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あの本を探しに

すみません、第3.5章を追加いたしました。

第3.5章は第3章の後日談となります。


何かと楽しんで頂けると幸いです。



 数日たった、ある日のこと。


「うーんと……あった。これだ」

 俺は一冊の本を手に取った。



『ちっぽけだった墓守と、死神の少年』


 そう、これは先日、芽依がタイトルを忘れたけど語っていた物語である。

 まさか尼野魔法学園の学内図書館にあるとは思わなかったが、あの物語を聞いた後の俺は、物語の構成にとても興味をもっていた。


 一度味わったら忘れられない不思議な感覚が戻ってくる。芽依が語り手だったかもしれないけど、新しい装置開発のインスピレーションにも繋がるかと思い、こうして自力で探したのである。


「おやや、奇遇ですね。大智君がこんなところにいるなんて」

 すずねが声をかけてきた。


「……両手に新聞紙を握りしめて、どうしたんだ?」

「これは本日掲載させて頂いた、かみスポ! ですね」

 すずねはとてもにっこりしていた。本人談でネタの大収穫だったということもあってか、編集にも何かと気合が入ったとのこと。


「ちょっと、読ませてくれる?」


 俺は怪しいことを書かれていないかだけ心配だった。

 学園内で魔法の結界やら、綾先生のこと等々、不安でしかない。


「ふふふ……仕方ないですね。まともに読んだことがない大智君には、初回無料サービスですよ?」

「おお、ありがと……」

 ――俺は見出しからツッコみを入れたかった。


 突如、街中の公園に出現した謎のダンジョン!

 探索者D氏による怒涛の攻略劇で鈴岡商店街を救う!??


 完全に見入ってしまった。

 堂々と映り込んでいる写真は、どう考えても俺が芽依の作った魔法の結界に飛び込んでいるシーンなんだけど。


 ……これは捏造なのか?

 いや、待て。あながち嘘ではない出来事なので、捏造はちょっと違うかも。


「どうです、どうですか? とりあえず本文読んでくれますか?」


 すずねはやたらトップ記事の見出しを押している。

 本人が気に入って掲載しているのだから、あまり気にしないほうがよいのか。

 俺はちょっと無言になって読み倒すことにした。



 ――今回のダンジョンを危険視する、探索者D氏に密着することに成功。


 ただ、ひとつ警告された。

 我々取材班の安全は確保できない、と。

 中に入ると、四角い部屋がいくつか発見された。D氏によると、ここは毎回訪れる度に部屋の構造が変わるという、現実世界ではあり得ないような異例な空間となっていた。

 だが、流石はD氏だった。対処法は手の内に持っていたのである。


 ポケットからキューブ型の魔道具を手に取り出すと、何かを口ずさむ、すると、部屋に施された仕掛けの解除に成功した。

 その後の部屋も、キューブ型の魔道具で対処できたことから、このダンジョンはD氏が持ち込んでいたキューブ型の魔道具に何らかの関係性があるということを見抜いた。

 このキューブ型の魔道具については、後日解析をしてみたいと思う。


 それから、我々はD氏と共に最深部に到達する。

 最深部には、大きな魔法の結界があった。

 ここでD氏は、キューブ型の魔道具をちょこんと結界に当てた。すると、結界に穴が空いた。

 D氏はすぐさま穴に飛び込んで、その結界の中から一冊の本を持ち帰った。


 そこにあったのは、スクロールだ。

 

 スクロールは放置すれば危険を伴うことがある。

 今回のダンジョンは鈴岡商店街の傍にあったことも考えると、D氏は鈴岡商店街を救ったとも言い切れる。


 こうして今回の調査を終えた我々は、D氏に謝礼をするとともに。

 今後のD氏の活躍に期待している。


 ……なんだこれは。

 読み終えた俺に待っていたのは、今後の活躍『期待値』に極振りされたような、変な感覚だけだった。



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