まさかの全員集合?
「熊をそんなことしちゃって大丈夫なのか……?」
「ああ、それなら問題ない。峯本家は代々熊を山で育てて生計を立てていてな、熊は各種衣類になったりするんだ。最近は魔道具にも用いられてきていて、需要もあがりつつあって将来は安定しているのだが、跡継ぎで熊と本気でやりあえるのは拙者のほうでな」
「姉さま、素敵です」
鷹子の背後には、聖沙がいた。
「あれ、男もいるのね。男にしては妙にへこんでいるみたいだったけど」
「なんか言い方酷くないですか?」
「ふーん。アタシは気にしないけど、元気なくして姉さまを困らせたら許さないからね」
「……気を付けておきます」
「わかったらそれでよしだわ。それで言うことなし、のつもりだったけど」
聖沙が通り道を開ける。
「今度は綾先生と兎羽さんですね、手当ですか?」
すずねはニコニコしながら出入口の方向へと振り向いた。
「……あたし、突き指しました」
「うげっ、保健室がすっごい密集してるわね」
右手の人差し指を抑える兎羽と、その付き添いで綾先生が保健室に入ってきた。
「どうもです」
「大智君、どうもじゃないでしょ。体調はもう大丈夫なの?」
「おかげさまで」
俺は綾先生に向かって頭をさげた。
今度は御礼のお辞儀だ。
この御礼は、ここにいるみんなにも伝わってほしかった。
「あと莉桜先輩がいませんでしゅが……」
芽依は不自然に周囲を見渡していた。そんなこと気にするよりも、そろそろ俺の脚から降りてほしいのだが……。
「僕ならここにいるよ。今日は風が気持ち良いね」
声が聞こえて、窓を開く音がする。これは外からだ。
「莉桜先輩……」
「やあ、元気?」
すっと姿をみせた莉桜が、窓辺に座った。
体操着を着ていたので、一限目が体育の授業だったのかも。
「これで全員……なんで集まるのかねぇ……」
綾先生は驚きを通り越して、もはや呆れていた。七賢者の卵が合宿所以外で密集すると、保健室がものすごく狭く感じる。
「まぁ、もうすぐ予鈴が鳴るからお喋りするなら昼食の時間にしなさい」
綾先生は保健室にある机から包帯を取り出して、やや雑に兎羽の指に巻きつけた。
「まだ万全じゃないし、俺はそうさせてもらうか」
俺は再び体を寝かせると、みんなから『お大事に』とだけ言われた。
そして、予鈴が鳴る頃には、俺以外の者は退出していた。
いまはしっかり心身ともに休ませないといけない。
でも、何かを考えることは悪くないと思いたい。




