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魔法学園の学園長



「……いま俺が興味を示しているのは、重士朗コレクションだ。不思議な作りになっている魔道具で、スクロールになっちゃったけど」


 あのスクロールはすずねに回収されたあと、図書館で保管しておくと言っていたような気がする。

 放課後でも構わないから図書館に行きたい。

 そう思い始める。


「あれをもう一度みたら再現倉は出来そうだけど。若しくはスクロールは魔道具を保管しておく役割を持つものだったりするのかな……」


「うむむ。やはり鋭いな、君は」

「その声は……。やっぱりここに来たんですね」


 俺は寝返りを打つと、目線の先に男性がひとり立っていた。

 尼野幸村だ。俺に推薦を出した本校の学園長であり、すずねのお父様でもある。


「どうして、ここに……」

「せっかく君を心配しに来たというのに、何だか損した気分だ」

「……ごめんなさい。期待に応えられなくて」


「そういう意味じゃないわい。ただ、その様子だとお主や芽依ちゃんは、まだ気づいてなさそうだが」

「俺だけじゃなくて、芽依が?」


 幸村の言葉に不思議がった。

 芽依にまで関わっていることって何だろう。

 課題のことかもしれないけど、違う可能性もある。


「そうだなぁ、なんというか……」


「――失礼ですが、影から見ているととてもじれったくて見苦しいので、お父様はとっとと大智君にお話してください」


 しびれを切らしたすずねが、保健室に入ってきた。


「すずね、授業はどうする気なんだい」

「それ、今は二の次です。お父様こそ、裏でこそこそしまくっていて、とてもむず痒い気分なんですよ。悪いことが関わっていない真相はちゃっちゃと明かすに超したことはないと何度も言っていますよね?」


「すずね、困らせないでくれ……」

「それは諦めたほうがよいかと思います。俺にはさっぱり分かりませんので」

「ぐぬぬぬぬ……仕方ないか。すずねは聞いたら教室に戻るんだぞ」


「はーい」


 すずねは棒読みで返事を返す。


「返事あるだけマシと割り切るか。――大智君、俺様が君に目を付けたのはいつだと思うかね?」

「それは本校に入学する前?」

「答えは、いいえだ」

「……違うと言うことですか?」

「そうだ。俺様が大智君や芽依ちゃんに目をつけたのは、あの小学校で発生した魔法事故の時なんだよ」

「はぁ……?」


 意味が理解できなかった。

 あの当時、きっちり把握して理解出来たのは俺の両親くらいしか思い浮かばないのだが。


「もしかして、あの時の担任の先生があんたなのか?」


「正解だ。はははっ!」

「やっぱり……」

「当時は偽名をお前らに教えていたからな。気づかないのも無理はない」


「……娘の前で、堂々と偽名使っていました。だなんて、どんな口が言うのやら」

 しれっとすずねが冷たい視線を学園長に向けて送っていた。

 その態度は学園長に対しては効果抜群だった。


「お父さん、無駄に傷ついたぞ」

「そんなの知りません。さてと、聞きたい小馬鹿なことは聞いたことですし、わたしは教室に戻るとしましょうか」


「ああ、気をつけてな」

「大智君はお大事にです。ではでは」


 すずねがあっさりと身を引いていく。

 残された学園長はというと、自身の涙を拭っていた。


「せっかくのことだ。俺様と授業、しようか」


「そう来たか……」


 学園長と二人っきりで、授業も悪くないか。

 保健室で寝転んでいる身としても、まだ教室で授業を受けられるほど体調が回復しているとは思えないし、ここは学園長の提案を呑むことにした。



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