表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

第五話 やっぱり伊織殿っておっぱいが大きい人が好みなのかね?

「そ、それはいいとしてあの金髪はなんなんだよ?こ、光線みたいなやつとか」


ご、ごまかした。彼女には悪い気がするが。


「そう!あいつは双璧の虎徹。あ、双璧ってのが戦闘用サイボーグのことね。夢原が伊織殿を殺そうとしないから二人まとめて殺しに来たってわけだぞ」


 双璧って異名があるんだからもう一人虎徹と肩を並べる奴がいるのか。考えただけでも恐ろしい。夢原も勝てないレベルのやつが二人も襲ってくるかもしれないと思えば、そりゃ怖いに決まってる。


「さっき言ってた夢原一人で虎徹ってやつに勝てないのはなんでだ?」


「単純にあの時は予備のチップがなくて馬力不足だったのもあるが、そもそも作りが違うのだ夢原と虎徹。一応伊織殿がいたから勝算がないとは限らなかったがね」


 照れ隠しに早口になっているのがわかる。


 正直なところ申し訳ないが、今は夢原の告白のことなど考えている余裕などない。それが現実だ。多分夢原もわかっているから深掘りしないんだろうな。


「ちなみにあの光線はエネルギー合成弾(ラピッド)というのだよ。」


 彼女はまだ顔を赤らめているが、説明を立て続けに行う。


「この小さなチップは小型永久機関『エンドレスチップ』と言って無限のエネルギーを持っているのだ。だからこれを持っていれば虎徹みたいにエネルギー合成弾(ラピッド)とか空間転移(テレポート)とか色んなことができるのだぞ。君の持っているチップは夢原の予備のチップだが性能は虎徹とほぼ変わらないから安心したまえ。」


 一息ついてチラチラこちらを見てくる。少し可愛げのあるサイボーグを作った製作者に感謝したいものだ。金髪も夢原もサイボーグだが言われなければ全く気づかないレベルの容姿(歌舞伎町のイケメン金髪ホストみたいな奴もいれば)と認知能力(平気で表札を間違える奴もいるが)をしている。製作者はよほどの凄腕なんだろう。


「夢原の親って誰なんだ?言い方良くないかもしれないがエンジニア的な人がいると思うんだけど」


「夢原のパパは悟さんだぞ。虎徹は木野さんが直々に作ったサイボーグ」


 直々っていうんだから木野さんって人が一番偉いのかな。どこかで聞いたことがあるんだけど…思い出せない。


「そういえば伊織殿、ナナちゃんと話してないのかね?」


「ナナちゃん?」


「伊織殿が空間転移(テレポート)するときに話しかけてきたはずではないか」


「あーなんか転移先決めろ決めろってうるさかったやつか。もしかしてあいつもサイボーグなのか?」


「彼女は自律思考AIナナちゃん!結構人見知りなんだぞ優しくしたまえ」


 言われてみればスカイツリーの転移の時は、特に話さず転移できたな。人見知りって…あっちからは見えてるのか?


「ちなみに見えるどころか心の声も聞こえますよ」


「ナナちゃ〜〜ん! 久しぶりだね」


「わっ懐かしい顔だと思えば夢原さんではないですか」


「伊織殿〜このまんまじゃかわいそうだからどこかにつけてあげてはどうかね」


 なんか女子同士で盛り上がり始めている。もしかしてどこかにつけたら動き出すんかこいつ。


「うーん…別に腕時計も指輪持ってないし、つけやすそうなものはないよ俺」


「生き物じゃなければなんでも良いのだ」


 それじゃあ…これしかないけど仕方ないか。


 ポケットに入っている最新から5世代くらい前のiPhoneの裏につけた。


 途端にiPhoneはイキイキと宙を舞い、まるで生きているような素振りを見せた。


「くぅ〜やっぱこれですこれこれ。居心地はエコノミークラスですが自由に動けるとなれば話は別ですね!」


 余計なことを言われた気がする。


「橘さんのスマホの情報は全て抜き取りましたが、秘密は守りますし毎日充電するのでこのままにしてくれませんか? ね? ね?」


 なんて都合がいいやつだ。うーむ断るに断れない。


「うわあ、こんなに元カノの画像が出てきましたよ。未練たらたらなんですね橘さん」


 夢原に見せようとするスマホを必死に抑え込む


「秘密にするって言ったばっかだろ! このやろ〜!」


 夢原はあははと乾いたように笑って、少し真剣な表情になる。


「ナナちゃん、実は夢原からお願いがあるんだけど…」


 ナナは俺の静止を振り切って飛び回り夢原の正面でピタッと止まった。


 まもなく、夢原はナナに向かって口を開いた。


 俺はごくりと唾を飲み込んで彼女の方を見つめる。


「やっぱり伊織殿っておっぱいが大きい人が好みなのかね?」

ここまで読んでくださりありがとうございます。

評価、感想をいただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ