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来破滅星の世界 青い星を焼き焦がすもの  作者: 七夜月 文
三章 火星絶対防衛戦線
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迫りくる恐怖 2

 高官はスクロールデバイスをスクロールし何らかの資料に目を向けながらアカツキに話しかける。


「君は以前に士官学校に居たそうじゃないか。問題を起こして大型宇宙船の艦長にはなれなかったようだが。君の家は貨物船を所有し星軍に貸し出しているな、彗星との戦いで多少損傷しているようだがまだ修復可能な改修待機の船舶として港で順番待ちをしている。さて、成人している家族は君と君の母親だけのようだね、宇宙船の船舶免許なしでは彗星を破壊した後に君の家の持つ船舶を返却をすることができないがどうだろう、やる気はあるかな?」


「父さんの船……やります。ですが、中型の宇宙船の船舶免許ではタイタン貨物船で指揮をすることはできないんじゃないんですか?」

「そうだな。中型の船は維持や購入費に目を瞑ったとして操舵だけなら一人でもできる、もちろん数か月昼夜を問わず操舵室にいなければならない場合は交代要員が必要になるが。でも、船舶免許を持ってさえいれば船のサイズにかかわらず、宇宙港を借りる権利とサイズを問わず船を所有する許可は出せる。あとは港を借りる費用と整備費に頭を悩ませながらゆっくり大型宇宙船の船舶免許を取ればいい、しかし作業艇しか持ち合わせていない場合大型宇宙船の船舶免許を持った人員を雇わなければならないし戦後そのような人員が余っているとも限らない。では免許を取る気があるのならば君のスクロールデバイスを出してくれ、こちらから関係書類をまとめて送る。できれば今週中にすべてに目を通しサインをしてくれ。近日中に新しい配属先がメールで届くだろうから、その間に移動をする準備を進めてくれ」


「その訓練を受ける施設は自宅からの通勤は無理そうなんですか」

「ん、ああ。君には娘がいるんだったか、私にも二人子供がいてね下の子はまだ初等部だアカツキ君の気持ちはわかる。しかし残念ながら現在宇宙船の船舶免許が取れる機能を持った施設は数が少ない。ほとんどが宇宙と密接な関係のあるコロニーで行うものだから軌道エレベーターで行き来をしなければならない星にはあまりなく、残念ながらこの区画には一つもないんだ。とはいえ、訓練に加え座学が増えることにはなるが次の作戦にも君を含め何人かの教育期間にも時間はある、その間に休暇もありその時に家に帰ることもできるだろう。あとでメールの内容を確認してくれ」


「わかりました」

「なに地下コイルリニアを使えば区画移動なんて三時間とかからない場所だ。そこまでの地上ルートの道のりとチケットの入手と金額は容易くはないが、休みさえあれば実家に顔を見せるくらいはできるだろう」


 基地でのやり取りから少ししてアカツキに配置転換の指令が届く。

 内容は現在開発中の特殊試作兵器の運用テストと実戦での使用に対する訓練。

 新型艦の建造よりコロニー間の移動も護衛なしではままならなく、それを利用する客の減少に伴い余っている連絡船などを改装し戦闘に投入するというもの。


「お父さん、眉間にしわよせて怖い顔してどうしたの? 跡が残るよ。また宗教勧誘の迷惑メール?」


 畳んだ洗濯物を抱えたアセビがスクロールデバイスを見たまま廊下の真ん中で立ち止まるアカツキに話しかけた。


「星軍からだった。ごめんなアセビ、またしばらく家にはいられなくなった」

「この前話していた別の基地にいくって話? そっか、大丈夫だよ。たまに帰ってきてくれるんでしょ。お母さんたちにお線香をあげに帰ってこれれば十分だよ」


「できる限り、母さんとアセビと一緒に居たかったんだけどな」

「帰ってくるときは連絡してね、ご飯作って待ってるから」


 二人が話しているところに仏間から出てきたミホがやってくる。


「なんだい、またいなくなるのかい。寂しくなるね」

「ああ、うん。そうだよ母さん、でも帰ってこれるときはなるべく多く帰ってくるから」


「仏壇に手を合わせてみんなにも報告するんだよ。みんなが守ってくれるから。それと天空教が過激なデモばっかりやってるから気を付けてね、最近じゃ星の中も安全ではなくなってきた。トラブルには巻き込まれるんじゃないよ」

「そうだな物騒になってきているから気をつけるよ、あとでフト、カゼユキ、父さんに行ってくるって移動のことは報告はするよ。二人を見守っててくれって」






 ‐‐



 星軍の基地へと向かいアカツキが出ていき寂しくなるセキショウ家。

 学校帰りのアセビは鞄を置きスクロールデバイスを片手に夕食の支度を始めた。


「やっほー、ヨタカ」

『うよっすー。今帰り?』


 通話機能で友人と連絡を取り画面では料理のレシピを映している。


「うん。買い物してたから。これからご飯の支度。おばあちゃん今日も仕事で遅くなるみたいだから。学校の課題進んでる」

『さっき手を付けはじめたとこ、彗星との戦いについて調べてまとめろってなんかめんどくさいよね。アセビはどこをまとめるの?』


「長く戦ってるからね。私は第一次決戦? おじいちゃんやお母さん、お父さんたちの闘いの記録をまとめるつもり。プラネットアーカイブには写真も動画もないけどたくさん資料あるし、少しバスの中で読んだけど彗星の認識がなんか今とは少し違う感じだった。でも長い文章を読んでる間に眠っちゃいそうだけど、ヨタカは何時まで起きられる?」

『明日休みだし夜更かしはするつもりだよ。うちは彗星を破壊したサンキュー作戦とかいうやつにしたよ、多分クラスの半分はそこにするんじゃないかなー。数少ない映像付きの資料もあるし当時のニュースもいっぱい見れるし』


「もう少し早くこの課題来てたらお父さんにいろいろ聞けたのに」

『アセビはお父さん大好きだね。うちの親父は臭いし脂っこいしデリカシーないし、イビキかくし脂っこいし』


「あはは、二回言ってる」

『うちの親父も軍に入ればいいのに、あの出っ張ったお腹一緒にいて恥ずかしいし。痩せよっかなーって、やる気もないのに独り言聞こえるように言ってくるし、ちらちらこっち見ながら言うし』


「話がヨタカのお父さんになってない?」

『んだね。課題終わったら一緒に買い物行こうよ』


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