自己紹介
「それじゃあ自己紹介ね」
綾先生がパチっと両手を叩く合図で、皆は円形になる。
「最初は……そうね、大智君から良いかな?」
「先生、わかりました」
――まずは俺から、自己紹介を改めてしていく流れになった。
「うんじゃ、時計回りでやっていこうか」
「はい――」
九蛾大智。魔道工業科一年。
地毛である短めの茶髪以外は、これといった特徴がないと思われてそうだった。
頭を下げて、よろしくお願いしますとだけ伝えた。
そして、二番手、三番手と続いていく。
尼野すずね。魔法科一年。
白くて長い髪をふんわりと靡かせている彼女から黒い一面が見え隠れするのは、正門で出会った時から薄ら理解していたが、ここでは露わにしなかった。
戸萌田芽依。魔法科一年。
ピンク色の髪をもつ、俺の幼馴染み。
遅刻していたらしいが入学式には出ていたとのこと。
峯本鷹子。魔道工業科ニ年。
いかにも黒髪の姉御って感じがする。俺と同じ魔道工業科だから、なにかとお世話になる機会が多そうだ。
峯本聖沙。魔法科ニ年。
気が強そうな金髪の先輩で、鷹子の妹。鷹子が四月生まれで、聖沙が翌年三月生まれなので姉妹だけど同学年になっている、ということを口にしたが俺のことは見向きもしない。
咲馬莉桜。魔法科ニ年。
紫色の髪をもつ、落ち着きのある先輩。自己紹介も簡潔に済ませた。
それから、最後にやってきた――。
「はい、よろしくお願いします!」
縁崎兎羽。魔法科一年だ。
橙色の長い髪をもつ彼女は、海外からやって来たと申していた。
幼い頃に両親を亡くしており、今年の春先に尼野魔法学園へ来るまでは、親戚の養子として海外で愛想良く世話されていたらしい。
そして、俺と同じく尼野幸村から推薦入学の案内が来たという。
――以上七名が、今年度に現れた七賢者の卵である。
特別講師の凪原綾先生を中心に、課題と補習が始まる。
「自己紹介はこのくらいにしておいて、早速だけど魔法演説に入ろうと思います」
その場を仕切る綾先生。この後、個人面談も控えているので少しソワソワしていた。
ところで、魔法演説って何をやるんだろう。
この場にいる魔法科は五人。その誰かが、あるいは全員が魔法を使うということなのか。
「先生、魔法演説って全員参加なの?」
莉桜が質問を投げかける。
「個人面談を合間にして、面談者以外が演説をやるという流れを取ってます」
「なるほど……」
小さく頷いた莉桜。そして、俺に目線を合わせて時計回りに首を動かす。




