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学園の食堂



 ――保健室で授業といっても、俺が本来なら教室で受けるはずだった科目となんの代わりもなかった。

 ただ、休憩時間というものはなかった。

 それが気にならないくらいには、スローペースな進行具合だった。と言ってしまえばそれまでなのだが、俺の体調も木を使った上での遅さなら、学園長なりの優しさとも言い切れる。


「ほれ、ここまでだな」


 大きなチャイムが保健室にも鳴り響くと、学園長は片付けをはじめた。


「ありがとうございます」

「気にするんでないぞ。丁度、午前の授業が終わることだから、皆が集まってくる食堂に顔をだしておきなさい」


「はい、そうさせて頂きます」


「廊下を走って倒れるなよ……?」

「気をつけます!」


 俺はベッドから離れると、そのまま食堂へと向かう。食堂がある場所はだいたい理解している。

 魔法科と魔道工業科の校舎がある中間付近。合宿所側から入るとすぐのところにあった。


「やっと来たわね……」


 出入り口付近で待ち伏せしていたのは、綾先生だった。


「他のみんなは」

「先に席を確保しているわ。大智君、体調はどう?」

「もうすっかり元気になりました。ありがとうございます」


「どういたしましてー。お気になさらず」


 綾先生がはきはきしている。

 お昼時ということもあってか、何かと行動力に勢いがありそうだ。


「それで、ここが食堂」


 俺は食堂の中に入っていった。食堂はとても広くて、在学生全員が座っても席が若干余りそうなくらいには椅子と机が並べられていた。


「大智君、こっちでしゅよー」


 芽依が手を振って、場所を知らせてくれた。

 迷うことなく俺はその席に近付く。


「失礼します……」


 俺が座ると、左腕を芽依が掴んだ。


「大智君が元気になってよかったでしゅ」

「そうですね。今日は先輩方が持ってくるそうなので、ゆっくり待ちましょうか。そうするべきなのですよ」


 右腕がすずねにがっつり掴まれていた。


「あの……俺このままだと、動けないような……」


「そんな日もあるでしょうね」

「ねーでしゅ!」


 ……駄目だ。先輩達がここに来たら解いてもらおう。

 それまでは暫し辛抱しなくては。

 それにしても、やけに静かである。生徒はそれなりに入ってきているのに、会話が弾みそうな空気がまったくもってなさそうだ。


 入学してまだ間もないのもひとつポイントかもしれないが、仲がよかった者同士のお喋りが見受けられないのは、ほんの少し寂しさも薄々感じていた。


「持ってきたわよ。はい」


 聖沙がテーブルに置いたのは、チーズがたっぷりと乗っているピザだった。



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