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とろけるチーズピザ



「……大智君、先生たちは何のお話をしているのでしゅか?」

「たぶん昨日発見したスクロールに関することだよ」


「スクロール……」

「うん? 芽依は何か引っかかることでもあるのか?」

「スクロールはたしか、危険度指定のある魔道具を安全に収納するための魔法アイテムの総称で……。なんでもないでしゅ」

「そっか、それならいいや」


 俺は、二切れ目のチーズピザを掴む。


「うーむ――。とろっとろで旨い!」


 兎羽はというと、チーズピザに夢中になっていて、とてもじゃないけど綾先生とすずねのやり取りを一切聞いてなさそうだった。


 そして、先輩達はというと、向こうも同じようにチーズピザに手を掛けて皆で味わっていた。

 わざわざ気にする事でもなかった。


 しばらくすると、綾先生とすずねもチーズピザに手を掛ける。

 皆で味わって、すぐに完食になった。


「ごちそうさまでした」


 両手を合わせた俺は、少し窓辺のほうが気になった。


 ここから見えている合宿所。

 色味こそは薄いが、どこからどうみてもログハウスの一軒屋にしか見えていない。

 あそこでこれから一年間過ごすのは、親近感が沸く。不安のひとつやふたつくらいは容易く乗り越えられそうなパワーが得られそうだ。


 この後は午後の授業があって、合宿所へと皆が集まる。


 授業も始まったということなので、綾先生の補習も始まることを意味する。しっかりと予習、復習をこなして期待に応えないといけない。


「魔道工業科の教室に戻るか……」


 そろそろ予鈴が鳴る。食堂内にある時計を確認した俺が、その場から立ち上がろうとした時だった。芽依がぐいっと服の袖を引っ張ってきた。


「大智君ひとつだけ良いかな?」


「うん、答えれる範囲内なら」


「大智君はスクロールの存在って、はじめどこで知ったのでしゅ?」


「たしかすずねに言われてだから……図書館かな?」

「ありがとうね、でしゅ」


 芽依が質問を終えると、すぐに食堂から立ち去っていった。


「なんだったんだろう」


 俺はちょっぴり不思議な感じがした。高校卒業まで魔法使い専属の学校に通っていた芽依自身、スクロールの知恵は豊富にありそうだから、不信感はしなかった。

 芽依が俺にスクロールの存在を教えてくれていなかったのは、何か深い理由があると思うけどな。


 仮に存在を知っていたら、もしかしたら今日の授業を抜けて保健室で寝込んでいなかったのかもしれないと思うと……。


 それ以上は、気にしたら駄目になる。

 それよりも早く教室に戻らないと。



 俺は食堂から出ると、まっすぐ魔道工業科の教室へと向かった。


 午後からの授業は専門科目で固められており、俺自身とても感心をもつものばかりだ。

 スクロールのことについて考えるのは、もうちょっと後でもなんの問題もない。


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