わらないといけない時間になりますよ?」

「ああ、午前中は軌道エレベーターまでの移動で消えちまったからな。なら彼は明日か、経験者だというし酔いが抜けたら少し話をしてみるか」


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